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歌詞カードを開くと、頭に手拭いを巻いた裸のにーちゃんがこっちを見ていた #はじめて買ったCD

 初めまして、青柳 千と申します。
 今まで読むだけだったのですが、#はじめて買ったCDのタグを見て、衝動的に大好きなポルノグラフィティについて書きました。

 よろしければどうぞ。


出逢い

 小学2年生のある日、私は音楽番組が流れるテレビ画面に釘づけになった。頭をガツンと殴られたような衝撃というのは、ああいうことを言うのだと思う。

私は私と、はぐれる訳にはいかないから
いつかまた逢いましょう。その日までサヨナラ恋心よ
(サウダージ/ポルノグラフィティ)

 かかっていたのは、ポルノグラフィティのサウダージ。2000年に発売された彼らの4thシングルで、ミリオンを記録した代表曲のひとつでもある。

 青いライトに照らされた彼らはひどく幻想的で、どんどん曲の世界に引き込まれた。

 この曲が好きだと思った。

 元々、音楽は好きだった。

 幼い頃から、両親がしょっちゅう旅行に連れて行ってくれた。その道中の車内ではいつも、ピンクレディーや山口百恵のような懐メロや、当時流行っていたPUFFY、私と妹のためにディズニーのアルバムなんかを、ツタヤでレンタルしては、カセットテープにせっせとダビングしたものが流れていた。

 ケースの裏の紙には、どれも母の上下も大きさもぴったりと揃った、少し丸い字が並んでいたのを覚えている(父は恐ろしく字が汚い)。

 あとになって話を聞くと、私はまあまあな音痴だったらしいが、当時は楽しく車いっぱいに響く声で歌いながら、目的地を目指したものである。

 ピアノも習っていたので、他の人よりは音楽に触れる機会は多かっただろう(なのに音痴とはどういうことだ)(今は多分もうちょっとマシになっているはず。知らんけど。)

 でも、サウダージは今まで聴いたことのあるどの曲とも違った。

 思えばあれが一目惚れならぬ一聴き惚れした、音楽に対する初恋だったように思う。ファーストラブである。

 そして、はじめて買ったCDが、サウダージが収録された2ndアルバムの「foo?」だった。アルバムが出た事を知った私は、誕生日プレゼントに買って欲しいとねだったのである。

 そう、正しくは"買ってもらった"なのだけれども、小学3年生が誕生日におもちゃを我慢してCDを買ってもらうのは、買ったと言ってもいいのではないかと、そういうことにしていただきたい。

 アルバムのジャケットは少しくすんだピンク色で、縦横に白い線が入っていた(だいぶ後からタイルの写真だと知る)(見たらわかるやろというツッコミはご遠慮ください)

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 ワクワクしながらビニールを剥がす。当時のビニールはとても剥がしにくかった覚えがある…。

 手こずりながらも開封し、まずは歌詞カードを見る。と、ここでタイトルに戻る。

 歌詞カードを開くと、頭に手拭いを巻いた裸のにーちゃんがこっちを見ていたのである。手拭いには大きく大きく平仮名で"ぽ"と書いてあった。

 ちょっとびっくりするとともに、なんだか気恥ずかしかった。

 前述のジャケットのタイルもそうだが、お風呂がテーマらしく、あとの2人も裸で(と言っても上半身しか写っていないけれど)、肩から手拭いをかけていた。肖像権とか著作権とかが微妙なので、気になる方はこっそり調べてみてください。

 今見ると、きゃっ若っとしか思わないのだが(それもどうなのか)、小学生の私にはクエスチョンマークが大きく浮かんでいた気がする。

 気を取り直し、CDを聴く。シルバーとブルーのラジカセの上の蓋を開いてCDを入れ、再生ボタンを押す。

 お目当てのサウダージ。サボテンも「これ聴いたことある!」と思いながら聴いた覚えがある。


 しかし、一周して抱いた私の感想は「よくわからない」だった。今思えば、小学3年生には、難し過ぎたのだとわかる。

 別れ話をする真夜中のコーヒーショップも、男は不器用だから大好きだなんて言えないことも、恋人がどうしてるかすぐに知りたくて部屋を飛び出して走り始めてしまう衝動も。

 結構読書家だったとは思うけれども、教科書や児童書にはそんなシーンは登場しないし、実感も湧かない私には、ちんぷんかんぷんだったのである。

サウダージとサボテンを何度か聴いて、私はそっとCDを仕舞った。

 こうして、私の初恋は儚くも散ったのである。

許してね恋心よ、甘い夢は波にさらわれたの
いつかまた逢いましょう。その日までサヨナラ恋心よ
(サウダージ/ポルノグラフィティ)

 その後は、まあぼちぼち音楽自体は聴きつつ、周りに影響されてモー娘。のブロマイドを何十枚も集めてみたりしながら、日々を過ごしていた。


再会

 そんな中、再び出逢ってしまったのである。

 あれから4年が経ち、小学6年生になった私と、「PORNO GRAFFITTI BEST RED’S」と「PORNO GRAFFITTI BEST BLUE’S」という2枚のベスト盤が。


 最初は相当悩んだ。

 foo?の思い出は私の中でほろ苦い思い出となっていた。せっかく誕生日に買ってもらったのに、数回しか聞かなかったのだから。

 また同じ思いをするのでは?いや、でもベストだから知ってる曲も多いはずだし…


 ツタヤの1番いい場所に平積みされたCDを手に取りながらウンウンと悩んだ私は、最終的にレジへと進んだ。

 これが1つの契機になった。

 私はどっぷりと沼にハマった。そう、セカンドラブである。

 4年の時間は、私に知識を授けた。まあ歌詞への実感は持てないけれども。でも、こんな感じ?と想像は及ぶようになった、だいぶ。

 そこからはもうCDが擦り切れるまで聴いた。
 旅行中の車内でも私の番が回ってくる度にかけた(迷惑な話である)。


 歌詞もすぐに覚え、ずーっと歌ってた。あの頃の記憶力よカムバック。今やなかなか覚えられない。

 そこから聞き続け、中学生になった時、ある1つの出逢いによって、さらに溺れてしまいそうなくらいにどっぷりと浸かった。

 ある体育の時間。違う小学校から入学した女の子とペアになって、何気なく好きな歌手の話になった時に、彼女が言ったのである、「私も好き」と。同年代で聴いてる子が周りでは全然いなくて、とても嬉しかった。


 そこからCDを貸し借りしたりしながら時は過ぎ、「ライブに行ってみない?」とお誘いを受け、初めて参戦。

さらに虜に。


 中学2年生でファンクラブに入りラバッパー(ファンクラブ会員のことをこう呼ぶ)になって、CDを買い、ライブに行き、DVDを買い、CDを買い、ライブに行き…

 ポルノのライブは中毒性が高すぎる。妊娠出産までは1年に1〜2回ペースで行き続けていた。

 いや、妊娠出産してもパブリックビューイングは行ったけど。ブレス聴いて号泣したけど。

今のままじゃダメかい?未来は早足でなきゃ
たどり着けないもんかい?ネガティブだって君の大事なカケラ
壮大な旅の途中さ
(ブレス/ポルノグラフィティ)

 隣のお姉さんも泣いてた。

 私は昭仁さんに「お前ら最高じゃー!!だから胸張って行けー!!自信持って行けー!!!」って言ってもらうために生きてると言っても過言ではない(どう考えても過言)。


現在

 話がそれたが、気がつけば、再び恋に落ちてからは16年、ラバッパーになって14年が経っていた。友だちはすぐにラバッパーから卒業してしまったけど、あの頃、時間を共有してくれたことに感謝してる。

 今は会報を読む時間もちゃんと取れてないし、色んなアーティストの曲を聴くけれど。情熱的な恋ではなくなったかもしれないけれど。
 テンションを上げたい時、悲しい時、やる気を入れたい時、今でも、いつも変わりなく、ポルノグラフィティが隣に寄り添ってくれている。私の核の1つで、心の拠り所でもある。もはや愛。


 今の夢は、将来いつか息子(現在1歳)とライブに行くこと。

 これからも愛が呼ぶほうへ。


(ここでいい感じに「愛が呼ぶほうへ」のイントロをかけてね!)

僕を知っているだろうか いつも傍にいるのだけど
My name is love ほら何度でも僕達は出逢っているでしょう?
そう 永遠で一瞬で君にとってのすべてだ
遠くから近くから君のこと見ている
(愛が呼ぶほうへ/ポルノグラフィティ)

#はじめて買ったCD
#ポルノグラフィティ
#foo?


“気がつけば、再び恋に落ちてからは16年、ラバッパーになって14年が経っていた”

 この記事を書いてから、5年が経っていました。ラバッパー19年目です。

 5歳になった息子とはまだライブには行けてません。なぜなら、息子はなにわ男子が好きだから。方向性が違いすぎる……。そして全然当たらないなにわ男子のライブ……。

 今回、創作大賞に小説を投稿してみようと挑戦するにあたって、過去の仕舞い込んでいたエッセイを見直しました。

 かっこがきが多くて見にくいですが、ポルノへの熱量が凄かったので、そのまま載せます。

 ラバッパーさんに届け!

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