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音を通して心を豊かに。
レッスンは楽器上達のためでもありますが、私のレッスンで最も大切なのは心を育てること。
楽器に対する取り組み方でその子の性格、行動、習慣がわかります。それらをまとめて「心」と表現しています。
一人一人個性ある子供たちは考え方もそれぞれで、大人の想像や経験ではわからない部分があります。
学校での教育は集団行動の中での個性であり、家庭の中での個性もまた素直ではない部分があります。
そんな個性が個人レッスンでは色んな形で現れます。
…すぐに諦めてしまう
…どうせ出来ないと決めつける
…練習したくない
…ゆっくりと言われてもはやくしてしまう
こんな個性がよく現れるのですが、努力が足りない場合もあれば性格によるもの、ストレスによるものなど実は原因は様々です。
我々楽器講師が一番簡単に済ませてしまうのが…
練習が足りない!!!
という一言です。
この言葉は全てのやる気を失くさせる魔法の言葉です。
私が危険だと思う魔法が他にもあります。
知っている曲を弾かせる。
コンクールに挑戦させる。
アニメなどの知っている曲を演奏することでモチベーションをあげるという方法は、その瞬間は頑張れますが、次に練習曲に取り組むことが出来るかと言うと…非常に難しく、またヤル気を失くしたフリをすれば自分のわがままが叶う事を覚えます。
コンクールに挑戦させるのは最悪な方法です。
音楽は誰かと競うスポーツではありません。誰かの評価のために演奏するものでもありません。
賞をもらえる事で頑張れる!
頑張った結果が得られる!
などと言いますが、大切なのはその「過程」であり、「結果」ではありません。
コンクールでしかモチベーションが保てないのであれば、是非スポーツに挑戦するとその適性があると思います。
では、どうすればやる気を継続し、モチベーションを保ち楽しく演奏する事が出来るのか。
それは、上手くいかない事を次のステップとして認識させてあげる事です。
誰しも常に順調には進みません。
その時に立ちはだかる壁やストレスは次のステップへの道だということを頭だけでなく、感覚として覚えてもらいます。
楽器上達で出てくる壁は実はどれも大した壁ではありません。方法と時間さえあれば誰でも突破できます。
しかし、そこに気持ちが入っていない限りは突破はできません。
それを身をもって体験していくことで、感覚として身につけていく事が出来ます。
ただし、この気持ちの部分は冒頭に記した通り、うまくいかない原因は様々です。
練習が足りないだけではありません。これを探し、解決法を見つけていくのが楽器講師の本来の仕事です。
生徒を音大に入れる事。
コンクールで入賞させる事。
こんなのは生徒本人の努力であり、講師の目標としてはいけません。
実際、音大を出てもコンクールで入賞しても活動していない音楽家が非常に多く、むしろそちらの方が多いほどです。
音楽家になるというのはオシャレではありません。ステータスでもありません。
聴衆に「心」を届け、生徒の「心」を育てるのが仕事です。
「心」を育てた結果がどうなるのか。
それは自分の目標を自分で見つけ、自分の力でその目標へと向かい、失敗成功を繰り返しながらも自分の目標に近づくことのできる人になっていくことです。
誰かと比べたり、みんなと同じで無ければならないと思うのではなく、自分とは何かを見つめる感覚を身につけてもらえると、人生はとても豊かになると思います。
音楽家の仕事として、この豊かさをお届けする事が一生をかけて追い求めていくことであると思います。
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