20歳の再会2.(ショートショート)

3年前に成人式で出会った僕らは、同棲生活を始めた。
同棲生活しているある日の朝食のこと、僕は、明日のことについて話していた。
「明日の9日、妹の成人式なんだよ。だから久しぶりに実家帰ろうと思ってさぁ」
長堀千聖「それは、お祝いしてあげないと」
「うん、でも久しぶりに、実家に帰ってきたらびっくりするかもしれないな」
長堀千聖「もしかしたら、私たちが喧嘩したなんて思うかも」
「まさか、そんなことはないと思うけどね」
長堀千聖「まぁ、でもお兄ちゃんにお祝いされたら嬉しいよ」
「うんだよな」
僕は時計を確認すると、出勤した。
その後勤務は終了して、帰路を歩いていると、ユウゴから着信が来た。
ユウゴ「おぅ、久しぶり、相変わらず元気か。」
「あぁ、相変わらず普通に生きてる」
ユウゴ「そうか、ならよかった。」
「どうした、お前から連絡って、珍しいよなぁ」
ユウゴ「仕事やめたんで、報告に電話しました。」
「えっ、お前仕事やめたん」
ユウゴ「そうや、人間関係うまくいかんくてな。
今度飯行かん、たっぷり愚痴のストックあるから発散させてや」
「まぁ、聞いてやらんこともないけど」
ユウゴ「うっすぅ、いつでもいいんで、あんさんの奢りで、お願いしやす。」
「そうですね、まぁ次会うのは、2年後にいたします。」
ユウゴ「却下します。明日とか暇ですか。」
「明日は、妹が成人迎えるから、実家に帰ろうと思ってる」
ユウゴ「いいねー、俺も連れってってよ」
「嫌だ。大人しく仕事でも探しておけ」
ユウゴ「まったくぅ、冷たいなぁ、」
「電話切るから」
僕はそう言うと、呆れながら、電話を切った。
あいつのことだから、もしかしたらやってくるかもしれないなと思いながら、実家へと向かった。
「久しぶりだなぁ、」
インターホンを押してそう言うと、玄関先から家の様子を伺った。
すると、家の中から、妹が出てきた。
妹「どうしたの、今日は私の晴れの日なんだけど」
僕「わかってるだから、お祝いしにきた」
妹「そう、ありがとう。気をつけてねお兄ちゃん、お母さんが勘違いして、駆け落ちした恩知らずの息子だと思っている。近所じゃ噂になってるのよ」
僕「駆け落ちなんかじゃないよ、」
妹「でも、むこうとここの両親共に反対されてるんだよね」
僕「確かにそうだよ、でもちゃんと仕事してるし、行方くらませてないから」
妹「でもお母さんのラインブロックしてんでしよ、被害妄想が激しいじゃないあの人はむかしから、気持ちは嬉しいけど誤解がとけるまでは、来ない方がいいと思うよ」
「母さんいんのか、ちょっと話するよ」
妹「わかったちょっと待っててね」
妹はそう言うと、家の中に入っていった。
僕はまだ怒ってるのかなぁ、と思いつつもソワソワしながら待っていた。
すると、今度は家の中から、母が出てきた。
母「どちら様ですか、そんなとこにいられたら、あの子が安心して出発できないでしょ中に入りなさい」
僕はなぜだかわからないけど、すこし一礼して、「あぁ、入ります。」と言って中に入った。
中に入ると、晴れ着姿の妹がいた。
「似合ってるかなぁ」
少し照れながら妹がそう言うと、ぼくは、「とっても似合ってるよ」と返した。
「ありがとう」
妹は、笑顔でそう言うと会場へと向かった。
妹がいない家では静けさが、漂っていた。
その静けさに耐えかねて、テレビをつけると、今年は18歳から成人なんで、三学年同時だとか呑気に言っていたが、国民年金保険をむしり取ることしか考えていないのだと思うと、吐き気がしそうになった。
その吐き気を必死に堪えて、母にブロックしていたことを、謝る。
「ごめん、挨拶に来たきり、連絡もしなくて」
母「母に反逆してまで、自分の好きを突き通すそれくらいの覚悟が、あんたら2人にあってよかったと思ってる。」
「それってつまり俺たちのこと、認めてくれるってことか」
母「そうや、すぐネタバラシするつもりやったのに、あんたら3年も粘るんやもんびっくりしたわぁ」
「よかったすぐにでも、千聖に報告するよ」
母「ちょっとその前に、向こうの両親は、何と言ってるねん」
「向こうの両親は、僕のとこの両親が許すまでは、許すわけにはいかん」って言ってる。
母「わかった。じゃあ向こうの両親に私が連絡する。お母さんはもう安心やからな、あんたは
いつ式をあげるか考えといたらええ」
「えっ」
僕はびっくりしていると、母は、「なぁ、向こうの両親の番号教えてくれや」と言ってきたので、一気に涙がひいた。
母は千聖の両親に、電話をかけた。
母「もしもし、うちの亮太の母です。亮太がいつもお世話になっているようで」
母「いえいえ、そんなことありませんよ」
母「先程ですね、息子と話をしまして、娘さんが好きな気持ちに心を打たれまして、結婚を承諾しようと……えぇ…えぇ…はいはいどうかよろしくお願いします」
母は、にっこりしながら、そう言うと、電話をきった。
そして、僕のとことむこうの両親共に許しをもらえて、結婚できることになった。
#2000字 #成人式






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