パークマイセンキュー(ショートショート)

久しぶりに教授から連絡があって、研究施設を訪れた。
研究施設を訪れると、機械を頭につけるようにと言われて、装着すると、私の意識は、頭の中にあった。
その状態を、脳内遊園地にいるというらしい。
私が脳内遊園地で、遊ぶ様子を観察している学者たちは、私の頭の中の世界を、スケッチし始めた。
パーク内は、写実的で写真的な、建築物、乗り物、の幻影が、突如現れていた。
学者の一人は、「これは、現実での生活が影響したのではない。もっとプラモ的で、人物よりも小さい建造物が並んでるこれは、何を意味するんだ」と呟いた。
その呟きに即座に反応した学者は、「おそらくこれは、世界を我が物にしたいという欲求が絡んでいるのでしょう」などと言い出したのだ。
好きな模型を自分の周りに配置していただけだというのに、迷惑な話だ。
だが、恐ろしいことに、私の悲痛な叫びなど、誰も聞いてくれやしない。
見ている世界はもっと単純で、つまらなく明快だというのに、それに気づくことを、恐れてあーだこうだと憶測しているのかと思った。
パーク内から、目覚めると、学者たちは、なにやら険しい顔をしていた。
「本日は、お疲れ様でした。これによって、あなたの潜在意識的思考について、わかってきました。」
私は、驚いて、「潜在意識的な思考とは何ですか。教授に、面白いものがあるから、体験してみてといわれて、やってみただけなんですが、何かの検査だったのでしょうか」と聞きいた。
学者は、狂った高笑いをしながら、「えぇ、検査だったのですよ。脳電撃の影響を受けているかどうかの」と言った。
私は、首を傾げながら、学者たちの説明を聞いた。
私の脳は、脳電撃による影響は受けていなかったが、危険思考に値する考えを持っているらしい。
「はぁ、そうですか。危険思考に値するものは、公正思考推進施設に、無料ではいれるんですか。」
学者たちは、ニコッと不敵な笑みを浮かべ「そうですよ、無料で手配させています。公正思考に、補修することは、我々に秩序と平和をもたらしますから」と言った。
だが、私は、この学者たちが、気持ち悪くそして、胡散臭く感じて、施設に入ることを断った。
私は、家路を急ぎながら、怒りを抑えることができず、「なんなんだ。まったく公正施設なんて入るか。あの脳みそを脅かす脳電撃を使用する集団と一緒にしないでほしいなぁ」と怒りに身を任せとっても大きな独り言を披露してしまっていた。
数人の冴えない男に、独り言が聞こえってしまっていたようで、私は人気のない廃工場へと連れて行かれてしまった。
目隠しをはずされて、目を覚ますと、そこには、怖い顔をしたおっさんが、やってきて、「兄ちゃん脳電撃ビジネスについて興味あるんか。」と尋ねてきた。
当然、そんなビジネスには興味がなかったが、生き残るためには、やりますと言って同意せざるおえなかった。
「威勢がいいなぁ、期待してるよ、こっちへきてくれ、みせたいものがあるんだ。」
怖い顔をしたおっさんは、そう言って、大砲みたいな、機械をみせてくれた。
機械を見ながら、呆然としていると、おっさんは、さっきとは、一変陽気な声で、「このレバーで、人の頭に、標準を当てる。そして、ここにある紐を引っ張ると、赤外線レーダーが発射され、命中したら、狙った相手の頭の中と繋がることができるんだ。
頭の中と繋がることができたら、この、今暗い画面のパソコンが起動する。そしたら、成功だ。簡単だろう」と説明した。
この説明には、なにか肝心なことが抜けていると感じた私は、「相手の頭とつながらることができたら、何をするんですか」と聞いた。
すると、怖いおっさんは、それはお前が信用できる人間だと、俺たちが認めたら、おしえてやると言いたいのかわからないが、「また今度教えてやる」とだけ言った。
初仕事を終えて、帰ろうと廃工場をでて、家に帰ろうとしたが、何かモヤモヤとして、引き返した。
すると、私を捕らえた人と怖いおっさんが何やら話をしていた。
「ボス、あいつ信用できますか。あいつあの、研究施設に出入りしていたのに、脳電波妨害防護服を唯一着ていなかったんです。」
「だったら、何で連れてきたんだ。」
「あいつは、俺たちのことを警戒していなかったから、脳電撃を使用して、施設の秘密を暴露させようと、したのですが、全く手応えがない。施設の関係者なら何か知っているというのに、ボスなら何か知っているかと思って連れてきました。」
「なるほど、脳電撃の影響を受けないとなると、そいつはたぶん利用価値のない社会不適戦力外通告未熟脳の持ち主だな。何か上手いこと言いくるめられて、研究に参加させられたのだろう。」
「まったく可哀想なやつですね」
「あぁ、だが、俺たちもそれに当てはまる人種だがねぇ、だから生きづらいんだが」
「たしかに、まぁそれはそうと、聞くところによると、脳電撃の影響を受けた患者を治す機械を作っているらしいです。」
「それは、本当か。だが、そんなの今の技術では、不可能だろ。」
「ですよねー、だからただの噂だと思うんですけど、」
「マジで治療されたら、こちとら商売あがったりだよ」
「そうだよなぁ、マジで」
というのを、私は盗み聞きました。
心底、自分の脳みそが変で、よかったと初めて思う体験だった。
僕の脳内遊園地、おぅー、パークマイセンキュー…………。















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