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私がPPPを好きなわけ

「けものフレンズ」にはまってもう2年になる。
こんなに長く連続的に、ひとつのコンテンツを集中して追いかけたことなんてはじめてのことだ。長く愛しているポケモンにしてもゴジラにしても、新作公開の前後に盛り上がるものの、平時はそうでもなかったりする。」けものフレンズ」は、それだけ特別なコンテンツになっているらしい。

そんな「けものフレンズ」に登場するフレンズのなかでも、PPPの面々に注ぐ愛情はより深い。プリンセス、コウテイ、ジェーン、イワビー、フルルの5羽のペンギン(そしてマーゲイ)。アニメ1期放送時点ではもっぱらサーかばコンビを追いかけていた私だけれど、時が経つにつれてPPPの存在が大きくなり、いつしか最推しのフレンズになっていた。気づけばPPPの絵ばかり描いている。

ペンギンが好きだから、というのはもちろん理由のひとつである。でも、それだけでは説明できない部分がある。そもそも、アニメ1期視聴時点では私のペンギン熱は寛解しており、それが再発するきっかけになったのがPPPだったのだから。そうなるだけの何かが、先んじてそこにはあったのである。

それはなんだったんだろう、と改めて考えてみて、思い当たることを書いてみる。

ひとつには、彼女らのデザインの美しさがある。動物園の特徴をよく捉えてかつ可愛らしく仕上げているというのは、吉崎観音さんによるフレンズのデザインすべてに共通していることだろう。でも、ペンギンのシンプルな形態や色彩を種ごとにあんなに細かく描き分け、ヘッドホンに各種のテーマカラーを表現して、アイドルらしくスタイリッシュにまとめたPPPはわけても秀逸だ、と私は感じている。コウテイのパーカーなんか普通に着て出掛けられそうだし、イワビーの髪型は、そうやって表現するのかと感心させられた。それに、顔立ちもスマートで綺麗だと感じた。フレンズは種ごとに顔の造形も細かく描きわけられているけれど、PPPはみんな、とくにプリンセスとコウテイは超絶私好みの顔なのだ。プリンセスの美少女っぷりといったら。そのことが、スイッチになったのではないかな、と思う。

ふたつめに、5人のグループであるという点がある。アニメでは多くのフレンズはコンビで登場するけれど、PPPは5人、マーゲイも入れれば6人でセットとなる。その分、フレンズ同士の関係性が複雑化する。6人のうち任意の2人組み合わせでどんな感じになるんだろう、3人だったら、4人だったら。コウテイはフルルやジェーン相手だといろいろしゃべってあげようとするけど、プリンセス相手だと聞き役にまわりそうだなとか、ジェーンはフルルと2人だとよく喋るけれど、他の誰かが入るとその相手に仕切り役を任せそうだなとか、6人の中での立ち回りをいろいろ考えられる。コンビで登場するフレンズよりも妄想の幅が広がり、考えるのが楽しい。そのためにPPPのネタばかりいつも考えるようになって、結果としてPPPへの愛着が増していったのだと思う。

そして、みっつめになにより、彼女らがアイドルというとても人間臭い仕事をしていることがある。1期でのプリンセスのドツボっぷりが象徴的だけれど、アイドルをしている彼女らは、フレンズでありながらとても人間臭い悩みを抱えていたりする。私がリーダーでいいのだろうか、というコウテイの悩みも、頑張ってみんなを引っ張ろうとするけれど、ほんとうに自分が受け入れられているだろうかというプリンセスの悩みも、いつかどこかで感じたことのあるものだ。だからつい感情移入し、共感してしまう。人間臭さがあるからこそ、彼女たちが日々どんなことを考えて生きているのかについて、手触りのある妄想を展開することができる。破天荒な振る舞いをすることも多いフレンズたちのなかにあって、その近しさが、安心感につながっているような気がするのだ。

PPPのことを考える時間はだんだんと長くなり、いつしか「けものフレンズ」を考えるときの中心になっていったのは、たぶんこのような理由があるのだと思っている。実際には気がついたら好きになっていたわけで、当初からそんなことを考えていたわけではないのだけれど、今、分析してみるとこんなところではないだろうか、と思う。

PPPたちは、数多のフレンズのなかでも異質な存在であるように私は感じている。キャラクターソングアルバム「Japari Cafe 2」が出たとき、他のフレンズの歌は1期のストーリーに即したいわゆるキャラソンだった中で、PPPの「わたしたちのストーリー」だけはくっきり「アイドルソング」だった。けものフレンズを、PPPを知らなくても、歌の内容が理解できる、「けものフレンズ」の枠を飛び出したものになっていた。フレンズでありながらフレンズでない、そのような曲の作られ方は、PPPという存在自体の特徴を反映しているように思う。やっぱりちょっと違うのだ。で、その部分が、私に見事に刺さっている。

けものフレンズには次々と新しい、魅力的なキャラクター、ユニットが登場する。けれど、そんなわけでこれからも、私はPPPを推し続けるのだと思う。

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