私がついた、麻酔みたいな嘘

「ひどい事故を目撃してしまって、授業に遅れるかもしれない」
有給で、いつもより少し遅くまで寝ていたその日、会社携帯が鳴る音で起こされた。相手は、ニュージーランド人の先生、サイモンだった。
当時、私は英会話学校で、ネイティブの英語講師のマネージャーのような仕事をしていた。サイモンはがっちりした体格の、頼れる30代の講師だったのだが、その日はいつになく動揺していて、電話口の声は、小刻みに震えていた。

サイモンの話はこうだった。
同僚のジュリーと2人で、仕事場へむかって歩いているところ、自転車に乗った中学生の男の子が、車にはねられる場面に遭遇した。横断歩道を自転車で渡るその子に、信号無視をした乗用車が突っ込み、衝撃を受けた自転車は、円を描くように宙を舞った。そして、次の瞬間、自転車ごと地面にたたきつけられた男の子は、冷たいアスファルトの上で、ぐったりとした。

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http://tenro-in.com/mediagp/70622

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