リーチ、ポン、チー、ロン、カン無し縛り。

 ※フィクション


『兄さん』がきた。

兄さんはふらりとどこかにいくと数年いなくなってからふらりとまた街に来る人だ。

兄さんは自慢のロン毛をかきあげながら私に

「青ちゃんTwitterみた。

あれ俺でしょ?」

というと

「ははは‥そうす。すみません、勝手にかいて。」

「いや、いいよ。感謝してる?」

「はい!それはもう絶対してます!」

「ならいいよ。てか、あのあとの話したっけ?」

と言って話てくれた



どこかの場末で何も言ってないのに

『ロンっていまいったよね?』

と言われてチョンボを取られた

そんなトラブルが起きた雀荘に兄さんはまたいったらしい。

で、そのクソ雀荘のドアをチリンチリンと開けて

「何やら新参者がお気にさわったようですみません。今日はワタシは『ツモ』以外の動作を無しにします。これなら誤ロンだなんだとトラブルも防げますよね?ツモだけは無発生になりますがそれはご容赦ください。」

というと三人は目を丸くさせながら

「え~そんなことあったかな?」

「でも、兄さんがそれでいいならどうぞどうぞ。俺たち普通にやるだけだし。」

「てか、美味しいし!」

と手を叩いて笑っていた。

「ありがとうございます。じゃあせっかくなんで回数を決めませんか?一応フリー麻雀ですし、ご縁があるお三方と私はやりたいですし。」

「じゃあ今は昼の13:00だから回数じゃなくて0:00までにしよう。」

「ここは先ヅモありだからはえぇぞお。1半荘20分は当たり前!ポンチーする乞食もいないしな。」

「てか元々このお兄さんできないしな!」

というとまた笑った。

「ありがとうございます‥で、

(ここでメンバーを見る、メンバーは競輪に夢中でカウンターから出ていない。)

『お気持ち』はこのままで?」

ふ、と三人が顔を合わせた

「お気持ち‥お気持ちって店が決めたレート?」

「レート変えたらここの店長怖いしな‥」

と、頬を人差し指でなぞってから

「あ、でもウマならばれないな。差し馬なら。」

「そうですか。ならお三方と私が三方握りなんて如何ですか?一着順5000。私がラスなら3着の方には5000、2着には10000、めでたくトップの方には15000。逆なら逆に貰います。」


流石にざわめいてきた、ちょっと話がおかしい。
この店は1-1-3 鳴き祝儀500
とピンの中でも高い方だがこんなルールで提案をするのは流石におかしい

「え‥?」

と三人のうちの一人がいうと兄さんは

「いえね。」

と、本当に屈託がない笑顔で自慢のロン毛をかきあげながら

「この街で商売しようと思っているんですがまぁお三方、中々この界隈に名が通ってる方と聞いたんです。で、お近づきの印‥という意味もあるんです。勝てばそりゃあ私も美味しいし、負けても」

というとクラッチバッグからボウンと万札の束を出し

「仲良くできるでしょ?『ロン』とか言っていじめないでくださいよ。」

兄さん曰く、人は賭場で大金を出すと目の色が本当に変わるらしい。

それは餌を前にした犬のように

「本当に本当に『ツモ動作』だけでいいんだな?」

「おっしゃる通りです。私はツモ動作しかしません。」

「乗った!兄さんに付き合うよ!」

「俺も!」

「私も!」

「そうですか、では初めましょう。」


チリンチリン


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