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改善と改革のバランスを、自社との置かれている状況と市場環境を踏まえて考える

会社の経営について考える時に、私は2つのことを考えます。
1つは、現状のビジネスを改善していくことで成長を実現すること。もう1つは現状のビジネスを大きく変えて(改革して)、今までと違うレベルの成長を実現すること。どっちも大事だと思っており、さらに言えば、この2つを同時にやっていくことが必要だと考えています。

「改善」はあらゆる企業にその機会があります。業務を如何に効率的にするか、営業活動を如何に効果的にするか、さまざまな改善機会があり、これを実現していくことが組織の構成員に求められる姿勢です。担当者は担当者として、マネジャーはマネジャーとして機会を求め、それを変えていく、ということが求められます。これができれば、少しずつでも会社は良くなっていき、組織全体でこの動きができれば、それなりの成長が見込めると思います。

ただ、この「改善」の動きは相対的なものでもあります。コスト削減を目指した効率化は意味はありますが、他社がより大きなコスト削減を実現すれば、価格競争力はむしろ低下します。営業力強化も同様で、他社がより改善を実現できれば、当社の優位性は失われていきます。

さらに言えば、市場そのものが飽和し、縮小の局面に移ってしまったら、多少の改善では追いつきません。タピオカ屋や高級食パンなど、市場のフェーズが変わってしまったような業種では、できることはできるだけ早期の体制縮小で利益をどう確保していくかが最重要になっていきます。(この状態で資金繰りが尽きたらアウトです。)

そんなわけで、「改革」による長期的な成長のタネを仕込みにいくことは、相対ゲームのやり方を変えるものでもあるし、市場のフェーズの変化に備えるものでもあり、経営としては考えていなければいけないことであります。

当然、会社の置かれている状況によってこの優先度は異なります。改善で対応していく市場が伸び続けているのであれば、その伸びを超える成長を自社でどう実現するかというところにエネルギーが向けられるべきで、新しいことへの取り組みは限定するべきです。(ただし、タピオカ屋などのように一時的なブームで終わるかどうかの見極めは極めて重要です。)  

また、「改革」の動きにかまけて、「改善」による成長が得られなければ、経営者の資質が問われる事態にもなりかねません。「改革」を具現化するためにも、「改善」による漸進的な成長は、経営者が与えられる時間を伸ばすためにも必要となっていくのです。


AI作品 「ビジネスマンがPPTのプリントアウトされた資料を見ながら腕組みをして考えている」


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