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2023-2024 #オラシオンPOG ドラフト5位〜10位プレビュー

前回の記事はこちら。

2023-2024指名馬プレビュー(つづき)

5位 ルージュシュエット

 4位までで牡牝それぞれのクラシック期待の馬は概ね満足いく形で押さえられたので、中位では速攻系の馬を指名して序盤から楽しめるようにしたいところ。その観点で黒本をパラパラめくっていると、世界の矢作厩舎の入厩予定馬かつ早そうとコメントされている馬で面白い配合の牝馬を見つけた。
 Storm Catの母TerlinguaとGone Westの母Secrettame、そしてCurlinの母系のSir Ivorはいずれも血統構成が似通っているため、母母Home Court~母父Union Rags~父母Sherriff's DeputyはすべてNorthern DancerとTerlingua≒Secrettame≒Sir Ivorを保有した、似ている血脈になる。ここにNorthern Dancerを全く持たない父父Smart Strikeが入ることで綺麗な3/4ND1/4異系の完成。ダート色の強い血ではあるがSir Ivorは芝向きの柔らかさと機動力も併せ持つので、上手くいけば洋芝くらいはこなしてくれそう。
 牧場での動きも上々なようなので、夏デビューで力のいる馬場で稼いでくれると嬉しい。

6位 アスロス

 そろそろ注目のレイデオロ産駒から1頭くらい指名しておきたい。新種牡馬なのでレイデオロ自体の血統表を眺めてみると
・キングカメハメハ産駒であること
・母父にシンボリクリスエスという柔らかい血が入ること
・母系にウインドインハーヘアが入ること
の3点がキーポイントになりそうな予感である。そうすると何となしに名牝ウインドインハーヘアのクロス目的で母父ディープインパクトを選びたくなるところだったが、ウインドインハーヘアが色濃く出た場合、AlzaoだけでなくBurghclereもクロスされる関係上、小さくかつスタミナに振れる可能性が高いように思える。レイデオロ自体はキンカメとシンボリクリスエスから柔らかい体質を受け継ぎつつウインドインハーヘア以降Backpasser~Tom Fool的な血で現れる機動力でもってダービーや天皇賞秋を勝ち切ったけど、これ以上スタミナに振るとスピードを損ねる可能性が出るのではという懸念がある。そこをカバーするうえではディープ産駒との組み合わせなら母がマイルに対応できるスピードを持っていて、かつ実馬がある程度大きい(≒Burghclereの影響が小さい)ほうが良さそう、という意味で1番手に選んでいたのが母マウレアだった。
 タッチの差で指名されてしまったので他の母父ディープをと考えたが、イマイチピンとこない。趣向を変えて、3代母ウェルシュステラからのTom Foolの継続クロスとNureyev≒Sadler’s Wellsのニアリークロスが成立する母ステラリードに目を付けた。母の産駒自体が仕上がり早でかつキンカメ系との相性も良好。矢作きゅう舎の評判も良く、夏の使い出しに期待したい。

7位 グッドヴァイブス

 6位までで牡牝のクラシック候補、速攻要員が概ね押さえられるという意味では理想的な展開だったので、この辺りは周りをみつつ配合が好みでかつある程度動き出しが想定されている馬をとっていくことに。
 7位では新種牡馬シュヴァルグランの産駒を。血統構成は同じ父のスワーヴリチャードと違い、母系がMachiavellian×Glorious Songの孫ハルーワソングなので、父と合わせてHaloを積み重ねた機動力と、Glorious Song、Special、Coup de Folieと名うての名繁殖牝馬を血統表に持った血の素性の良さが最大の魅力。一方で主流血脈であるNorthern Dancer、Halo、Mr. Prospector、Nasrullahを満遍なく持っているために次代の配合でどこに力点を置くのかはまだ見えてきてないのが不確定要素だと思う。
 いろいろ悩んだ結果チョイスしたのは母インドリヤ。母父Stormy AtlanticがHaloを持っていない3/4Halo1/4非Haloと同時にRahy=Morn of Songの全きょうだい4×3というきつめのクロスでHaloとNasrullah+Hyperionを強調する形が魅力的で、トニービンが入っている父にも合うのではないだろうか。
 いい動きをしているようだし、何より調教師が惚れ込んで馬主に推薦したこと、その推薦された馬主が藤田晋さんだったこと、落札価格が1600万に満たないという彼の持ち馬では断トツの安馬であること、というエピソードがとてもいい。馬名登録済みだけど入厩はしていないようなので、もしかしたら直接北海道でデビューとかかもしれない。

8位 パシフィックハイ

 鬼のように走っているキタサンブラック産駒。初年度からはイクイノックス、2年目からはソールオリエンス、スキルヴィング、ラヴェルあたりをクラシック路線に送り込んでその能力の高さを見せつけている。僕も初年度にイクイノックスを引き当てていい思いをしたわけだが、今年のキタサンブラックは谷間の年になるため種付け数が少なく、登録産駒数もかなり減ってしまっている状態。約2年の蓄積で良い配合の方向性は見えてきたけど、そもそも選ぶだけの多様性に乏しい状態だった。
 キタサンブラック産駒についてはソールオリエンスという例外を除いては大体が「サンデーサイレンス~Haloを強調したら芝馬」「強調せずにNorthern Dancerを重ねるとダートに」の傾向なので、基本的にはHalo的な血をなるべく多く入れたい。その条件に合ったのがデロングスターで、その父ヴィクトワールピサはHalo3×4かつNorthern Dancerを1滴ももたないという血統構成。Northern Dancerを複数本もつキタサンブラックとしてはHaloを濃く持ちながらNorthern Dancerを薄められるという非常に相性の良い相手だと考えられる。デロングスターの母アイアムルビーもHaloとNorthern Dancer(Storm Cat)を持っているので、結果として「SSの3×4」「Halo≒Sir Ivorの複数クロス」「シュガーハートを軸にした3/4Halo1/4異系」「ヴィクトワールピサを軸にした3/4ND1/4異系」「ウインドインハーヘアとStorm Catのニックス」という好配合要素の全部盛りみたいな配合になっている。
 実馬の方も登録済みでゲート試験も合格済み。先々週までは在厩して坂路でラスト2F13秒台までは進んだところでいったん外厩に戻したと思われる。この後は成長を見ながらの調整になるのだろうけど、秋くらいにはデビューして快進撃、の夢が見られる馬だと思っている。

9位 カルツァクライン

 この1~2年の血統的トレンドとして「父ドゥラメンテの大爆発」「父キタサンブラックの初年度からの躍進」があるが、それに負けないくらいえげつない結果が出ているのが「母父Motivatorの大活躍」だろう。ここまでで14頭がJRAで出走したが、うち9頭が勝ちあがり5頭がオープンまで出世してその中にはタイトルホルダーとソールオリエンスが含まれている、というのだから異常ともいえるハイアベレージかつ長打力である。今年の2歳で血統登録されているのは全部で4頭。うち1頭は母スキア(父キズナ)で3巡目で消えてしまったが、あとの3頭はさほど目立つ血統・評判でもなかったため下位指名を目論んでいた。
 結果として母フォーエヴァーユアーズ(父リアルスティール)は管理している厩舎のトーンがイマイチだったことから、「最終ターンまで残っていたら母ポリネイターをとる」ことで方針決定。首尾よくゲットすることが出来た。
 母父Motivatorの躍進の原動力になっているのはその母Our Westが持つ名牝Mixed Marriageのクロス、Tom FoolのクロスにBackpasserといった母系に入って効果が高く、なおかつ日本への適性も申し分ない血脈だろう。ポリネイターの場合は母系の奥にSir Ivorが入っているのもお洒落で、半姉ステラリアはこの辺りが呼応して阪神の坂を一気に駆け上がるOP馬に成長した。父がイスラボニータに替わった本馬については、イスラボニータがフジキセキとしては珍しく母系のCozzeneの影響で柔らかく中距離を差すタイプだったことを考えると、母系の奥にあるMill Reefと呼応して柔らかさと、Northern Dancerの複数クロスを通した頑強さで、マイル辺りを主戦場に頑張ってくれるのではないだろうか。血統的にも父父フジキセキを異系とした3/4ND&ナス、1/4異系が成立する配合なのもいい。
 まだ移動の話は出てきてないのでおそらく秋以降のデビューとなりそうだが、実馬の馬体も動きも良さそうなので期待したい。

10位 ブシン

 本指名としてはラストになる10位。今季からはダート路線が整備されることもあるので、1頭くらいはダート路線で走りそうな馬も確保しておきたい。せっかくなら夢はでっかくケンタッキーダービーで日米ダービー制覇や!とか妄想していたら、気づいたらこの馬を指名してしまっていた。
 父Into Mischief母Flawlessは簡単に言うと2020年のケンタッキーダービーとBCクラシックを制したAuthenticの全弟にあたる。日本適性がどうかではあるんだけど、「Gone WestとClever TrickとStorm Cat」という組み合わせはインティと同じなので、インティが走れたならこっちも走れておかしくないんじゃないの、という風に気楽に構えている。
 今年の2歳はわりと海外で高い馬を買いつけている藤田オーナーだけど、調教師森さんだしぜひこの馬で結果出して海外に羽ばたいてほしい。あと現時点で坂路を爆走してるのは頼もしい限りなのでそういう意味でも楽しみ。

OP参加分指名

 今季は参加者が14人ながらドラフトが実にスムーズに進んだとのことで、時間があるのでオープン参加枠(箱根駅伝の学連選抜みたいな立ち位置)を東西2つ作るとの主催者通達があった。僕はそこで2頭の指名に関わったので、その分もオマケで。

その1 Full of Beautyの2021

 母父Motivatorしか勝たんその2。単純にそれだけでも興味深いが、父と母がきょうだいとかいとことかなわけでもないのに保有する血のかなりの部分が被っているというなかなか挑戦的な配合。数えられるだけでも「Uncommittedの牝馬クロス」「Zaizafon=Mariakovaの牝馬全きょうだいクロス」「Gone Westのクロス」「Caroのクロス」「Nureyev≒Sadler's Wellsのニアリークロス」「母母Reaching AheadのNative Dancerの薄さを利用した疑似的3/4Native Dancer1/4異系」と種々の趣向が凝らされた面白配合。生産者の欄見たらMr Teruya Yoshidaだった。最近の社台はすごい配合アナリストがついてるなと改めて感じる。
 血統登録されている、という以外に情報が一切ないので流石に本指名には踏み切れなかったのでOP参加に趣味枠でねじ込んだ。もしデビューして勝ったら褒めてください←

その2 フルレゾン

 7人で10頭選ぶ関係上、3人が2頭選ぶことになっていて、僕も2頭目を選ぶことになっていたのだけど、せっかくなら他の人がたまにやってるメンバーへのアンケートを自分もやってみたい、ということで4頭ピックアップして投げたところ選ばれたのはこの馬。
 母カイカヨソウは南関東で重賞勝ちもあるなど競走成績は優秀で、かつ父オルフェーヴルの好配合パターンである、「母がSpecialの血を持っている」「オルフェがNorthern Dancerクロスがきついので、母父か母母のどちらかは一切Northern Dancerを持たない(1/4異系)」を満たしている。牝馬なので牡馬よりは仕上がりも早いだろうし、開花時期がある程度早まってくれれば力のいる芝なりダート路線なりで頑張ってくれるのではなかろうか。

 ちなみに他に候補にしたのは下の3頭。なぜピックアップしたのか、もし良かったら考えてみてね。

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