魔法自転車教習所(ショートショート)

私は期末テストに出てくる範囲の呪文の勉強をしていた。
変身魔法に、身代わり魔法、覚えることがいっぱいで、頭がいっぱいになるが、明日がテストなので、詰め込まないといけない。
私が自分の部屋で、勉強していると、ズカズカという足音ともに、母親がやってきた。
母は、「期末テストが終わったら、夏休みに入るでしょう。そしたら、時間があるし、魔法自転車の免許を取りに行きなさい」と言った。
威圧的な命令形に、嫌な気分になりつつも、免許をとって、魔法自転車に乗りたいと思い取ることにした。
期末テストが終わり、夏休みが始まった。
母の言う通り、免許を取るために、教習所に通った。
教習所に行くと、ミッションかオートマと呼ばれるどちらかを選択するように言われた。
私は魔法自転車に詳しくなかったので、よくわからなかったので母に聞いた。
母はそんなことも知らないのかという態度を醸し出しながら、説明してくれた。
ミッションというのはホウキだけで、伝統的な魔法のほうきのことである。
バランス感覚が必要で、スピードの調整が難しいし、座席がないので、お尻が痛くなるそうだ。
オートマは、座席があり、ペダルを漕ぐことによって、スピードを調整できるし、簡単に乗ることができるという。
私は、簡単な方がいいと思って、オートマの魔法自転車を選ぶことにした。
母が教習代を払ってくれて、通うことになった。
予約制で、全然取ることができないし、まったくと思いつつ予約画面と睨めっこをする毎日が続いた。
やっと予約を取ることができて、教習を始めることになった。
教官の指定もできるみたいだが、指定すると長引くだろうなと予測できるのでやめている。
今日の教官は、おじさんで、ベテランオーラを感じた。
おじさんは、首にかけているネームプレートをみせて、自己紹介をした。
私は「よろしくお願いします」といって、首を少し傾けた。
丁寧に、ネームプレートに書かれた名前を見せてくれたのだが、申し訳ないが、覚えていないため、なんて呼ぼうということを頭の中で考えていた。
おじさんは、私がこんなことで、悩んでいるなんて、知るよしもないため、魔法自転車についての説明をしている。
私はこの時、やっと我に帰って、説明を聞かなければならないと、気がついた。
箒の先端にあるスイッチを押すと、数センチ浮くので、またがり座席に座って、ペダルに足を乗せて漕ぐだけで、動かすことができた。
私は宙を舞い風を体感しているこれほど楽しい感覚を感じたのは、初めてのことだった。
おじさんが、帰ってくるよう指示をしたので、私はおじさんの方に戻った。
教習場内を一周して感覚を掴むというのが、課題らしい。
私は「わかった」と言ってふたたびまたがり魔法自転車を走らせた。
空を飛ぶという感覚になれながら、走らせているとだんだんと楽しくなってきて、一周では物足りず、2周、3周してしまった。
おじさんは、メガホンを使って、「次の課題があるから、戻りなさい」と怒った。
私は、ため息をついて、おじさんの方に戻った。
次は急ブレーキの仕方について学ぶというこれが、本日の予約分最後の課題だという。
私はまたがって空を飛び、箒の持ち手部分を掴んで、思いっきり上に押し上げた。
急ブレーキすることができて、やったーと思っていると、教習が終わりの時間がやってきた。
私は空を飛ぶという感覚をもっと味わいたかったので、もどりたくなくなり、ずっと魔法自転車にまたがって空を飛んでいた。
次の教習があるため、降りるよう指示をする教官を無視して飛び続けていた。
すると、教官は、ポケットからコントローラをとりだし、私が乗っている魔法自転車を、操作し始めたのである。
私のいうことを聞かなくなってしまった魔法自転車に振り回されて、叫びながらおじさんの方へと向かっていた。
私は、学校で習った変身魔法を、コントローラにかけて、コントローラを、ヘビにして、おじさんが操作できないようにした。
私はやったーと言いながら、ひき続き空を飛ぶことを楽しんだ。
おじさんは、カンカンに怒り、蛇にされたコントローラを戻そうとしたが、かけた本人が解かないことには、魔法をかけることができないため、私が乗っている魔法自転車に変身魔法をかけてクションにすることを思いついた。
おじさんは、魔法自転車に乗り、私を追いかけた。
そして、変身魔法を使い魔法自転車をクッションにしようと思いかけたのだが、私ごと魔法にかかってしまい両方ともクッションになってしまった。
その後、おじさんは地面に落ちた私と魔法自転車をもとに戻した。
私は誤って、蛇にしたコントローラをもとに戻して、教習は終わったのだが、教官の指示を無視したとして、危険運転の疑いがありとして、免許を取らない方がいいと怒られたのである。







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