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迎え入れられたチューリップのはなし

「昔もらって帰ってきたチューリップが毎年咲くんど」

と祖父の話を聞いたときは自分の耳を疑ってしまった。

確かに、まだ小学生だった頃、5月の連休中に行った先のチューリップ畑でチューリップを私と妹とで一本ずつもらって帰ってきた。

もらったチューリップはすぐに祖父の庭の、端っこに植え替えた。

そのチューリップが、数を増やして、今も毎年咲くと言う。

チューリップが勝手に増えると言う話は聞いたこともないし、種ではなく球根からさくイメージが強かったため、信じられなかったのだ。

だけど、ちゃんと咲いたあとがあるのがわかる。

そのことをお花と共にお仕事をする友人に話してみたことがある。

すると、友人は、

「確かにあまり聞かない」と言う。でも
「でもきっとお庭の植物にお迎えされたんだね!きっと、相性がよかったんだよ!」と話をしてくれた。

なるほど、庭の草木にも相性というものがあるんだ!と私は驚きと嬉しさを感じた。

そこで頭に降りてきたのがチューリップの妖精。

<チューリップの妖精in祖父の庭>

松やウバメガシ(どんぐりの樹らしい)などが並ぶ庭の端に、色とりどりのチューリップが咲く情景を思い浮かべるだけで、微笑ましくなる。

日本生まれの木々と、西洋生まれのチューリップが、祖父の庭で仲良く暮らしているのだから。

20.10.02

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