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エンゼルケアは死者と家族の双方のケアの時間

『親父の納棺』を読んで、
昨年亡くなった父の納棺を思い出した。

納棺師の行う1連の行為をエンゼルケアという。
死者の体を清め、化粧をし、着替えをさせ、棺に納めるまでの行為だ。
死者が天国に行けるようにという願いを込めて、エンゼルケアと言うらしい。

このエンゼルケアは納棺師が執り行うが、最近では、残された家族も一緒に行うようだ。

「エンゼルケア」は、死者をケアすることで、残された家族が死者と向き合う最後の時間とも言える。
だから、死者をケアすると同時に、我々残された者たちもケアされていることになるのだ。

この著者は、父親の手を握ることで、今まで死体という『モノ』だった父親を『自分の父親』として感じられるようになったと書いている。
父親の着替えを手伝い、父親に触れることによって、父親との時間を楽しんでいたことが感じられる。

私の場合もそうだった。
父には、長女の私をはじめとして、女3人男1人の4人の子供がいた。
私たちは、みんなで父の体を清めた。
そして、入れ歯を入れて顔をシャキッとさせてあげようとした。
でも、入れ歯が合わなかった。
父は脳梗塞で倒れた後、胃瘻になった。
口から食べることができなくなったため、施設では入れ歯が外されていた。
顔が痩せ、入れ歯が綺麗に収まらない。
弟は歯医者で、「俺は親父の入れ歯に責任がある。入れ歯が合わなかったら、天国でご飯を食べれん。ちゃんとしてやらんと」と言って、自分の診療所に行き、入れ歯を急いで加工し、父の口に納めた。
父は入れ歯を入れてもらって若返った。
そして、大好きだったタバコを咥えさせてあげた。

我々4人は、父の旅立つ支度をした。
結構、楽しく、父のケアをしたと記憶している。

こうやって、父をケアすることで、父の喪失感から我々もケアされたのだと思う。
父との最後の時間を、みんなで楽しく過ごすことができたと思っている。


エンゼルケアは、死者をケアすると同時に、残された人達のケアも行う大切な時間なのだ。

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