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物理的オーナーシップ(株主・役職)ではなく、心理的オーナーシップこそ、生きがいとつながっている
言われてみれば至極当然の話なのですが、自分のものである。という意識を持つと愛着が湧きます。
それも、車を購入しました。バッグを購入しました。という物理的な「自分のもの」だけでなく、あのアイドルグループはワシが育てた的な、心理的な「自分のもの」までを含みます。
私はあまり好きではないのですが「会社に愛着をもって働け」と言う人がいます。この愛社精神という言葉、他人から押し付けられるものではないという事は明白です。他人から押し付けられて車やバッグを買う人はいないでしょう。リコメンドであっても、最終的には自分の決断であるはずです。
今日はそんな、心理的な「自分のもの」である、心理的オーナーシップについて書きたいと思っています。
心理的オーナーシップを語る前に、物理的オーナーシップを把握しておきましょう。
物理的オーナーシップとは
・株式(株式会社における議決権)
・役職(取締役など登記によって守られる地位)
・権利(予算・情報・決定権による実効支配)
が挙げられます。
物理的オーナーシップは、今日の社会において、たしかにオーナーシップを感じさせてくれるツールではあります。しかし、一夜にしてオーナーになれるものです。一夜にしてオーナーになれるという事は、一夜にしてオーナーを追放される可能性がある。という事と同義です。よって、物理的オーナーシップを保持した瞬間から、物理的オーナーシップを失いたくない(追放されたらどうしよう……)という怖れと不安と葛藤する事になります。
この怖れと不安が資本主義の文脈と相まって、過度な支配を組織に生み出していると考えています。
したがって、物理的オーナーシップは社員全員が平等に一人一つ保有すれば良いのではないでしょうか?全員に分散させてシステムデザインすれば、失ったらどうしようという不安も存在しません。
まず、物理的オーナーシップをシステムで肥大化させない事が重要です。
そして、心理的オーナーシップへ。
物理的オーナーシップと異なり、心理的オーナーシップは一夜にして獲得できるものではありません。その性格のため、一夜にして崩れる事もないのです。
さて、人はどのような時に心理的オーナーシップを感じるでしょうか?
・あのアイドルグループはワシが育てた
・あのバンドはインディーズ時代から知っている
・あのプロスポーツ選手を個人的に応援しているので移籍しても移籍先を応援する
・このアニメに救われたから人生のバイブルになった
例示はいくらでも出せるところですが、みなさんだったらどのような時に心理的オーナーシップを感じるでしょうか?というのを思い出してみていただきたい。
総じて傾向として言えるのは、アートの世界にある。という事。
アートの世界は比較対象できない世界です。ゴッホの絵とベートーヴェンの楽曲に優劣は付けられないですよね?
他との比較で心理的オーナーシップを持つキッカケになったのではなく、なんとなくその世界観に(あり方に)惹かれたから。という、アート的思考で応援するキッカケになったと言えます。
音楽・絵画・スポーツ・アニメ・小説等、これらの分野はアートだよね。と素直に言えると思いますが、ビジネス(株式会社)でアートだよね。と言えるものってありますか?
我々は、自分の会社にアートを取り戻す必要があるのではないでしょうか?
創業者はもともと、アートな思考を持っていたはずです。この仕事が世の中に広がると綺麗だろうな〜。というように。
我々は大河の一滴であるのだが、その一滴が滲み絵のように、じわっと周囲に色をつけていく。
そんなアート思考を取り戻す必要があるのではないか?
自分の行動が色をつけていく。
それは自我から来るものかもしれないけれども、それで良いのではないか。色は色であるのだが、その色に染まっていく自分を楽しめば良い。
それこそ、今を生きるという事であり、色にとらわれない生き方になる。
生きがいのある人生となる。
スザンヌ・クック=グロイターは
人生の著者になっているという感覚 (self-authorship) があることに基づいている。人生において、自分という事業 (self enterprise) を統率する者です。
という表現をしています。
これが生きがいであると言えます。
人生は得か損かではありません。成功か失敗かでもありません。
人生はアートなのです。自分と他人を比べる事はできません。
自分のアートな感性にしたがって、自分の人生を豊かに歩んでほしいと切にねがいます。
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