2023年の振り返り
たくさん文章が書けて楽しかったです。文章を書くことはなににも代えがたく楽しいので、来年もたくさん文章を書きたく思っております。
今年は《幽霊:unpurposefulness》をキーワードに制作をしていました。年初には《幽霊》という言葉を「目的とは関係のないところにただ存在するなにか」と定義しておりました。なにかに役立つことを目的として存在させられる、強制力のようなものとはオルタナティブな存在の仕方として《幽霊》というものになることは可能なのか、というような問題意識でした。
はじめての長編小説『私は命の縷々々々々々』はそうした場所から出発した小説でした。しかし、制作に取り組むうちに《幽霊》には「粘性を持つもの」との定義もありうることに気付きました。流体を定義するには、そこに二者以上の関係が必要となり、かつ、それがいかなる存在であったのかは事後的にしか決定されません。事前になにかを定めるのではなく、常に変化する関係によって方向づけるという仕方について考えることのできる一年であったように思います。
《幽霊》についてのリサーチをまとめた小説は2024年のなるべく早い時期に発表出来ればいいなと考えて執筆中です。発表媒体は未定ですので、ご興味のある媒体のかたがいらっしゃいましたらぜひご連絡ください。
来年発表予定の作品もすでに数点上がっておりますので、2024年も引き続きお楽しみいただけますと幸いです。本も何冊か出せればと思います。
以下は2023年につくったものの振り返りです。
■本
『私は命の縷々々々々々』
はじめての紙の単著が出ました。
『破壊された遊園地のエスキース』
はじめての短編集が出ました。
■短編
「サロゲート」
ウェブマガジン『anon press』へ寄稿。
「アリビーナに曰く」
『大阪SFアンソロジー』(Kaguya Books/社会評論社)へ寄稿。
「ツァールター・ダイアグラム、あるいは象形の呼び声」
ウェブサイト『日本魔法魔術学会』へ寄稿
「ドロステの渚にて」
『零合 創刊号』(零合舎)へ寄稿。
「光のためのエチュード」
ネットプリント『CALL magazine』へ寄稿。
「〈胞示院掩庭・三段面〉評」
「破壊された遊園地のエスキース」
短編集『破壊された遊園地のエスキース』へ書き下ろし。
「of the Basin Ball」
ウェブマガジン『anon press』へ寄稿。
「六艘目」
鳩ほがらかアンソロジー『鳩のおとむらい』へ寄稿。
「ガシャン」
ホラーアンソロジー『INITIATION』へ寄稿。
「ヴェイパー・プリンセス」
『小説すばる 2023年12月号へ寄稿。
■論考
「エアにに』 言葉のオブジェクティビティ――テクスチャの豹と歌詞空間の庭を作る」
『ユリイカ 2023年12月号 特集=長谷川白紙』(青土社)へ寄稿。
「転用される婚姻制度――恵恋はなぜ「結婚」を求めるのか」
『読書サロン発、百合コレクション2023~『百合小説コレクションwiz』を読む~』(ますく堂なまけもの叢書)へ寄稿。
■その他
今年は日本SF作家クラブに入会しました。来年もばりばり書いていければと思います。
改めて、2024年もどうぞよろしくお願いいたします。
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