爽やかな朝(ショートショート)

古いラジオからラジオ番組の放送が流れていた。
今日は爽やかデーということで、爽やかな音楽を聴かせたいと思います。
そんな前振りとともに、流れた音楽は、疾走感のあふれる音楽だった。
そのおかげで、気持ちよく目覚め、おおきなあくびをした。
「あぁ、朝がやってきた。」と呟いて、1日の始まりの合図がなったことに、やれやれと思う。
朝が来なければ、1日を乗り越えるための気力を使うこともないのにと、ぼやいたりしながら、歯を磨いて、顔を洗う。
チクチクと、突き刺してくる髭を剃り、出勤までの朝を満喫する。
そして、朝食作りに取り掛かる。理想的な朝食というのは、ベーコンエッグかフレンチトーストと決まっていて、コーヒーには、牛乳を入れて、砂糖は入れないというお決まりのルールを破ってみたくもなるが、マイルドさを味わうためには、牛乳は、必須事項である。
あさは、忙しいとぼやく人もいると思うが、私は、こんなにも快適で爽やかな朝を、手に入れることができているということに、微笑ましさを感じた。
そして、昼になりかけて、仕事時間に出勤しようとした。
すると、真っ暗になり、気づいたら深夜零時になっていた。
そして気がつくと、古いラジオからラジオ番組の放送が流れていた。
今日は爽やかデーということで、爽やか音楽を聴かせたいと思います。
そんな前振りとともに流れた音楽は、以前にも聴きいたことのある曲だった。
同じ朝だけを繰り返しているのかもしれないと思いながら、歯を磨いて、顔洗いスマホの日付を見た。
間違いない1日も日付がすすんでいないではないか。
私はパニックに陥って、こんなことになった理由を思い返してみることにした。
昨日は、朝早くから出勤で、満員電車にのっていたら、隣の車両からすごく嫌な匂いがしてきて、覗いてみたら、誰かが吐いたゲロがあった。
朝からとんでもないものを見たなと思って、うわぁっと思って歩いていたら、面白そうなガチャガチャがあった。
そのガチャは、〇〇の時間をあげますと書かれており、注意書きで、このお題の通りの夜や朝、昼を迎えないと元に戻れませんと書かれてあった。
私は軽い気持ちで、300円を入れて、ガチャガチャをまわした。
すると出てきたカプセルに紙が入っており、その紙には、爽やかな朝と書かれていた。
思い当たることといえば、このことしか思いつかなかったけれど、まさかあのガチャガチャの効果だというのかと思った。
しかし、この状況になってしまったからには、爽やか朝を過ごして、元の時間を取り戻すしかないだろう………