御伽の森レーベル 主宰ダイゴ インタビュー(後編)

canavis 前回はダイゴさん個人の音楽の経歴について話して貰いましたが

今回は御伽の森について話していただきます。

(前回・・・御伽の森、主宰ダイゴのインタビュー

(前編)→https://note.mu/aobato/n/n31dc663ca350)


1.ネットレーベルをはじめたきっかけ

canavis では、ネットレーベルをはじめられたきっかけを聞かせてください。

ダイゴ きっかけは、御伽の森レーベルのLaikaこと高石涼太(以下 高石)と

(高石涼太・・・ ギタリストとしてのソロ活動の傍ら主にLaika名義で活動している。

twitter→@Laika610 soundcloud→https://soundcloud.com/laika6 HP→takaishiryota.com)

eclerことshinji uhara(以下 宇原)

(shinji uhara・・・音楽家、御伽の森レーベルではÉclair、shinonome名義で楽曲を発表している

twitter→@shinonome_LOLI soundcloud→https://soundcloud.com/shinonome_otoginomori)

の二人と飲んでいて、三人とも音楽を作っていたんですが、

特に発表する場もなかったので、

初めは自分たちが好きに発表できる場所を作ろう的なノリではじめました。

canavis では、最初は高石さん、宇原さん、そしてダイゴさんの三人でスタートしたのですね。

ダイゴ そうです! また理由というかきっかけはあって、三人とも共通して楽器弾きだったので

既存の電子音楽を主軸としたネットレーベルではなく、生音だったりバンドサウンドだったり

よりレンジの広いアプローチのできるネットレーベルがあったら面白いかもって思ったのもあります。

ぼく自身バンドをやってますが、バンドでネットレーベルみたいなアプローチを取ることはそうそうないと思うんですよね、なので面白いかなと。

実際に幾つかのコンピにはバンド形態の音楽も入っています。

難しかったのはテーマ設定やコンセプトメイクですね。


canavis テーマ設定とコンセプト

ダイゴ はい、数あるネットレーベルのコンピレーションて、正直なところ、とりあえず数集めて出す!って感じが多いと思うんです。

好きな音楽を広めたいという思いが強いほどそうなるのは無理もないんですけど、僕らはそうではなく、コンピレーションをストーリーのある作品として成立させたかったんですね。

canavis 御伽の森はHPのイラストからして、物語を感じさせるようにできていますね。

ダイゴ そこで、アートやデザインのエッセンスを大きく取り入れることで、様々な作家が参加するコンピレーションに、一貫性のあるテーマやストーリーをもたせることを考えました。

あと成り立ちの部分なんですけど、御伽の森レーベルの一番最初のリリースって実はフィジカル盤なんですよ(笑)

しかもどこで売ったかというと、デザインフェスタという(笑)なんでM3じゃないのってそれにつきます。

今はフリーダウンロードになっている、『影をなぞる』という作品はフィジカルリリースをしてライブなど、イベント会場で販売していました

(『影をなぞる』リリースページ→http://www.otoginomori.com/post-60/)

canavis 最初の作品『影をなぞる』を出したときからもう、レーベルのコンセプトは決まっていたのですか?

ダイゴ 電子音楽だけでなく、生音も大事にするのとデザインやアートを大きく扱うというのが・・・

canavis 今まで語ってきた御伽の森のコンセプトですね

ダイゴ もちろん電子音楽として成立するものも大切にしていますよ、どちらにせよ、フロア向きな音楽ではありませんが、結果的にフォークトロニカやエレクトロニカ、アンビエントが多くなった気がしますけどね(笑)

 ぜんぜん、そのほうがカラーには合ってるので、意図したわけではありませんが、結果としては良かったです。

canavis 御伽の森のデザインや活動が自然と同じ志向の音楽を集めさせたなら、言葉を使わず、自分たちの存在がどういうことかを語っているという事が凄くうまくいってると思います。

ダイゴ そこは、とても重要なポイントです。言葉でテーマを提示したり、説明するよりも、デザインによって視覚的に訴えることがとても効果的でした。

canavis 言葉でコントロールするのは避けたんですか?自分たちの趣向を説明するのに。

ダイゴ 言葉に感しては、なるべく抽象性を持たせるように意識しました。「〜というテーマで」という部分もそうですね、具体的すぎると、個性的なアプローチを殺してしまうと思うんですよね。

ダイゴ 作品を作る主体性に欠けるというか、任される、頼まれる感じが強くなるのは避けたいですね。

canavis 説明しすぎると解釈の自由を奪う。

ダイゴ そのとうりです。

canavis 想像を狭めてしまい、爆発するなにかが、生まれないかもしれないですね。

ダイゴ そうですね、なんか完全に自由だと、どんな主張をしたらよいかわからないとは思うので、

ある程度の枠組みを与えるのは必要かなと。

その枠組みになってるのがデザインの大きな役割で、アートというものが、御伽の森にとってレーベルとリスナーだけでなくレーベルと作り手とのコミュニケーションの・・・・。

canavis ツールとしての役割にもなっている

ダイゴ そうです。そして、そのコミュニケーションのツールが、結果としてはレーベルの雰囲気担っているのだなと感じます。

canavis わかりました、そのコミュニケーションの部分とデザインを強調させたのが

最新作『植物図鑑Ⅰ』で行った楽曲ごとにイラストレーターとのコラボになるんですね。

(『植物図鑑Ⅰ』・・・御伽の森レーベル最新作 テーマは名のとうり植物図鑑、植物をテーマに多彩なジャンルの音楽家と曲の内容に合わせ様々なイラストレータがアートワークで参加した作品、

リリースページ→http://www.otoginomori.com/otogi-015/)

ダイゴ まさに!(笑) 最新作の『植物図鑑Ⅰ』はワンチューン、ワンアートという、かなり豪華なものになりました。

作家がそれぞれ違うコンピレーションだからこそ、各々に別々のアートワークがあっていいと思うのです。

一つのイメージを共有するのも面白いんですが、さらに一歩進んで、植物図鑑という一つのテーマを各々が別々の表現手法で

一つ一つの作品にアプローチするというのは、ある意味デジタルな作品だからこそ成立すると思いますし

ネットレーベルとしてはあまりない試みだと思います

別のフィールドのファンを獲得する機会にもなると思いますし

やはり、「知ってもらうこと」というスタンスは根底にあると思います。

まぁ、単純に楽しいですし(笑)

canavis 新しいアイデアを試すってわくわくしますからね

ダイゴ それに、今回は誰がどの曲のイラストを担当するか、誰がどの曲を担当するか、といった点は双方知らせていなかったので、それもまた良い結果になったと思います。

音楽を伝える方法を色々試せるのが、インターネットを軸に活動している楽しさだと感じるので。

canavis 今回の方法もそんなネットで活動しているならではの手法だと感じました。

ダイゴ レスポンスの早さや、場所や時間を選ばないといところ、特定の消費者へのアピールがしやすいところなどは、すべてネットの恩恵だと思います。


2.御伽の森メンバーについて

canavis 次は御伽の森メンバーについて。

ダイゴ ではまずは、創設メンバーについてですね、創設メンバーは僕、高石、宇原の三名です。

そのうち、高石はソロギターで活動しており、宇原は自分と同じバンドに所属しています。

canavis 創立メンバーのお二人についてお聞きします。

では、 高石さんから、どういった活動をされていて御伽の森ではどのような役割をになっているのでしょうか?

ダイゴ 高石は、御伽の森レーベル創設当初は、主にツイッターの管理をして貰っていました!

あと、写真が趣味だったので、彼の撮った写真をジャケットやサイトデザインの素材で使うことが良くありましたね。

創作のスタイルとしては、アコギを基調としたメロディアス且つテクニカルなものが得意ですね。

当初は幾つかの演奏素材を組み合わせて、音響的なアプローチがある楽曲もありましたが、今ではソロギター奏者として活動しています。


canavis では、つぎに宇原さん

ダイゴ 宇原は、レーベルでは主にフェイスブックでの広報を担当して貰っていました。

それ以外にも、コンピレーションのマスタリングなど、

エンジニアとしてレーベルの活動を支えてくれていましたね。

彼はもともと、シューゲイザー系のバンドで活動していて、サウンドメイクや演奏面でも、信頼のおけるプレイヤーでもありますが

個人的にはIDM系の音楽を作っていて、電子音楽に関する造詣も深く

面白い作家だと思います。


canavis では、次からは創設メンバー以外の方を、まずはRyoheiさん。

(Ryohei・・・美術家。御伽の森レーベル美術顧問として、おもに楽曲のイメージビジュアルの製作や、イベント等の美術演出、企画を担当している。

twitter→@ryo_n_k_n 

tumblr→http://ryohei-nakano.tumblr.com/ )

ダイゴ Ryoheiくんはデザインフェスタで知り合ったのが最初です

そこで、音楽+アートという我々のコンセプトに共感してくれて、デザインやアートなどの視覚的観点からこちらにアプローチしたいということで加入してもらいました。

canavis ダイゴさんから見てRyoheiさんの絵の魅力を伝えていただければ。

ダイゴ まず、同世代で自分の身を置くフィールド以外にも表現の幅を広げたいと思っている意欲が人一倍強くて、そこにすごく共感できて、一緒にやりたいなって思いました。

canavis Ryoheiさんの絵の魅力はなんでしょうか?

ダイゴ Ryoheiの絵の魅力は、配色の綺麗さやモチーフの配置という部分もありますが、一番は、絵の背景にあるストーリーが見えるところだと思います。


canavis 次に加入された方は?

ダイゴ 加入という意味ではけいしろうくんかな!

(けいしろうくん・・・橋本佳史朗 美術家。御伽の森レーベルイラスト担当。

twitter→@kei790 HP→http://keishirou69470822.wix.com/keishirouartworks)

今回植物図鑑コンピでもイラストを担当してくれて、御伽カフェではライブペイントで、出演してくれた大阪の天才

御伽の森レーベル関西支部の代表です(笑)

(御伽カフェ・・・御伽の森レーベルメンバーによるイベント)


一番最初の参加は、「きつねび」という年末に打ったコンピですね。

けいしろうくんも実はデザフェスで知り合ったんです

彼はもともとバンドをやっていて、音楽から絵へと表現方法をシフトしたタイプの作家でした

なので非常に音楽側の意図を汲み取っていただけてました。

canavis なるほど、音楽を分かってらっしゃるからコミュニケーションがやりやすいですね。

けいしろうさん、彼の絵の魅力は何と感じます?

ダイゴ 色彩感覚が優れているなと思いました、それよりもなによりも、彼の絵は音楽との親和性が高い気がしますね。

モチーフや、構成からそう感じます、音楽をやっていたからこそかもしれませんね。


canavis では最後、そうむさんですね。

(そうむさん・・・WEB Designer 御伽の森のHPの運営や投稿管理を行っている。

 twitter→@meiwakukurunayo)

ダイゴ そうむくんには、御伽の森レーベルのウェブサイトとの運営を技術的な面でサポートしてもらっています

WEB関係のスペシャリストですね。

canavis そうむさんはどういった経緯で加入されたのですか?

ダイゴ 最初、御伽の森レーベルのサイトは僕が全てサイトデザインから運営までやっていたのですが、規模感的にも技術的にも僕はフロントエンドに関してはずぶの素人なので難しかったので、そうむくんに頼んでやってもらった形です。

(フロントエンド・・・ユーザーとのデータのやりとりにあたる部分)

加入の経緯に関しては、もともそうむくんと僕は高校時代の学友だったので、その繋がりですかね。

彼、ウェブ系とかプログラムとか趣味でそういうの齧ってたので、お願いできるかな、と。

結果的には快く受けてくれたので良かったです(笑)

おかげでサイトもめっちゃそれっぽくなったので、アーティスト側の信頼にもある程度、繋がりましたかね。

まさに重要な裏方です。

canavis サイトも小まめに新しくなっていたり、podcastなどの導入をされていたり、そういった技術を新しく導入できるのも、そうむさんの力なんですね。

ダイゴ そのとうりですね。podcastなんかは完全にそうむくんからの提案だったので、こっちで思いつかないところをフォローしてくれていて助かります。

canavis_ 御伽の森のメンバーは、みなさん全員が前進していて技術や力を出し合っているんですね。

ダイゴ まぁ、利益求めてないのでとりあえず面白そうなのやってみようってところですよね(笑)

canavis それを実現できるのは凄いですね。

ダイゴ 最終的には自分たちの遊び場なので、それを継続させるためにも新陳代謝は重要かなと思い、意見出し合って何かやろうとは常々思ってます。


canavis 一歩引いた視点でいるという役割はいるのですか?

ダイゴ あー、たしかに第三者的な立ち位置っていないかもしれないですね、関わる人みんなが割と当事者意識持っていると思うので、外部の反応がそれにあたるかもしれないです。

canavis 内部に第三者的な視点がなくても、全員が全員やるべきことがわかっているから大丈夫なのかもしれませんね。

ダイゴ 他のネットレーベルがどんな運営してるのか気になるところですね(笑)


3.最新作「植物図鑑」について

canavis 最新作「植物図鑑」についていきましょう『植物図鑑Ⅰ』はワンチューン、ワンアートの作品であると、

絵の側の人間と音の人間が誰を担当するか知らされていないという、新しいアイデアに満ちた作品であるということを語ってもらいましたが、他に作品にこめた思いとか狙いはありますか?

ダイゴ 御伽の森レーベルのコンセプトそのものを体現したコンピを作ろうというのがメインテーマということで、やはり音楽側だけじゃなく、イラストなどのアートをやっている側の人たちに広がってほしいというのが一番ですかね、やはり。

canavis 音だけではなく絵にも大きな価値を置いてるレーベルなのでアート側の人に反応してもらえるといいですよね。

ダイゴ フィールドレス、ジャンレスなところはネットならではだと思うので、リアルのイベント、企画とは違った良さを活かしていきたいです。

canavis SNSは違う文脈の方とのボーダーを乗り越えられるのが魅力ですからね。

ダイゴ そうですね、ネットの発展は世界を広くしたというより狭くしてますよね(笑)

canavis 近づきやすくしてますね(笑)


4.レーベル運営について

canavis では、次はレーベル運営についていきますね、ネットレーベルの運営で楽しいところ、つらいところというのは?

ダイゴ 楽しいところは、やはり作品を通してたくさんの人の表現に触れることができるところですかね。

単純にみんなで何か一つの物事をに取り組むことが自体が楽しいですし

ものづくりそのものが好きなので、学生の文化祭みたいなノリで和気藹々とやっています(笑)

自分の知らない方と表現をとうして繋がれるのは楽しいですからね。


canavis ではその逆はありますか?つらいところ。

ダイゴ ネットレーベルに関してはビジネスにしようとは全く思っていないので、趣味の範囲と言いますか、手の届く範囲内でしか活動してないので、あまり辛いところはないです(笑)

強いて言うなら一人で運営しているわけではないので、全体の意見のすり合わせだったり、コンセプトメイクやテーマ設定に関して

いろんな意見を取り入れながらも指針にブレがないようにしていくのは難しいところかもしれませんね。

コンセプトメイクで言うならば他レーベルとの差別化だったりです。

最近はそんなに強くは意識していませんが。

canavis メンバーがいると意見をあわせる苦労はさけられませんね。

他のレーベルとの差別化も、とはいえ御伽の森は存在がもう他にはないので、差別化・・というより自然と個性はでていますね。

ダイゴ それですね、最初苦労して色々考えたんですけど意外とやっていくうちに自然と色が出てきたと言った感じです。

それもまた面白さですかね、意図してアーティストを集めているわけではないんですけど、結果的には全体を構成する世界観は似ているといいますか

コンピにも自然とそう言ったストーリー性が生まれているような気がします。

canavis レーベルの名前からデザインまで、立ち居地が分かるようになっていて、そこによさを感じた人々とともに個性ができていった、という感じですね。


5.御伽の森のこれから

canavis 最後に御伽の森のこれからの活動予定など聞いてもよろしいですか?

ダイゴ はい、活動予定としては、引き続きコンピのリリースはしていきたいです、

あとは個人作品が多くなってきたら楽しいかなと、他にはもっとアートワークが全面に出るような企画をやってみたいですね、具体的には「絵本」とかやりたいです。

まだ構想段階ですが(笑)

あとはまた御伽カフェ見たいなイベントやりたいですかね

canavis Ryoheiさんもけいしろうさんもファンタジックな絵を書かれているので絵本になったらどういう表現をされるか想像すると楽しいですね。

ダイゴ ちゃんとストーリーとかも考えたいです(笑)

canavis 御伽カフェもいい雰囲気なので、これをご覧になっている方にもおすすめしたいです。

ダイゴ 御伽カフェは本当続けたいですね。できればアーティスト数も増やしていって、最終的には小さなフェスみたいにできたら楽しいかなと思っています。


canavis ではそろそろ、おしまいにしましょうか、今回はありがとうございました!

ダイゴ こちらこそありがとうございました!


ダイゴ

twitter→@NobutakaDaigo

soundcloud→soundcloud.com/fumizukidaigo

御伽の森レーベル

twitter→@otogi_no_mori_

HP→otoginomori.com

おぼれる馬としゃべる沼(うまぬま)

twitter→@uma_numa_

HP→uma-numa.com