北宋書画
根津倶楽部の期限が切れてしまったままになっていたところ。ちょうど時間ができたので、今年の分を更新にいく事にした。
根津美術館。現在開催中の企画展は「北宋書画精華」中国の書画はどちらかというとあまり馴染みがないジャンル。何か見ることができるかなあと思いつついってみると、意外と楽しい展覧会でした。特に敦煌の仏教美術館が面白い。
まずはかなり有名だという(でも私にはあまり馴染みがない)江山楼観図巻、秋山蕭寺図巻。基本となる代表的な絵なのだろうけれど、馴染みがない。けれど、パッと見て「あ、綺麗だな」と思う絵。精緻なスッキリしていて堂々としている横に長く大きい風景。墨で描かれている絵なのに、ふわふわと空気の感じ、風や湿気が感じられるところがいいところなのかなあと思いつつ見る。と、はっとしてこのジャンルはもしかして、解説を聞かないとわからないのではないか、と思い直し、一度外に出て音声ガイドを借りてきました。よし、これで準備万端だ。
根津美術館の音声ガイド初めて借りましたが、好みのガイドです。シンプルでいながら背景の説明が入っていたりして、真面目なガイド。好みのガイド。
安心してガイドを聴きつつ進みます。山水、花鳥のコーナーは私が見に行った前期の11月初めの方だったので、山水中心。山水画、いつかはたっぷり鑑賞できるようになりたいと思いますが、いまのところ「綺麗だな」とか「面白いな」ぐらいの感想になってしまいます。たまに、絵の中に入れるような絵があって、そのときはノリノリで絵の中を巡れるのですが・・・今回はふわふわとした湿気感がある空気のせいか、それほどでもなく。遠景と近景の対比が大きくあるものだと、そういうふうに見られないのかなあなどと思いつつ見ました。団扇型の画面に描かれた竹塘宿雁図は画面がかなり暗くて、解説を聞きながら「えー雁はどこだ」と探してしまいました。単眼鏡があった方がいいかもしれません。
これは楽しい!と思ったのが道釈 仏典コーナー。生き生きとした絵が多くて、山水画でちょっと静かになった気分がパッと明るくなりました。素敵な絵が多かったコーナーです。鮮やかでちょっと親しみやすい絵が多く、また、描かれている馬や人の描き方というか表現、体の表現が結構すらっとしていて、このぐらいの時代の日本とは違うんだなあと思いました。うまがとっても綺麗に描かれていました。
そして、何も知らずにふらっと行ったので、次の部屋びっくり。
五馬図巻が展示されていました。綺麗!なんて素敵な絵なんだろう。添えられた字も素敵な字だなあ。そして馬がとっても綺麗。それぞれ5種類の名馬の絵と馬をひいている人もそれぞれ全く違うタイプの人で面白いし、とってもリアルに写実的に描かれている。うっすら色がつけられているところも上品です。素敵な絵でした。どの馬もお肉に張りがあって、すごく元気そう。お尻がむっと大きくて、きっと早く走れるのでしょう。
こんな写実的でどちらかというと近代的な描き方だなと思う人が同じく描いたと言われる孝経図巻が一緒に展示されていたのですが、こちらは打って変わってちょっと可愛らしい絵柄。最初の方は画面が暗くてよくわからなかったのですが、でも、人のバランスなどはちょっと違っているとわかりました。展示最後の方は絵もはっきり見えて、物語調というかそんな感じの絵で、面白いなと思いました。
2階の展示は書跡。立派な字だな!と感心。ぐらいの鑑賞なのですが、同じ人でも書き方を変えて書いていて、どちらも綺麗だ。と思ったり、古今和歌集序なんかは料紙の美しさと文字の美しさ、特にかなまじりの部分の美しさにうっとりしました。あんな字が書けたらなあ。華麗な料紙にさらさらと書かれた文字。書跡の鑑賞はできないのですが、文字を見ていると、本当にその書いた人がいたのだと感じられるし、文字の線を追っていると、文字の線の連なり、筆の動き、リズムが感じられ、動画というか動いたものを見るようなそんな感覚があります。それで、その書いた人の手を感じるというか、そういう感じがするので、昔の人が身近に感じされます。それにやっぱりパッと見て綺麗。力強い字もさらさらと繊細な字も。うまいってどこがうまいのかはさっぱりわからないけれど、こういうことなのだろうなと思います。線が美しい。それはもしかしたら生まれつきなのかなあなんて思います。
茶室展示も宋、あるいは中国に関連した取り合わせ。今回初めてガイド付きで茶室展示を見ましたら、なんだかいいものですね。いつも一人で見ているのですが、ちょっと案内されているような気分になります。
ふらっと何も考えずに行きましたが、行ってよかったなと思う素敵な展覧会でした。とってもおすすめ。何も知らない、わからない私が見て全部美しいと思いました。
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