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「受講生がやることをやらないからうまくいかない」と済ませる講師の方もありますが、私は、必ずすべての受講生に対して結果を出すことにこだわってきました。
 
そのためには、受講生の能力を高める方法に加えて、指導者の能力を高める必要があると考えます。
 
ここでは、必ずゴールに導くための、講師の在り方について綴っています。
 
 

▼ 優位感覚の特性を生かす

 
物事を理解するために使う感覚の優位性は人によって異なります。これを優位感覚と言い、その優位感覚によって物事を理解するスピードも異なります。
それを知った上でレッスン(講座)を組み立てると、すべてのタイプの受講生に対して、必ず結果を出すことができます。
 
 《優位感覚》
◎視覚型 目で見たものをすぐに形にできる(すぐに再現できるが忘れやすい)
◎聴覚型 音や声で理解する(少数派)
◎体感型 とにかくやってみて身体で覚える(覚えるのに時間はかかるが忘れにくい)
 
これらの優位感覚の特性を生かすには、それを理解した上でレッスンを組み立てると、どのようなタイプの方でも必ず結果が出せ、満足度の高いレッスンになります。
 
《具体的な特性》
「視覚型」・・・講師の動きを見るだけで理解する
「聴覚型」・・・講師が口にしている手順を耳からの情報で理解する
「体感型」・・・見ても聞いてもわからないけれど、やりながら理解する
これらを踏まえて、着付けレッスンでどのようにしているかというと、
 
最初に完成形を見せた後
1.手順を見せる(視覚型へのアプローチ)
2.口頭で伝える(聴覚型へのアプローチ)
3.実際にやってもらう(体感型へのアプローチ)
という流れで行います。
 
よく見かける例として、「目で見たらわかるから」という思いから、動作を口頭で伝えずに「この通りにやってみてください」などと言う講師の方もありますが、それだと聴覚タイプの方には伝わりません。
このことから、私が主宰している着付け講師養成講座では、手順の解説をする際に、動作の全てを言語化し、隣の部屋にいても伝わる説明になるよう指導しています。
 
また、講義の場合は、
〇図形で表した資料で視覚に働きかける(視覚型へのアプローチ)
〇言葉で説明する(聴覚型へのアプローチ)
〇ワークや実践など、実際にやってもらう(体感型へのアプローチ)
 これにより、すべての優位感覚タイプの方に伝わるレッスンになります。
 
 

▼ 考え方の特性を意識した構成にする

 
物事を理解する際の考え方の特性も「理論派」と「感覚派」があり、それによって取り掛かるスピードなどが異なります。
 
先ほどの優位感覚に加えてこちらの特性も知った上でレッスン(講座)を組み立てると、すべての受講生に対して必ず結果を出すことができます。
 
《考え方のタイプ》
◎理論派 なぜそうなるのかを理解した上で進めたい
◎感覚派 とにかくやりながら理解を深めたい
 
この、考え方の特性を理解した上でレッスンを組み立てると、どのようなタイプの方でも満足度の高いレッスンになります。
 
《具体的な特性》
「理論派」・・・「なぜそうなるのか」を理解しないと動けないため、先に説明してから取りかかってもらう
「感覚派」・・・疑問に思っていないことの説明をされても頭に入らないので、とにかくやりながら疑問に思った時点で質問してもらう
 
 

▼ 専門用語を使わない

 
たまに、専門用語を使うことで権威性を示して「まだ私には足りないことがある」という不足感からリピートさせる方法を使う講師の方もおられますが、これは逆効果です。
専門用語を使うと、その言葉の意味に気を取られているうちに、講義が進んでしまい、結局、大切なところを聞き逃してしまうことになります。
 
あなたが講師をする目的は、あなたの権威性を示すためではありません。
受講生を必ずゴールに導くため。それに尽きます。
専門用語を使って権威性を示してリピートしてもらうことを狙うのではなく、難しいことをわかりやすい表現に言い換えて、確実に結果を出す方が、満足度が上がり、リピート率を上げることができます。
 
また、専門用語を多用する講師のもとに集まった受講生は、その専門用語を覚えることに意識が集中し、それを知っていることに満足して、結果を出すことが後回しになっているケースが見受けられます。
 
そういう意味でも、必ず結果を出すためには、専門用語は極力使わないようにします。
シーンによって、専門用語を使った方が伝わりやすいようなときは、あらかじめその専門用語をわかりやすい表現に言い換えて、言葉の意味を理解した状態で次に進むことが重要だと考えます。
 
 

▼ 「自分でできた」を体感してもらう

 
 特に実技の場合、結果を追い求めるあまり、講師が手助けをしたくなることもあるかもしれません。ですが、受講生に「自分でできた」を体感してもらい、成功体験を積み重ねることが受講生の自信に繋がります。
 
 着付けに限らず、他のおけいこでも、写真撮影をする前に先生が手直ししてから写真を撮る教室もあるようですが、それでは「できた」という実感は湧きません。
 これだと、その場の満足度が下がるだけでなく、受講生が一人で着物を着てお出かけできる自信も実力もつきません。
 
 「自分でできた」という成功体験を味わうことで楽しくなってもっともっと学びたいという意欲が増幅しますので、講師がすることとしては、極力手助けはしなくてもよいように、レッスンの精度を高めることです。
どうしても説明のために手助けをする場合は、「ちょっと触りますね」と声をかけた上で説明をした後、元の状態に戻して受講生自身にやってもらうように心がけています。
 
 

▼ うまくいかない時は講師の責任

 
ここまでお伝えしたように、うまくゴールに導けない時、「受講生がやることをやらないから」と済ませるのではなく、講師は受講生の能力を高めることと、指導者としての能力を高める必要があると考えます。
 
その大前提として、「うまくいかない時は講師の責任」という考え方。
特に趣味の習い事の場合、他のことよりも優先順位が下がるため、家で練習できない方の方が多いです。
ご自身と比較して「私は毎日練習したのに受講生が練習してこない」というのもよく耳にしますが、それであれば、受講生が練習したくなる工夫をするのが講師の役目だと考えます。
 
着付けレッスンを例に挙げると、一番取り入れやすいこととしては、受講期間中に着物でお出かけするイベントを組み込むことで、こちらから練習を促さなくても、お出かけを楽しみにしながら練習してくれます。
 
また、必ずゴールに導くために、講師が受講生に対して「できる前提」で接するというのも、とても大切です。
 
講師は、受講生の優れている点や良いところを認めることで、「うまくいく方法」や「アイデア」が湧いてきます。
当然「この人できないだろうな」というフィルターをかけて見てしまっていては、望ましい結果には導けません。
 まずは、そのフィルターを外して「できる前提」で接することで、あなたの声のかけ方は変わり、結果、受講生が「できる人」に変わります。
 
それでも、できない場合は、「変わりたくない事情」が隠れていることもあります。
 
実際、「着物で気軽に遊びに行きたい」と習いに来られた方で、美しい着付けを習得しても、着物で外に出ることができないという方の理由を聞いてみたところ、「こんな着付けでは母に怒られる」とおっしゃられる方がありました。
その方はお母様と同居されているわけではありませんが、お母様との関係性におけるトラウマが原因で、「着るものを自由に選ばせてもらえなかった」という経験が邪魔をしていることがわかりました。
 
また別のケースでは、「着付け講師になりたい」と言って着付け講師養成講座を受講して下さったはずが、「目立つことで何か言われるかもしれない」という不安感から動けなくなる方もありました。
 
こういう方に遭遇したとき、「やりたいと言って習いに来たのに、なぜやらないのか?」と不思議に思うかもしれませんが、これは、その方の過去の経験から、心のブレーキがかかっていることや、変化することへの不安を感じていることが考えられます。
 
このようなときも、それらの不安を解消したり心のブレーキを取り除いたりするコーチングスキルを持ち合わせていれば、必ずゴールに導けます。
 
このようにして、技術面だけでなく、内面への問題にアプローチすることで、必ずゴールへと導きます。
そして、内面への変化をもたらすことができたなら、受講生にとって、期待を超えた成果となり、さらにリピート率が高まることにもなります。
 
そしてこの「期待を超える」というのがまさに良い口コミや良い感想がもらえる秘訣であります。


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