The Chair-man 椅子屋になった男の話 #7
日本の家具を置くようになったきっかけは、カリモク60です。
それまでは海外のデザインがメインでした。
たまたま雑誌のポパイを読んでいたら、
D&DEPARTMENTで売っているソファーの記事が小さく出ていました。
それが当時”長椅子”と呼ばれていた のちのKチェアです。
「あれ、これは確かカリモクの物だな。」と、
新潟での取扱店を調べたところ、山下の家具が卸してくれることになりました。
これは今の時代に合いそうだ、と仕入れて販売してみると
やはり、売り上げは好調でした。
長椅子の販売を始めてから1年ほど経ったある日、
お店を開けて朝一番にスーツを着たお客様が来店しました。
当時のアパートメントには、家族連れやスーツ姿のお客様なんていませんでしたから(ほぼ男性客)、それは珍しいことでした。
話しかけてみるとその人はこう言いました。
「はじめまして私、カリモクの代表取締役の加藤です」
驚いている僕に加藤さんは、
「何でこの店では長椅子がこんなに売れるんですか?」と訊ねるので
「こんなに安くてカッコいいソファーは他には無いでしょ」と答えました。
(当時は2シーターが確か38,000円くらいでした。今よりさらに安いですね。)
実はその頃、長椅子をかっこいいソファーとして数多く販売していたのは、D&DEPARTMENTとアパートメントだけだったそうで、
「新潟に、やたら長椅子を売っている店があるというから見に来た」と。 笑
色々と話をして、
「これからも頑張ってください」「頑張りますよ」なんてやりとりをした帰り際、
加藤さんは「近い内にこの長椅子を主軸にした新しいブランドを立ち上げる予定だから、新潟での販売は御社にお願いしたい。」と言い残しました。
そのブランドというのが ご存知、カリモク60なのです。
60ブランドを創ったD&DEPARTMENTは別として、
アパートメントは実質 ”カリモク60が誕生する前から正規販売店として認められた唯一のショップ”といえるでしょう。
(カリモク60は D&DEPARTMENTが生み出したコンセプトブランド “60VISION”の参加ブランドとして誕生しました。”60VISON”とは、1960年頃に生まれた日本の素晴らしいロングライフデザインを 人々に伝えるための仕組みです。)
1962年、長椅子誕生当時のカタログより。
60の生い立ちについてはこちら
アパートメントは、全国的にも珍しくカリモク 60を、ほぼ店舗販売で売上を立てています。
ネットでは無く、それでいてずっと10年以上全国で 10〜15番目くらいをキープしているので
カリモクの本社もびっくりしているらしいです。笑
売上が良い所は、ネット販売を主軸としている所と、直営店ですから。
ここ最近では、10,15年前に買ったKチェアのシート交換パーツの購入に来てくれる方も多くなってきました。嬉しいことですね。
パーツを取り替える事で、捨てないで使い続ける(=ロングライフデザイン)という事が成り立っていると感じます。
やっぱりパーツを取り替えられるってすごく良いポイントです。
そう言えば、カリモク60の事業が立ち上がった時に、
「まだ知名度が無くて中々売れないから、田村さん、お客さんを紹介してください」
とお願いされて何店舗も紹介したりもしました。
思えばACME furnitureや journal standard furnitureもそうでしたね。
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