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大人になってもつらい食物アレルギーのリアル:お泊まり編

以前の記事にも書いたように、僕には食物アレルギーがあります。↓


体が大人へと成長していくにつれて食べられるものも増えました。(昔は米でさえ検査で反応が出た)
しかし今でも乳・卵・そば・ナッツ全般・栗などが食べれません。

これらが少しでも含まれているものを食べると即座にアレルギー反応がでます。

そんな僕が今回大学の授業の一環でお泊まりをすることになったので、お泊まりする上で何を考えてどんな苦労があるかを書いてみました。
僕と似たような食物アレルギーを持つ人、アレルギーっ子のご両親、友達にアレルギーを持ってる人、とにかくたくさんの人に届けばいいなと思っています。

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僕は今日から3日ほどを街中から離れた施設で暮らします。
周りに全く飲食店がないわけじゃないし、遠いけどコンビニに行けないわけじゃない、スーパーだって行こうと思えばいける。
難易度で言えばイージーモード。お金さえあればどうとでもなりそうなものです。

しかし近くの飲食店に食べられるものが置いてあるとも限らない。好きなタイミングで買い出しに行けるとも限らない。
そう考えると最低限の食料を持っていくのが最善策に思えました。

みなさんが普段お泊まりで持っていく「お泊まりセット」の他に、まずアレルギーの薬をカバンに入れます。
アレグラ、タリオン、セレスタミン、そしてエピペン。

どの薬も使う場面がないことを祈りつつ、それでも持っていきます。

そして次に食料。
荷物が多くなりすぎない程度に、持っていけるだけ持っていきます。

厳選に厳選を繰り返した結果、お腹にたまりそうなもので固めました。(スパムは結局あきらめました)
実はこれだけの食べ物を見つけて揃えるだけでも一苦労。レトルト食品の原材料はとっても多く、よーくみてみると脱脂粉乳だったり卵白だったりが入っています。
牛丼のレトルトにも入ってたりするので油断はできません。
シリアルもナッツが入っていたり、コンタミの可能性があるやつだったり。
ここまで考えて非常食を揃えているとなんだか自分が災害に備えているような気がしてきます。
でも実際気持ちはそんな感じ。知らない場所でお泊まり生活という不確定要素の多い事態。
来るとわかっている災害に備えているようなもんです。

そして迎えた初日、最初の昼ごはんで事件は起きました。
みんなに用意されたお弁当が食べれない僕は、持って来た食料をとっておく意味も兼ねて近所の定食屋に食べれるものがあるか探しに行きました。
中でも食べれる見込みがあったのは海鮮丼。魚にアレルギーはありません。

しかし!出て来たのは真ん中に温玉が乗った海鮮丼。


海鮮丼は大丈夫だろうとタカをくくり、写真でも見抜けなかった自分のミスです。
もう作られて目の前に出されてしまっています。そして店員さんはただ注文通りの料理を出しているだけ。
作り直してもらったり丸ごと残すにはなんとも心苦しい状況になってしまいました。

そこで僕は、中心の卵とそれが触れた部分のお米を除去して食べることにしました。
天ぷらのような揚げ物の衣に使われている微量の卵なら反応しないのでいけると思ったのです。

しかし、卵がほとんど触れてないと思われる部分にも関わらず、ふたくちで口内に猛烈な痒みが走ります。
そして飲み込んだすぐに喉も痒くなる。

一瞬でアレルギーだと確信する違和感でした。
食べて1分もしないうちに襲ってくるアレルギー反応で頭はパニックです。
とりあえずセレスタミンを一錠飲み込みます。

即座に席を立とうとしますが、目の前には大量に残った海鮮丼。
その時の僕は朝から何も食べていなかったので空腹が限界でした。
申し訳なさも感じてしまいます。
罪悪感に負けてしまい丼の安全圏と思われる部分を必死でかきこみ、お会計に向かいます。
そして店員さんに「残してしまってすみません」と伝えて急いで帰ります。
しかしその帰るまでの運動でアレルギーの進行も早まり、症状が悪化していきました。

宿に戻った頃には口と喉のかゆみに加えて吐き気、胃痛、声のかすれが起きていました。
声がかすれ出すということは喉が腫れていること。悪化すると呼吸困難もありえます。
胃痛があまりにもひどかったので、セレスタミンをもう一錠飲みました。

しばらく痛みでのたうちまわった後、クラスメイトのいる部屋に向かいました。
決して回復はしていませんでしたが万が一部屋で意識を失ったりするよりは安全だと考えたためです。

その後は食べたものが消化器官を通るにつれてその部分が症状を起こしていきました。
尋常じゃない腹痛にも襲われて人知れず痛がったあと、いつの間にか症状は治りました。

症状が治まった後はセレスタミンの副作用である眠気と、アレルギー後の凄まじい倦怠感に襲われます。
運動をしたわけでもないのに、全身が重くて眠たい。とにかくきつい。

卵でもここまでの症状が出るとは自分でも予想外でした。
温玉が微妙に触れた部分で発症したと思われます。卵のタンパク質が熱で変性しきってないから反応しやすかったのかもしれません。

なによりもお泊まり初日、第1食目で手持ちのセレスタミンを使い切ってしまったことがとても痛い。
一番頼れる薬だったのに。

こうなってしまうと残りの食事は全部「守り」の食事になります。
少しでも怪しいものは食べずに、大丈夫だと確信が持てるものだけを食べます。
攻めた食事をしないということは基本的には一度食べたことのあるものだけを食べていくということです。

その日の夜ごはんは持って来た米とレトルト。
完熟トマトのハヤシライスソースだっけ。これはアレルギーの特定原材料をほとんど含んでいないありがたい製品です。
ちょっと甘すぎるけど味に文句を言っている場合でもありません。
夜食にはスイートコーン缶。トウモロコシが食べれてよかった。

僕のこんな姿をクラスメイトや後輩に見せたくなかったのですが仕方がありません。というかできることなら空気を悪くしたくなかったし心配もかけたくなかった。心配してくれるのはありがたいけど、周りの人たちに申し訳ない(feel sorry)と思われるのも申し訳ない。だってみんなは何も悪くない。一人で自滅してるだけ。

さてこれでやっと1日目を終えられる…

と思いきやそんなことはありませんでした。危うく布団に倒れこみそうでしたが、その前にあることをチェック。
枕の中身です。
そば殻の枕だととても危険なのでこのチェックは忘れてはいけません。

枕を触った感じ、ビニールパイプではないようです。
そば殻を実際に触ったことはないのですが、プラスチックではないその感触。たぶんそば殻ですね。
少し枕を開けて中身を見ようとしましたがうまく見れず。完全に中身をだしてしまうと仮にそば殻だった場合喘息などの原因になります。
というわけで大事をとって枕は使いません。

今はその枕がたくさん乗っていたベッドでアレルギー症状が出てしまうか身を以て試しながらこの記事を書いています。
国内のお泊まりで、しかも融通が効くような環境でもこんなことに。
もちろん毎食正しい判断などができれば問題ないのかもしれません。でもいつでも正しい判断ができるほど僕は賢くないですし、なるべく普通の人のような振る舞いで食事がしたいです。

何度も言っていきますが、アレルギーは本人の問題であって、基本は自己防衛だと僕は考えます。
原材料を表示してくれるだけマシ、アレルギーを知ってくれているだけでマシ、アレルギーと伝えて嫌な顔されないだけマシ。

「乳・卵・そば・ナッツ・栗 を含まないメニューをください」と言われて困らない方が珍しいです。

「じゃあ、、、おにぎりくらいならできますが。。。」
高級料理店でもない限り良くてこんな感じの対応です。

「こちらとしては責任がとれないのでアレルギーのお客様はちょっと…」
こんな感じで断られることだってあります。

自分で自分の食べ物にありつく。それができないとアレルギーで生きていくのは難しいと感じています。まあ、それでもこんな風に痛い目に合うわけですが。

長くなってきたので今日はここまで。
喘息が起きないか怯えながら今日は寝ることにします。

珍しい日でもなんでもない、食物アレルギー持ちのよくある一日のお話でした。


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