一人だけ早起きな男(ショートショート)

僕は、目を覚ましてしまった。
いつもは、もうちょっと遅い時間に目を覚ますので、驚いた。
寝床から起き上がり、大きな欠伸をして背伸びをする。
「グワァー」と雄叫びを発しながら、この背筋を伸ばす毎日の習慣に、特別朝早く起きた版をつくりたくなってくる。
早起き版の習慣を作ろうと思ったのだが、実行に起こす気は、まったくおこらなかった。
「はぁーテレビでもみるか」
ニュース番組でもみるかと思って、テレビをつけてみたのだが、ニュース番組どころかなんの番組もやっていない。
あわてて、時計を確認する。
「5時」
もう、テレビ放送が本来ならば、始まっている時間である。
「おかしい」
なぜ、テレビ放送がやってないのだろうか。もしかしたら、私以外の人間が全員寝ているのではないかと思った。
とりあえず学校に出かける時間まで、もう一度眠ろうと試みた。
だが、一向に、眠気がやってこないし、いつもよりも頭が目覚めている。
そうだ、外に行こうと思い散歩する。
車がひとつも走っていないし、誰もいない、
はぁーとため息をついた………
「早く起きなさい」
母の怒鳴り声が頭の中に響いて、飛び起きた。
そして、時計を確認した。
「はぁ……」と私は深くため息をつき、学校に登校する気を失った。


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