ギラギラ(ショートショート)

何時間寝たんだろうと思う暇もなく、夜だけ起きれる体になった。
ダン ダン ダン
懲りずになる母がドアを叩く音が、打楽器を下手な人が鳴らすとイラつくように、いらついた。
「美代、入るわよ」
中になんて、入れたくないと思った。だって昔から、全てを否定されてきたからだ。
クスクスクス クスクスクス
学校での出来事が、何故だかフラッシュバックしてきた。
いつも一緒にいる友達グループとの会話でのことだ。
「美代は、彼氏いるのぉ」
美代「いないよぉ」
瑠奈「えー、美代同類じゃん」
「へぇー、美代と瑠奈ってまだ彼氏いないんだぁー」
瑠奈「もしかして、梨花ちゃん彼氏できたの」
「そうなのぉーわかる。瑠奈も彼氏できた方がいいよ。なんでも言うこときいてくれるしぃ」
瑠奈「私は……」
「できるって、美代と比べたら、可愛いい方なんだし……」
瑠奈「そうかなぁ…」
美代「……」
それから、数日後のこと、彼氏できない族だと思っていた瑠奈に、彼氏ができた。
私(美代)は、そのことに気づいた時、裏切られたと思った。
梨花と瑠奈が変に自信を持って、彼氏の話を楽しそうにする時間が苦痛だったし、格差を感じて嫌になった。
そして、毎日がつまらなくなって、学校へと登校する気が失せたからいかないと決めた。
母「急に学校に行きなくないなんて、どうしたのよ」
美代「眠いから、学校やめる」
母「学校に行きなさい。眠いんだったら、学校で寝なさい」
美代「嫌だ。だって、ふかふかのベットで寝たいんだもん」
母「はー、あんたって子はぁ、明日は必ずいきなさぁいよ」
美代「はぁい」
明日も登校する気はなかったが、一応返事をしておいた。
ベットに寝転がり、目を閉じると、日々の蓄積された疲れがやってきて、ほとんどの時間を眠って過ごした。
目を覚ますと、頭が冴えて、夜にねむれなくなってしまった。
なんか、音楽でも聞こうかと思い立って、ミュージックアプリで、流行りの音楽を流してみた。
どれもこれも、恋の歌や失恋の歌ばっかで、このアプリに恋をできない私を侮辱されてるように感じた。
むしゃくしゃして、スマホを投げて、頭を冷やした。
そうだこの世の中に恋愛という感情があるからだめなんだ。
恋愛がなければいいんだ。
私は何を思ったのか、無意識ににやけて「はあっはぁっはぁ、なんでこんな簡単なことに気づかなかったんだろ、異性に恋愛感情をもった哀れな人間に、制裁をくらわせればいいわぁ」と言った。
そして、朝になったが、母も寝坊してくれたおかげで、登校せずに済んだ。
学校には行きたくないが、何もないと結構暇だし出かけようと思って、自転車を走らせた。
ホームセンターの店内に入り、商品を見てまわった。
別に、何か買いたいものがあるわけでもないただの暇つぶしである。
そんな時、金槌に目が止まり立ち止まって手に取ってみた。
ずっしりとした重みが、私が感じる負の感情の重みと一致した気がしたので、購入した。
この金槌を振って、何もかも壊して、まわったら自分の思い通りの学校に変えることができるかもしれない……
学校に登校して、瑠奈と梨花にあった。
そして、黒板をハンマーで叩き割った。
「学校とかいう青春量産公共施設があるから、いちゃいちゃと恥ずかしいことを平気で私に見せつける」
クラスメイトたちも、異様な光景に気づき私を止めようとしたが、私は迎撃した。
ハァッハァッハァッ
何もかもよくなって、力尽きた。
それから、気がつくと、警察病院で、寝ていた。
かなりの死者をだしたことと、学校の物品を破損させたことの責任を取るようにと言われた。
そう言われたことで、自分のやったことは、とんでもないことだったと自覚して、後悔の涙でいっぱいになった。
「私も青春したかった…それだけだ…笑顔の素敵なギラギラと輝く太陽のような彼に照らされたかった……それだけだった。」
もうすぐ、夏祭りの季節だ……。














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