10曲しかないレコード屋 / shota

今回はshoegaze/dreampop band のShellingでギターを担当しているshotaさんに、10曲しか売れないレコード屋の店長になっておすすめの曲を紹介してもらうというテーマで文章をお願いしました。


10枚のアルバムを選び、語るという切り口は他の所でもよくありそうなので、あえて曲単位で選んでいただきました。

shotaさんが経営するレコード屋はどんなお店なのか?読んで、気になったならば曲も聴いて、想像してみるのもいいかもしれません。

「10曲しかないレコード屋」 

文 shota

「10曲売る店あってその店の店長だったらどんな曲を売るか。」そんなテーマで10曲を選んでみました。

CLOUDBERRY JAM / ELEVATOR
https://www.youtube.com/watch?v=GbXz3sIp3Ps

スウェーデンのバンドCLOUDBERRY JAMがこの曲をリリースした当時メンバーはまだ20歳過ぎたばかりの頃でした。CLOUDBERRY JAMは3枚のアルバムを出して解散してしまうのですが、ボーカルのジェニーが「音楽がビジネスになってしまった」ことに疑問を持ったことが理由だそうです。そんなCLOUDBERRY JAMの透明でキラキラした初期の名曲です。

Aphex Twin / Alberto Balsalm
https://www.youtube.com/watch?v=mUT3KoxVzQg

これは電子音楽なんですけど、とても聴きやすいメロディーがあります。それでありながらとても味わい深いシンセと個性的な音色で構成されていてる。ビートは都会のビルの様でもあり、シンセ音色は何とも叙情的。都会に暮らす人々の人間模様とかそこまで想像が飛躍してしまう。ちょっとテクノとかエレクトロニカとか知らないけど興味のあるな~というお客様に。

TEAM DRESCH / Freewheel
https://www.youtube.com/watch?v=UgW_ThVAoD4

このバンドについてCDジャケットに記載されていること以外全く知りません。1994年頃、池袋HMVで試聴して偶然見つけたのを覚えています。おそらくインディーズのアメリカのバンド。この時出会ってなかったら一生聴くことはなかったでしょう。そんな1枚のCDとの一期一会を大切にしてこの曲を選びました。当時流行りのグランジの影響が伺えます。自分の勝手なイメージではバスケ部のメンバーが部活の後に勢いで、だけど真剣にやっているパンクバンド。実際はどうか分かりませんが、そんな永遠の一瞬が込められたような1分39秒の曲です。

Bill Evans / Israel
https://www.youtube.com/watch?v=WGdr93tnNMk

なんだかジャズピアノが聴きたくなっちゃった夜にオススメなのはこの曲。夜の都会のイメージが脳裏に浮かんできます。それは行った事のないイメージの中のヨーロッパの街みたいな。そんな究極にロマンチックなムードに浸れる曲。

suede / jubilee
https://www.youtube.com/watch?v=zUqbY1_PwpY

この曲はシングルのB面の曲。とてもキャッチーなギターのリフがとても好きなんです。なんでこの曲がアルバムにも入ってない、シングルのB面曲なんだろう。個人的にはアルバムのシングル曲になってもおかしくない曲だと以前から思っていたので、この曲を選びました。シングルのB面にも良い曲が入っているのが当日のsuedeの魅力のひとつです。

Brian Eno / Julie with...
https://www.youtube.com/watch?v=Ok5rs1AEzCM

Brian Enoというとアンビエントミュージックの創始者とかプロデューサーのイメージが強いと思うんですが、自分はイーノの歌が入った曲をよく聴いてきました。イーノの歌が好きなんです。この曲は印象的なベースで展開して、静けさ、落ち着き、夜の深い闇を表現するかの様な、深い味わいのある世界です。

小畑実 / 星影の小径
https://www.youtube.com/watch?v=Ir-CDMhYbXo

1950年にリリースされた曲。戦後間も無いこの時期に、どれだけの日本人がこのとても美しくロマンチックな曲に癒され、そして束の間の夢を見ていたであろうことを想像します。

WECHSEL GARLAND / Verbluten

この曲はジャンルはエレクトロニカに分類されているけど、ほとんど生音で構成されています。散歩中にこの曲を聴いていると、まったりとした少し切なげなムードに心を奪われてしまうんです。とても好きなフレーズの部分があるんだけどそれを繰り返さない。「ああ、この部分もう一回出てくればいいのに。」と思ってしまうけどそんな展開も自然だし、そんな儚さが良かったり。

Saint Etienne / Who Do You Think You Are
https://www.youtube.com/watch?v=Xxqka4FTvFc

この曲は何と言ってもメロディーがいいんです。自分の中では理想的なポップス。実はこの曲はカバーで、オリジナルはJigsawというバンドが1974年にリリースしたものです。個人的には原曲はちょっと男性ボーカルがパワフル過ぎて、抑え気味なこちらの女性ボーカルのSaint Etienneバージョンの方がメロディーの良さが引き立っていると思うんです。アーティストが曲をカバーする事によって起こる変化の良さを代表する曲としてこの曲を選びました。

Cast Your Fate to the Wind / George Winston
https://www.youtube.com/watch?v=toxNMG-_u1A

ジャズピアニストのVince Guaraldiが1962年にリリースした曲。アニメ「ピーナッツ」で使われていました。George Winstonがカバーしているのですが、ジャズの曲で即興の部分にあたる中間の部分が彼のオリジナルなんですが、その部分の旋律が素晴らしいんです。「Cast Your Fate to the Wind」直訳すると「風に向かって運命を投げろ」つまり運命は風まかせといった感じでしょうか。「そんなにクヨクヨ悩まないで、運命を風まかせにしてみなよ」というメッセージが聞こえてくるかの様な曲です。

以上の10曲です。

お客さん、どの曲がお薦めかって?全曲がお薦めなんですよ!

■プロフィール■

shota(twitter @Shelling_shota

shelling (twitter @Shelling_info

soundcloud→https://soundcloud.com/white-paddy-mountain/preview-shelling-aquarium-sympathy


.tumblr→http://shellingweb.tumblr.com/