QS(クオリティ・スタート)を調査。6投球回3自責点は勝てる投手なのか?

QS(クオリティ・スタート)と言われる指標があります。先発投手が6投球回以上を投げ、さらに3自責点以内に抑えた時に記録されるものです。1年間のように期間を定め集計して、条件を達成していた数の割合(QS率)を計算し先発投手の安定度をはかる時にも用いられますね。

QS達成は先発投手が試合を壊さずに、最低限の役割を果たした試合数として現在では高く評価されています。しかし普通に考えれば、6回3点と9回0点が同じ価値な訳がないですよね?前者は防御率4.50です、同じような投球が続けばローテから外される事も多いのではないでしょうか。後者は殆どの場合は試合に勝つ内容ですよね。絶対勝つわけではないですが。

そこで今回データで確認したことは、□投球回△自責点の時はどれくらいの勝敗だったのか?と言う事をまとめてみました。データ期間は2006年から2017年の間で、2011年と2012年を除外したもので10年分の数字です。いわゆる統一球問題があった2年を含んでも別に良いのですが、普通の年とは異質だったと判断して集計からは外しました。また、イニング途中での交代は投げ切ったイニングまでを投球回とし集計しました。(例 6回 1/3 自責点3 → 6回 自責点3)


「QS登板早見表」

投球回と自責点ごとにQS達成回数とその勝敗、さらに勝利 / QS として、その内容だとどのくらいの率で勝利投手になっていたのかも計算しています。

期間内10年でQS総数は8833回あり先発投手に4818勝1751敗が記録されていました、勝利 / (勝利 + 敗戦) の勝率で言えば73.34%、勝利 / QS だと54.54%。この数字だけなら、QS達成すれば勝利投手になるのが当たり前といった感覚になりそうですね。


「自責点3だと勝利よりも、敗戦が多いのは覚えておきたい」

しかし当然ながら、投球回と自責の内容により勝敗には大きな違いが出ます。自責点3の場合に注目してみると、

6回自責3点 849QS 223勝 354

7回自責3点 520QS 172勝 216

8回自責3点 208QS 73勝 99

9回自責3点 55QS 29勝 20敗

6回自責3点では敗戦が勝利より131も多い結果。7,8回でも同様に敗戦が勝利を上回っていますね。自責が3点あると勝利投手になれる方がむしろラッキーだと言う事は覚えておきたいです。


「自責点2以下では流石に勝利の方が多い」

自責2以下に抑えれば負ける事は少なくなります。しかし、勝利投手になるのが普通かと言えばそうでもないようで、7回や8回を自責2に抑える投球でも勝利投手になる確率は50%以下なので「勝つ」為には厳しい現実があります。



「先発投手がQS達成した時のチームが勝つ確率はどうなっているのか?」

ここまではQS達成した投手が勝つか負けるかと言う事を確認してきたので、続いては同じ場合のチームが勝つ確率はどうなっていたのかも確認したい。ちなみにこの表での確率は上と同様に 勝利 / QS で計算しているので、順位決定など公式に用いられる勝率「勝利 / (勝利 + 敗戦)」とは異なります。

先発投手がQSを達成した際のチーム勝敗は5794勝2828敗でした。勝利する確率が65.59%と非常に良い数字ですね。勝率で計算すれば69.29%にもなります。そのペースで勝てば優勝すること間違いなしですね。

また、確率が50%を超えるのは自責点2以内に抑える事となりますね。データを抜きにして感覚的にも勝利に貢献する投球とはこのラインを指しそうです。

自責点が3になっても40%を切りません。先発投手自身が勝利投手になる事は少ないのですが、チームが勝利する可能性がまだまだ残っている投球と言う事では高品質な投球なのでしょうか。


今回は以上です、ご覧いただきありがとうございました。ところで来シーズンからは、沢村賞にもQSの基準が入るそうですね。普通とは異なり7投球回3自責点以内という独自のものになるようですが。QSって日本で一般的に知られた指標になってきたんですかね?



ツイッター(@aozora__nico2)でも野球データまとめて遊んでます。Sportsnavi・日刊スポーツ・NPB公式を中心に集計させて頂いています。








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