無人タクシー(ショートショート)

「お客様、有人タクシーか無人タクシーどちらのほうが、安心しますか。」
「えっなんですか急に」
お客様も唐突な質問すぎて、びっくりしているよなぁ、あれから3年で復帰できたのは、救いともいえる。
社長は、有言実行してくれたよ。本当に、再雇用してくれたのだから、しかし、今回ばかりは、時代の流れに、心が折れそうだ。
また、感染病が流行ったら、また利用者が減るだから、一部のタクシーを無人運転にするという話だ。
社長には、申し訳ないが、私は反対意見だ。
お客様の安心感を、支えているのが運転手で、3年間現場を離れてたとはいえ、私の技量に狂いはないからである。
いまは、感染症も去って、堂々と酒を嗜むことができているのに、そんなことを検討しているなんて、現実的な人である。
人件費削減で解雇された時、高齢だから仕方ないと腹をくくったが、今回ばかりは、腑に落ちない。
タクシーは、お客様との会話が大事、ただ目的地に送り届けるだけだったら、バスや電車とおんなじだと友人などにカッコつけたものだ。
そうは言ってみたものの、ちゃんとした会話なんて、数えれるほどしかやったことない。
私よりも高齢の送り向かいだって、無人タクシーでもできそうな仕事だと言えば、そんな気もしてくる。
「あのう、すみませんここの交差点を右でいいんですよね」
「あっここ左です。」
「そうですか…わかりました」
私は左に曲がった。ナビは、右に曲がれと命令してきたが、こっちのほうが、近道なんだという。
無人タクシーならば、お客様がどんなに口うるさく指摘しても遠回りのナビ通りの指示に従うことになるんだろう。
そんなの、サービスしているといえるのだろうか。
この話で、社長と論じるのもありだなと思った……




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