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Kan Sano【Osaka State Of Mind】(2022/6/4 心斎橋 BIG CAT)

 ずっとタイミングを逃し続けていたKanさんのワンマンにやっと行けたのは去年の6月。そして、これを書いている現時点ではライブ活動休止がアナウンスされているけれど、半年前の感想を少しだけ。

 ライブのタイトルは公演地に因んだものになっているけど、4月にリリースされた【Tokyo State Of Mind】のリリースツアー。リリース当時は勿論、2022年の上半期で一番聴いたアルバムなのでとても楽しみにしていた。
 オープニング、ライブ本編に入る前に「立つ?座る?どっちが良い?」という質問から始まり、他にも色々とお話してくださって割と長めのMCタイム。
 最初の質問でスタンディングの流れになり、確か[Magic!]からスタートしたはず(セトリうろ覚え…)。かなりの小声で「fall in love」のレスポンスが出来たのが楽しかったけど、それを聞くKanさん自身が楽しそうに見えた。
 前半は、[Magic!]もそうだし、[逃避行レコード]や[Ash Brown]、[Play Date]あたりの曲のグルーヴ感が凄かった。[逃避行レコード]、転がるような歌詞の流れと曲のリズムがはまっていく感じがとても好き。テンポ感も絶妙で、これで体を揺らすのは本当に気持ち良い。

 BIG CATのステージにはグランドピアノがあるので、中盤はKanさんソロ弾き語りで数曲。[ほんとは]のサビの部分も小声でコール&レスポンスがあったんだけど、「早くそこ歌いたい!」って言いながらスピードアップしてサビの部分に行くのが面白かった。自由だな。この日のライブ前の時間帯、インスタのフォロワーさんとDMで「(Kanさんのライブとは別の話で)JAZZって何?」というやり取りをしていたのだけど、こういう自由さってJAZZっぽいよなあ、と思う。
 弾き語りの後には即興演奏も。Kanさんがグランドピアノで即興演奏だなんて、どのライブでも観れるという内容では無いので凄く贅沢な時間だった。

 後半戦から終盤にかけてのハイライトは、[いかれたbaby]のカバー。なんだかんだ原曲が絶対、と言わざるを得ないほどの強さを持つ曲だと思うけど、Kanさんのカバーは音源で聴いていた段階で「原曲の良さを保ったままここまで自分のものにしてしまうのって、皆が皆出来る事ではないよね…」と思っていた。それがライブになると、Kanさん自身のものどころか、それ以上に「これって何の曲だっけ?」と聴いていて迷子になってしまうぐらいの力のある曲になっていた。後半もアンコールも良い流れのセトリだったけど、正直この曲の印象が強すぎて、その他の記憶が…。

 リリースツアーと言いながらもKanさんの音楽の色んな側面が見えるボリューミーなライブだった。Kanさん、凄く楽しそうに見えたけど、辛い部分もあったのかな…。前向きなお休みとのことなので、Kanさんご自身が心からライブを楽しめる日が来ることを、気長に待とうと思う。