ゴーゴー幽霊船(ショートショート)

17歳の彼女は両親に連れられて、とある病院で入院することになった。
病室に入って、ベットに横たわると、隣のカーテンがかけられているベットに誰かいるような気がして、声をかけたが、返事は返ってこなかった。
すこし、不安を和らげたかったから、声をかけてみたのが、恥ずかしくなった。
かけ布団を頭まで、被って隣の人は無愛想な人だなと勝手に思った。
病室を出て、ぶらぶらと病棟内を散歩しようと思って、体を起こして、病室を出ようとする前に、隣のベットを覗いたら、誰もいなかった。
彼女は、深呼吸をして、誰かいたら、戸惑ってしまうから、誰もいなくてよかったと思って、病室をでた。
病棟内をぶらぶらしていると、キッズルームに通りかかった。
誰もいなかったので、ビデオカセットを入れて、アニメを見た。
アニメを見終えて、カセットを出すと、飛び出ていた中のテープを引っ張ってしまい。ビロビロのテープを出してしまった。
テープを頑張って直していたら、小さな男の子がやってきた。
男の子は、「何をしてるの」と彼女に聞いた。
彼女は、何かを感じて焦って、逃げ出して、病室へと逃げ込んだ。
次の日彼女は、鞄に入れていた筆と少し乾燥していて出るかどうかわからないインクと画用紙を取り出して、この病棟から自分だけ、抜け出したくて、大きな船の絵を描いた。
ビデオカセットを壊した犯人をきっとどこかで探している人がいると思うと、申し訳ないと思いつつ自分がやったと彼女は言えずに、黙り込んでいた。
絵を描いていたら、扉の開いてるドアから騒がしい音が聞こえた。
体を起こして、騒がしい向かいの病室に行ってみると、看護師たちが慌てて、スーツの入れ替えをしていた。
彼女は、「何があったの」と聞いてみると、看護師は「退院したんだよ」と言っていたが、自分の病室に荷物を置きに行った時に、覗いた向かいの病室にいたこのベットにいた人は、退院できそうな体ではなかった。
彼女は、病室に戻って、船の絵に、向かいのベットに寝ていた子を描きたした。
彼女は目をつぶって、寝ようと思ったけど、まぶたからなぜか涙が流れでた。
寝れずに起き上がると童謡を口ずさみながら、病室に落ちている紙袋と電池と空き缶を拾い集めた。
そして、彼女は、集めたものたちを、抱きしめて、息をゆっくりと吹いて気持ちをおちつかせようとした。
すると、集めたものたちは、勝手に動き出して、アンドロイドになった。
アンドロイドは「僕は幽霊だ。本当さ、君には見えないだろうけど」と呟いた。
そんなこんなで、彼女とアンドロイドは、彼女と一緒に、童謡を口ずさんだ。
楽しそうに歌うのを聞いた彼女の描いた船は、紙の中から飛び出して、彼女とアンドロイドを乗せて、行進する。
どこに向かうなんて、わからない。これが善いことなのか悪いことなんてわかったところで、行進は止まらない。
アンドロイドは、キッズルームで見た彼女の背中に恋していたので、愛してるということを伝えなければならなかった。
船は、閑静な街に通りかかった。
アンドロイドは、自分の正体を隠して、彼女を騙して、ここまでやってくることができたけれど、幽かな言葉を探して、あなたに恋焦がれて、あなたの様子を毎日のぞいていたこと、全てをあなたに知ってほしいと思った。
閑静な街に住んでいる少年兵たちは、船に気づいて、手を振った。
すると船は、着陸して、彼女とアンドロイドは、閑静な街に降りた。
アンドロイドの恋心に共感した少年兵たちは、
アンドロイドの恥ずかしい気持ちを隠した。
少年兵たちが、恥ずかしい気持ちを隠してくれてるから、自信を持って、アンドロイドという殻を破り捨てて、見えない僕が、君を一生守ってみせるということを信じてほしいと彼女に伝えた。
船は、大きく目を見開いて、太陽系の奥の奥に行ってしまった。
彼女は帰りたくなって、幽霊船に飛び乗ろうとしたが、アンドロイドは、それを止めた。
もし、一生恋をすることがないという占い結果が蔓延れば、恨みを持ってしまうだろう。
アンドロイドは、少年兵たちと一緒に、拡声器を持って、大声で彼女に決意を述べて、信じてもらうしかない。
幽霊船は、自分を産み出して、くれた彼女に感謝して、彼女を守るために、少年兵とアンドロイドに怒り散らした。
アンドロイドは、遠い昔のおまじないが、嘘であることを知って幽霊船に乗り込み、ここで彼女と暮らすという夢が破れ修羅に堕ちていった。








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