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号外、号外、と声を張りあげながら紙をばらまく少年。その顔は、かなりはつらつとしていた。 「また出たんだな。ええっと」 「へぇ~。今度はあの男爵が餌食になったんだとよ」 「イイ気味じゃねえか。あいつ、しこたま貯め込んでたって話だし。おっと」 警備隊が現れると口を紡ぐ男性たち。周囲にいた民衆や記者も、慌てて路地へと引っこむ。 彼らは散らばった紙を回収すると、今度は周囲を調べ始める。 しかし、少年はとっくに現場からいなくなっていた。 「戻りました~」 「あら、どこ