見出し画像

【A Song without Words】シリーズが好き

 インスタに書こうと思ったけど、デジタルリリースだし写真も無いのでそっとこちらに(そもそもインスタは長々と感想を書く場所では無いが…)。

 ゴンドウさんのソロアルバム、【A Song without Words】シリーズ。6月にリリースされたVol.1から毎月聴いてきて、曲毎の感想や発見が色々あるので一度ここで残してみる。技術的な部分や背景は殆ど理解できていないので、各アルバムから何曲かピックアップして、あれが好き、これが好き、というだけのメモ書き。

Vol.1

 6月5日リリース。ゴンドウさんの作風は一つのジャンルやイメージ、言葉では括りきれないということだけは事前に認識したうえで、恐る恐る聴いてみた1枚目。
 早速、M-1 [Secret Notation]を聴いた時点で、1枚目の1曲目にして「好きなタイプの曲だ!」と驚いたのを覚えている。2014年リリースの【愚音堂サンプラー】に収録されている[Innermind]という曲が元らしい。少しだけこちらのページで試聴できることを確認。anonymassの[Little Wish]に少し似てるな、とも思っていた。
 シンプルなのに一つ一つの要素が面白くて好きなのが、M-3 [We Begin]。繰り返されるメインのフレーズやトラックとはテンションがかけ離れている気がするのに、何故この黒めなワウミュートのフリューゲルの音色とフレーズが馴染むんだろう。
 続くM-4 [Muted Expectation]は、晴れた日の朝に聴きたい曲。以前の私はあまりこういう音にピンと来ていなかったのだが、ここ2、3年で好きになった。
 そこから、M-5 [The Libra]は風景が変わって、静かな森の中で雪が舞う様子が思い浮かぶ。曇天なんだけど、途中で少しだけ幻のように光が差して、でも直ぐに元の暗さに戻っていく。チェロの音が哀しくて美しい。
 M-6 [S-plush Doll]は、ここから折り返しと言わんばかりに曲調が変わる。B面の1曲目、みたいな印象。重くて固いリズムとベース音、途中で生音で入ってくるフリューゲルの柔らかさ、この対比が好き。因みに先週、【pal'las palace】の店内でこの曲が流れていることに気が付いた。ゴンドウさんが制作されたBGMが流れるようになってから半年以上が経つけど、他にもソロアルバムに収録された曲はあるんだろうか。もう少し涼しくなったら秋物を買うついでにチェックしに行こう。
 ラストを飾るM-9 [Humbling my pride]は、数日前に気付いたばかりなのだけれど、2014年時点でnoteの記事で販売されていた音源のアップデート版だろうか。ゴンドウさんの曲は既存曲のリミックスやリアレンジも多いということもだんだん分かってきて、「この曲ってもしかしてあの曲?」と答え合わせをするのも面白い。

Vol.2

 7月4日リリース。ジャケットのイメージもあって、自分の好きな曲も夜のイメージに沿うものが多い。
 例えば、M-2 [Velvet Moonlight]。タイトルにもMoonlightとあるし、最もジャケットのイメージに近いな、と思う曲。眠れない深夜に部屋の中から月を眺めながら、金管の音の層に、包まれるというよりは沈み込んでいく感覚。
 M-2と同じくジャケットのイメージに近いのは、M-6 [About The Night]。Vol.2で一番好きな曲。ただ、こちらはM-2とは逆で部屋の外に出て、静かに揺れる水面に映る月を眺めるイメージ。2:30頃からのソロが凄く好きなのだけど、これは何の音だろう。最後、下のE♭とかD♭あたりまで出てるけどフリューゲルなのかな。一体私は10年近く何をやっていたんだと思うぐらい金管の聴き分けができない、というのもまた、ゴンドウさんの音楽を聴いていて気付いた点でもある。
 Vol.2からはEuphobiaシリーズ(と呼ぶのかは分からないが、そう呼ばせて頂くことにする)も収録されていて、それがM-7 [Euphobia 3]。この曲も夜のイメージ。何も考えたくないほどに疲れていて、でも無音で過ごしたくないような夜に、ただただ自分をニュートラルな状態に戻したい時に聴く音。
 その他には、M-4 [Fear in The World]も好き。可愛いような、でも少し不気味で、その不思議さに憑りつかれる曲。
 そして、終盤のM-9 [Drift]もシンプルながら味わいのある曲で好き。抽象的な感想ばかりだけれど、ゴンドウさんの曲には生活と平行線で鳴ってくれる音が多いと感じる。けれど、それは穏やかな暮らしの中で優しく響くものだけではなく、もっと現実味のある生活感に沿う部分もあって、それがこの曲かな、と。慌ただしかったり情報に振り回されたり時には流されたりしながらも、なんとか呼吸する暇を見つけたり意識的に風通しの良い場所に出てみたり、そんな生活に沿う音楽。色々あるけど生活は続いていく、それも悪くないよね、と思えるような曲。どういう意味合いが込められているかなんて知らないけれど、私は勝手にそう受け取っている。

Vol.3

 8月2日リリース。アンビエントあり、anonymassを思い出す曲あり、とバリエーションが広いなと感じた3枚目。
 アンビエントといえば、まずはM-1 [Full Lucia]。過去のアルバム【Euphobia】の最後の曲、[Lucia]のフルバージョンとのこと。だんだん似たような感想ばかりになってきてしまうけれど、これも何も考えずに音そのものに身を委ねたい曲。
 ゆったりスタートしたかと思えばM-2 [Karento]はロックな曲調。だけど、そのうえで動くユーフォのクラシカルな響きを楽しむ曲だと思っている。特に3:16以降が聴きどころ。こういうフレーズや音色、もちろん音域も、ユーフォにしかできないし出せない音だと思うし、そういえば私はユーフォという楽器のこういうところが好きだった、と思い出した曲。
 Vol.3にもEuphobiaシリーズが収録されていて、それがM-4 [Euphobia#6]。Vol.3で一番好きな曲。リリースされた直後の深夜、出張先のホテルで何度も聴いた。他のEuphobiaシリーズやアンビエント系統の楽曲にも感じることだけれど、こういう音を聴くと、自分自身と向き合うというか、自分の内側に目を向けることができる。この音をどう感じるかで今の自分の状態を知れるというか。
 M-4から連続して聴くのがお気に入りのM-5 [I Lived the Same]は、広い空の下の草原、みたいな風景が浮かんでくる。女声ボーカルが入っているからか少しanonymassっぽい感じもあるけれど、でもanonymassよりも少し乾いた空気感。
 M-6 [Congratulations for good result]は私の中での「ゴンドウさんのこういう曲調が好き」シリーズのうちの1つ。晴れた日の公園で聴きたい曲がまた一つ増えた。
 ラストのM-9 [Adorable Monster]はVol.2のM-4と似た感触というか、可愛いけどちょっと奇妙で不思議な曲。こういう一筋縄ではいかない曲で終わるのも楽しい。

Vol.4

 9月5日リリース。また新しい風が吹いてきたな、と感じた現時点での最新作。
 譜面が苦手なこともあり、これは何拍子だ?と冒頭から惑わされたのがM-1 [Free as a boy]。聴いているうちに、8分の7で取れば良さそうと納得したところで、リズムの面白さもさることながらそれ以上にフリューゲルを楽しむ曲だな、と気付く。1:34あたりからのソロ、少し黒めの音色とフレーズなのが好き。
 「この曲は…!」と驚いたのはM-2 [Theme for SIX]。Vol.4で一番好き。曲調は少し違うけど、Vol.3のM-5との場面の連続性を感じる。前者は乾いた空気が静かに流れているけど、この曲になると一気に視界が開けてくる。生活の中で聴く音も好きだけれど、こういう異国の風景だったり、普段あまり見ない景色を見せてくれる音も同じぐらい好き。
 M-3 [Daydreaming]は、こういう曲調が好きというシリーズ。これも休日の公園で聴きたい。
 ガラッと雰囲気の変わるM-4 [On My Secret Mission]、このシンプルだけど緊張感のあるファンク、ベーソンズでやってほしいかもしれない。ここにダースさんのラップが乗るのは面白そう。この曲をiPhoneからサッと流して、それに合わせて即興でセッションしてほしい。
 この次がまた、こういう曲調が好きシリーズなのだけれど、M-5 [Day-Off]。anonymassのアルバムにインタールード的に入っていそうな感触もある。これは日当たりの良い部屋で微睡むか、それともまたもや公園か。公園で聴きたい曲がどんどん増えていく。
 M-7 [fromDAT#32]はトラックとユーフォの淡々としたモノクロっぽい薄暗さが好きなのだけれど、途中から入ってくるフリューゲルのフレーズがあまりにも独特で、「何これ…?」と引っ張られる。このコードの上でなんでこの音が使えるんだろう、このフレーズが出てくるんだろう、とぼやっと考えているうちに曲が終わってしまう。独特である故に聴き続けてしまう曲。
 このアルバムに入っているEuphobiaシリーズは、M-9 [Euphobia#7]。[Euphobia 3]や[Euphobia#6]は感情にあまり訴えかけてこない感じがして、だからこそ何度も聴いてしまう部分があるけれど、この曲はもう少し優しい。この暖かさ、知ってるような気がするけれど何だっけと考えていたら、メロディがコラールっぽいのかもしれない。


 アルバムの曲順やまとまりを崩してしまうのは申し訳ないと思いつつも、プレイリスト化して聴くこともある。

 1つ目。こういう曲がやっぱり好き。多分この感覚はずっと変わらないんだろうな。

 2つ目。以前の自分ならあまり聴かなかった曲。去年【Euphobia】や【Another Euphobia】に出会ってからだんだんと聴くようになったけれど、今年の夏になってこういう音楽が必要なタイミングが分かった。本当に疲れていると無音の空間も居心地が悪く、音に縋りたくなる瞬間が訪れる。私は仕事中に音楽を流すと集中力が途切れてしまうタイプなので今迄は避けていたけれど、この夏は、いや、夏が終わった今も、頼るようにこの辺りの曲を聴いている。


 色々と好き勝手に書いてみたけれど、丁寧な楽曲解説やご本人へのインタビューは愚音堂の公式サイトにある。

 6月からここまでの3か月間だけでも、リリース日が来る度に「もう一か月経ったのか…」と思いながら追いつくのに必死だけれど、毎月イベントがあるような気分で面白い。来月はどんな曲たちがリリースされるんだろう。どんな発見があるんだろう。
 
 そして何より、私はやっぱり金管楽器が好きだ。聴くのも好きだけど吹いていた時期もあるから、ゴンドウさんの音楽(参加作品も含む)を聴くと、金管ってこんな事もやれるのか、と驚くことも多い。
 次のアルバム、その次のアルバムでは、どんな「金管楽器の可能性」に気付けるんだろう。それまでは、この計38曲を何度も楽しもうと思う。

記: 2022/09/11