シャペロン

ごきげんよう。青の半纏です。

シャペロンはえっちな言葉ではありません。シャ、ペロンじゃないんです。

英語で、もともとは社交界デビューする若い女性に熟練のご婦人が同行してお作法の耳打ちをする、その人を指す言葉です。
オリンピック村の女子選手の世話をする人もこう呼んだりするそうです。

そしてその語義は派生して生命科学の用語にもなります。
単にシャペロン、あるいは分子シャペロンという言葉になります。

みんながお願いマッソウするタンパク質にまつわります。
タンパク質というのは普段フォールディング、折り畳まれ立体的な構造をとります。シャペロン自体タンパク質なのですが、その他のタンパク質が正常に折り畳まれた状態を保持するのに一役買うわけです。

介添えの役割を持つタンパク質で、先述のシャペロンの名に倣って分子シャペロンと相成ったわけです。

こういうある種の当意即妙さはボクが常々欲しているものだなあとこの話を目にしたとき思いました。

別の言葉であるものを形容するときにはセレンディピティーもありますけど、「見聞と感情の末にあるもの」だなと思うんですよ。

ずーっと見ていて、「あれ? これってアレと似てないかね」みたいなところから生まれるわけです。生物学者がシャペロンという単語を知っていて、かつこれをシャペロンとしようと思わなければ生まれないわけです。道理と感情を既存の言葉の鋳型のなかに流し込んで、新たな理論や概念を確立するという工程のなんと香しいこと。

「この気持ちに名前をつける」みたいなものはボクからするとご馳走で、ついつい食べ過ぎて心の健康診断にアラートが出そうですが。

短い言葉や単語のなかに感情や概念を転写してしまう作業はポエムや歌で日夜繰り広げられていて、ときたま小粋なワンフレーズを見ては「自分が思い付きたかった……」みたいな気持ちにさせられちゃうわけですが、それもまたシャペロン。

ボクらの感情のダンスフロアに躍り出る、その介添えとして機能するのかなあなんてペロンペロンとおもいましたとさまる

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