音読部は黙読部の天敵(ショートショート)

日高は読書高等学校に入学したことを後悔する事件が起きた。
クラブがまさかの、黙読部と音読部しかなく、どちらかに入ることを義務付けられているからだ。
「チヨッリース、新入生さん体験入部かなぁ」
黙読部のドアの前で、開けようか迷っていると声をかけられた。
日高は、「は、はい、ど読書…好きなので……」と、目を逸らしながら言ってしまった。
 なぜなら、人と会話するのが苦痛にしか感じない性分だからである。
 すると、「緊張しなくて、良いわ、」と言って部室に案内してくれた。
 日高は、本がぎっしりと詰め込まれた本棚を見て、言葉を失った。
「おぅー」と本棚を見上げていると、隣の部室から何やら雑音が聞こえてきた。
閻魔様ににそら豆飛ばしたら、わたしはどうなってしまうのですか、と興味本位で私は聞いてみた。
 すると閻魔様は、高笑いをしながら、愚問な質問をそんなことをしたら、ムカデか毛虫に輪廻転生してしまうぞよと言った。
私はあきれて、やれやれと思ってため息をついた。
なぜなら、死んでまでも、相手の命令に従い、理解を深めなければならないからだ。こんなことならば、宇宙旅行でもしたかったと、私は思った。
そんな死後の世界で5日ほど経ったある日のこと………
 日高は隣の部室から聞こえてくる音に耳を傾けて、いたら、突然さっきまで優しかった黙読部の部員が、怒り出した。
「マジでうるさいんだけど、音読部」と呟くと、日高の手を引っ張った。
「黙読部に新入生が来たってことを、音読部に見せびらかすの、付き合ってよ。」
日高は、びっくりして、「えぇなぜですか。」と反論したのだが、聞き入れてもらえず音読部にいくことになった。
音読部の部室に着くと、窓から確認できるくらいに、人がいて、みんな本を持ちながら、立っていた。
異様な光景に、少し困惑しながら、精神力で頑張って立ちながら、黙読部の部員に連れられドアの向こうへと足を踏み入れた。
すると、明るそうな顧問の先生が出迎えてくれた。
音読部の顧問「黙読部のかたじゃないですか。どうかされましたか。」
黙読部の部員「どうもこうもありません、音読部がうるさすぎて、読書に集中できなかったじゃありませんか。」
音読部の顧問「それは失礼、提案なんですが、あなたも音読部に入る気はありませんか。」
黙読部の部員「お断りします」
音読部の顧問「音読することで、頭がスッキリし、イライラから解放され、まえをむくことができる。それに、内容が黙読よりも入ってきやすいですから、試しにやってみてはいかがですか。」
黙読部の部員は「だから、いいって言ってるじゃないですか」と怒って、音読部の部員たちが読んでる本を覗き込んだ。
数分ほど立ってから、「死者蘇生なんてできません」と言って、本を奪い取り、「私、SF小説嫌いなんですよ。だって現実に起こり得ないことじゃないですか。」と継ぎ接ぎの反論をした。
音読部の顧問は、訳が分からずその場に立ち尽くすことしかできずにいた。
日高は、そういえば、黙読部の部室にある机の上にぎっしりと、官能小説があったなと思い返していたのだった………










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