麻雀 ランナー。

 こんなに暑いと思い出す、彼との出会いを


 何年か前に雀荘に



マラソンランナーか時空を超えたダマおじさんみたいな格好をした新規がきた

その人は

「いやーー!!暑い!!今日は!!暑い!!」

と松岡修造みたいなことをいいながら入店したので店長は

「いらっしゃいませ。お飲み物は何にしますか?」

と聞くと

「すみません、ジョッキグラスにデカ目の氷いれて水もらえますか?」

と渋めのオーダーをして、持ってきたグラスを一気に飲み干した。


夏、である。
この男は夏を完全に身体で表していた。

そして、飲み終わると

「すみません、ツメシボもらえますか?」

と冷たいおしぼりで顔を拭いて

「ふひゃあああ!!生き返る〜〜!って今まで死んでたんかーーい?」

と空中にツッコミをいれていた。

乾いた笑い。

冬、である。


で、店長がルールブックを持ちながら

「当店初めてですよね?」

「はい!初めてです。」

「他のお店とかいかれました?」

「ああ!横浜の◯◯とか☓☓とか。」

「ああ、ならルールは近いですね。」

とルールブックをみると、男は携帯電話を取り出して

「あ、すみません。その前に電話してきていいですか?」

といったので

「どうぞどうぞ!」

というと、入口にいって

それっきり帰って来なかった。

途中、

「あれ…いまの新規電話長くね?」

と不審に思って外に出たらいなくなっていた。 

我々はマラソンランナーみたいな格好をしていたので

「今の人、ここを『給水所』と勘違いしたんじゃないか?」

と思い、『給水』と名付けたのだがそれっきり彼の姿を見たものはいなかった


ひょっとしたら、次はあなたの街にも…?





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