【マジか…】『MATRIX REVOLUTIONS』を見ました。感想です…

MATRIX REVOLUTIONS 79点
(5段階評価なら☆4)

【点数比較参考作品】
BACK TO THE FUTURE 99点
ダークナイト     98点
INTERSTELLAR    98点
MATRIX RELOADED  95点
告白         93点
DARK KNIGHT RISING 93点
2001年宇宙の旅    92点
この世界の片隅に   91点
MATRIX       91点 +歴史的評価加点 5点 合計 96点
パラサイト~半地下の家族~ 88点
シン・ゴジラ     88点
カメラを止めるな!  88点
ボヘミアンラプソディー 87点
JOKER        86点
ロッキー1      84点
君の名は       80点
==名作だなと思うライン80点==
シャイニング     78点
えんとつ町のプペル  70点
言の葉の庭      40点


本作の感想は最初からネタバレ有りで書いていきます。
本作をこれから見る予定の人は、この感想を読まず、先入観なく
『MATRIX REVOLUTIONS』を見てくれ!




















では、書いていきます。


まず声を大にして言いたい。

本作には「問い」が無い。
1,2で問いかけてきたテーマの回収作業を、ひたすらアクションで行うだけだ…。
知的でない。
哲学的・思想的に答えを出すわけでもない。
公開はリローデットと同じ時期のはずだから、2と3は続けて制作されたと思うんだけど…なぜこうなった?
求めていたものはコレじゃない感が強い。凄く。


■■■良かった点■■■

・世界観ビジュアルの凄さは本当に凄い。アクションシーンも凄い。

・アクション作品としてみれば、楽しく最後まで見れた。

・キャラクターにも愛着が湧いているので、1,2のおかげで感情移入して見れた。

…アカン。ちゃんと楽しんで見たんだが…、でももう「何でこうなった!?」の方が強すぎて、あまり良い面を書けない。。。(泣)



■■■良くなかった点■■■

・最後の結末を見る前までは、「きっとこの作品のテーマを哲学的・思想的に示してくれるこの作品なりの答え」が見れるもんだとずっと期待していた。
…しかし。
ほぼ何も無かった。
見せたかったものは「エージェント・スミスの倒し方(アイデア)」だけなのかなと思うほど、思想的なぶつかり合いは無かった。
本当にまず、ここに尽きる。
3作目REVOLUTIONSにはテーマが無い。
やり残した展開と回収をするだけの作品になっている。
…し、終わり方もこれじゃあ、考えれば考えるほど納得できない。

・最後にマトリックスの父が「危険なゲームをしたな」と、預言者に向けて言う。
「全てはゲームでしたEND」とでも言うか…まあこういう締め方の作品も世には存在するが、本作でこれをやってしまうと、ネオが命懸けでやってきた事がいかにもチープなものにされてしまう。
文字通り命を落としてまで使命を全うしたのに、だ。
観客は、ネオの人生に寄り添って感情移入している。
それを、「スミスというバグを直すための駒でした。うまくいきました。」みたいな終わり方をされると…残念過ぎる。今までの壮大なネオの成長は何だったんだよ、と。
一応預言者は「危険だったけど、彼を信じていた」みたいに言って、整合性を保つための台詞を言わせているけどもさ。
スミスの倒し方ぐらい、AIなら思いつくだろ。
コピー元にバグを仕込めば勝手に全滅する…みたいなのはさ、結構誰でも思いつくよ。
そんな簡単な答えの為に、ネオをあんなに振り回したのかよ?

「ネオが実行することによって、AI側に恩を売ることが出来て、取引を成立させ停戦させた」というにしてもさ。
AI側としては、ネオに教わったバグの直し方だけ取り込んだら、ザイオン潰してしまえば良いよね?
全然納得いかない。


・『選択』というテーマはどこへいった?
僕は2のRELOADEDの感想にて、捨てられたプログラムであるスミスが「選択する場面が出てくるのではないか」と予想した。
それは、プログラミングされたAI側の者にも「選択する者」が現れる事で「人間」と「AI」の境界線…つまり生命と機械の境界線を曖昧にすることで対立構造を緩め、共存の方向性に物語を終着させることを予想したからだ。
この世は「原因と結果」しかない世界なのか、
それとも「自由意志の選択」が運命を変え得る世界なのか、
その答えは現実の僕らも答えを知ることは出来ない。誰もその存在を確認することなどできないからだ。
ならば作中でのテーマの収め方は、後者を希望的に描く事が好ましい。
…とあれば、1で「現実とは」、2で「人間だけが出来る選択」を描いてきた流れとして、3では「AIも選択を覚える」という風に繋いだ方がいいじゃん…。。。

ところが、3のスミスが言った言葉は、
「この世界は俺のものだ!」
↑?????????????????????????
目的だけが存在するのがプログラミングされた存在なんじゃないの!?
スミスは異分子排除だけがプログラムされた存在じゃん!
スミスはいつから世界を手に入れようとする目的意識が湧いたの!?
この時点でスミスという存在の設定が完全崩壊していて、もうテーマの終結どころではない。
「そんな作品だったっけ、これ!?!??」と、混乱。

プログラミングを放棄して生き残る選択をしてくれよスミス!!!!!
(´;ω;`)

そしてそれが共存へのヒントになるような展開で描いてくれよ…。


・カタルシスもあまりない。
トリニティーが死ぬ必要性もよくわからんし、ネオの目が潰された展開も特に深い意味が無さそうだし、「悲惨な事起こしとけば悲しい(感動する)でしょ?」という風にしか見えない…。
いや、見ている間はさ、「きっと全てが繋がるラストが来る!」と思って見てるから、「ここで死ぬ意味…」とかは思わない訳よ。
見終わってラストが納得いかな過ぎてこうなってるのよ。
物語の決着はついた。AIが物わかりよく停戦取引に応じる事で無理やりついた。
しかし。
観客の心に決着はついていない。これじゃあつかない。少なくとも僕は。


■■■総括■■■

なんで3だけ脳筋映画みたいになってしまったんだ…。
いや、脳筋映画だって僕は好きだ。
しかし、1と2であんなに哲学的に紡いできたMATRIXという作品で脳筋にするのはおかしいじゃないか…。悲しい…。
風呂敷たためなくなったから、「まあこんな感じで」になったのか…。
キャラクターに愛着があったから、楽しく見れたよ。
けど、紡いできたテーマに対するアンサーは雑すぎる。何も納得していない。
迫力の映像には興奮したし、良いスペクタクルを見させてもらって楽しめた。
けど…。
けど…。。。

あれだけワクワクした哲学的・思想的な部分に何もアンサーを渡されなかったのは…キツイ。。。
おかげで語る事も「残念な所」を挙げるばかりで、内容の深みに言及できる事も無く…。切ない。。。

メロビンジアンとの取引のシーンが力業だったことにも違和感があったし、
(賢い彼があの程度で要求を丸のみするか?)
預言者とネオが話す所で「答えはスミスか」となった流れも違和感だった。
作中で感じた違和感は、そのまま当たってしまった…。

続きものであったので79点をつけましたが、
単体映画の出来として評価するともっと下がります…。
疑問点も多々あるし、「続編で解消されるかも」という期待も無い訳なので、疑問点は疑問点のまま。そのまま作品の良くない所へと昇華されてしまいます。

近日、映画館にて現在公開中のマトリックス・レザレクションズを見に行こうと思っています。
…なんだろう、このモヤモヤを修正すべく4作目つくった…とか?笑
今度こそ納得の落としどころを見せるぜ!的な…。
どうなるレザレクションズ!!!!!

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