異世界ダイヤル(ショートショート)
私は異世界の光景を見ることのできる機械である異世界ダイヤルを買った。座標を合わせれば地球じゃない惑星の光景さえも見ることができる。
ザーッ
ザーッ
ザーッ
私はダイヤルを適当に回して、座標を合わせた。
すると、惑星f-12の北緯30度地点のどこかの国の風景が映し出された。
サバクツノトカゲの顔をした直立二足歩行型の生物が、何やら蛆虫のでかいやつをお皿に盛り食べている映像であった。
違う惑星でも、生きるために食事を取るという考えは変わらないらしいとノートにメモった。
これは、実は趣味で映像を見たわけではなく、異文化について知るという勉強の一環である。
勉強を終えて、テレビをつけると、f-12惑星がモデルだと思うようなアニメがやっていた…
「あの惑星をモデルにしているんだろう」
そんな言葉がポロッとでてしまった。
このアニメの原作者が、アイデアに行き詰まると、異世界ダイヤルを回して、地球じゃないどっかの惑星の風景をみているとどっかのインタビューで話していたことを思い出した。
現実の世界の複雑さが、より何か熱狂的なものを惹きつけるということなのだろうか。
そんなことを、頭の中に思い浮かべてから、異世界ダイヤルにどっぷりハマった。
ダイヤルを回していろんな惑星の映像を見てみたのだが、ほとんどの惑星の生物は知能が明らかに、人間よりも低く、昼夜本能のままに生きているようであった。
ただまれに人間のように知能が発達している生物のいる惑星もあったのだが、どれもこれも同族種と競い合う傾向があり、格差社会がひろがっていた。
結論、どの惑星も破壊と形成を繰り返すか現状維持でしかないという答えしかないのかもしれない…
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