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ひとり暮らしをするってこと

真っ暗な部屋の中でひたすら鳴っているアラーム。差し込んでくる朝日の光で自然と目を覚ましていたあの頃とは、もう違う。

ひとり暮らしが始まって今日で3日目。

朝早くから夜中まで引越しの手伝いに来てくれた家族。家族が帰ってしまった後、私は思わず涙を流してしまった。家族との別れが思っていた以上に悲しくて、これが夢だと、現実じゃないと信じたかったのかもしれない。自分が決めた道だし、泣いたって何も変わらないのに。

朝起きて朝食を作って、洗濯している間に食器洗いして、洗濯し終わったものを干して、ふーっと一息ついて。洗濯物を畳んだり、夕飯を作ったり、洗濯物を干したり、部分的な家事の手伝いはちょこちょこやって来たけど、全てを一気にやったことはなかった。一連の流れで全てをこなすお母さんって本当にすごいなって改めて思う。

疲れて帰ってきても、動き出さなきゃ次に進まない。待っていたら、温かいご飯が出て来たり、温かいお風呂を誰かが溜めてくれていたりなんてことはないのだから。今晩の自分のため、明日の自分のためっていうマインドで自ら動き出さなければ何も状況は変わらないんだと気付いた。

色々慣れないことや不安なことは勿論多いけれど、幼い頃から母に教わって来た料理は唯一自信を持てる。切ったり、炒めたり、お料理をすることはあまり苦に感じず、むしろ楽しい。そう思えるのは、唯一の救いなのかもしれない。

ひとり暮らしが始まって1週間。久々に実家に帰った。広大な土地が広がり人気の少ない新居地と比べて、こちらは土地が狭く観光名所ということもありとにかく人が多い。けれど、そんな昼のにぎやかな雰囲気とは違った夜の閑散とした雰囲気がたまらなく心地良い。何だかこの感じ、久しぶりだな。

家に帰ると家族が居る。温かくて美味しいご飯がある。やっぱり1人じゃなくて、誰かが一緒に居てくれると食欲が自然と湧いてくるし、安心感からちょっと力を抜いたり出来る。ひとり暮らしが始まってまだ1週間なのに、知らず知らずのうちに積み重なっていた疲れが一気に解けて、身体全体がぽかぽかあったかくなっていくのを感じた。

目が覚めると、再び新居地へと戻るべき日がやって来た。これが夢であって欲しい、家族と別れたくないとまた心のどこかで思ってしまう自分がいた。電車の中で家族からのLINEを見て、じんわりと目の辺りが熱くなっていることに、特に意識しなくても気付いた。

自立と自律。

若干意味が異なるこの2つの言葉だけれど、どちらも同じ読み方をするし、自分の力で生きていくという意味をどちらも持つ。

自ら未来を切り開いていく力を、今日も私は追い求める。


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