食材銀河の平和(ショートショート)
それぞれの星の代表である。フルーツ星のリンゴさん、野菜星の小松菜さんと大豆星の納豆さんが、とある集まりに参加した。
この集まりは、宇宙和平条約をむすぶためのもので、異星に対しての恐怖心を取り除く必要があった。
そのため、この集まりをまとめるパンナコッタはより異星人について深めてほしいと考えて、この課題を思いついたのである。
その課題とは、自分の故郷の星に招待したい異星人を決めるということだった。
小松菜さんはリンゴさんを野菜星に招待することにして、そのお返しにリンゴさんはフルーツ星に小松菜さんを招待することにしました。
誰にも招待されることがなかった納豆さんは、ひとりぼっちになってしまいパンナコッタが、みかねて、リンゴさんと小松菜さんに、どちらか納豆さんを誘うように説得したのです。
ですが、リンゴさんが、「茶色くてネバネバしてて汚いから、納豆さんを故郷の星に招待したくない」と言い出したことで事態は悪化してしまった。
パンナコッタ「私はただみんな仲良くしてほしいだけなのに、なんでこうなるんだ。」
リンゴ「うざ」
小松菜「あぁあ、納豆さんがいなかったら、円満だったのに……」
リンゴ「小松菜さんもひどいね、いなくなったら、私たちが大豆星人よりも優れてるって認識ができなくなっちゃうじゃないのよ」
納豆さんが追い込まれていく様を、ただ黙ってみることしか出来なかったパンナコッタは、まとめ役失格だと思った。
この様子を、上の階で微笑ましく食材銀河総合機構大臣寒天は、見ていた。
実際には、途中まで微笑ましくみていたのだが、言い争いが長引くにつれて、イライラし始めていた。
寒天「おい、パンナコッタいつまで続く」
パンナコッタ「すみません、」
寒天「はぁ、なんで謝るんだ。リンゴさんと小松菜さんが、この話し合いをギスギスさせているというのに、なんで謝る必要がある」
パンナコッタ「事態を鎮めることができなかった責任があると思いまして」
寒天「鎮めないといけない事態に発展させたリンゴさんと小松菜さんに話がありますよ」
リンゴ「…」
小松菜「…」
寒天「どうして私に聞かれているとわかっていて、納豆さんを、馬鹿にしたんですか。」
リンゴさん「私は正直者だから嫌なものは嫌って言うんですよ。陰湿に陰口を叩くのは大豆星の奴らだ」
寒天「あなたはとても正直だから、私はあなたに、お返しをします。あなたは、本当に下等生物ですね。自分の悪態を晒すことに誠実なわけですから」
リンゴさん「上の人間がそんなこと言っていいと思ってるんですか。」
寒天「なんですか私は自分のことを上だとか下だとか思ったことなんかないです。あなたを小馬鹿にしたのはすみませんでした。私が謝ったから納豆さんにも謝ってください」
リンゴさん「なんで私が謝らないといけないんですか。」
寒天「じゃあ、あなたに謝った私が馬鹿でした。さっきのことは撤回です。あなたは本当に下等な生き物ですね」
リンゴさん「わかったわよ、納豆さんに謝ります。ごめんなさい」
納豆「……」
寒天「あなたのことを、私は見直しましたが、吐き気がするほどリンゴさんと喋るのはめんどくさい」
リンゴ「私を小馬鹿にしないと言ったじゃない」
寒天「私は正直者だから、してしまいました。」
このやりとりを聞いた小松菜さんは吹き出してしまった。
リンゴさんは何がおかしいのか疑問に思って「何がおかしい」のと言うと小松菜さんは、「異星人同士の争いって、何世紀にもわたって継承されてるんだな、いいかんげんにしたら、そしたら和平条約を結ぼう、本当に平和だと象徴するために」と言った。
会場には拍手がわき起こり、野菜星の小松菜さんの意見に賛同するものが多数現れた…………
そして数十年後の教科書に、今の平和があるのは小松菜さんのおかげであると記載されたのであった。
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