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ありがとう


生まれた時からとてもとても可愛がってくれた祖母の突然の訃報が実家宮崎から届いた。

宮崎を出て10年、帰省するたび
顔を見せにいくと
「あずちゃん!帰ってきたとねぇ」
と満面の笑みを見せてくれた。

小さい頃から祖母の作る漬け物が大好物で
お茶請けに出された漬け物を毎回おかわりするから、
いつの日か私用にどんぶりで漬け物を用意してくれるようになった。
漬け物は今でも私の大好物のまま。

認知症になっても、あずさだよ、というと
「あずちゃんねぇ」といつもと変わらない笑顔で迎えてくれていた。

帰省するとご飯に連れて行ってくれてたのだけれども、いつも綺麗にお化粧をして出かける祖母だった。


訃報を受け、実家に帰って
そんな祖母に初めて化粧をした。

近くの薬局で祖母に似合う化粧品を揃えた。
冷たい肌だけど、今にも動き出しそうな
とても綺麗な肌にファンデーションをのせ、
薄づきのチークと、口紅を引く。


祖母はとても綺麗だった。

認知症になってからもしてあげればよかったな、なんて若干の後悔ができた。


最後の対面の時、大好きだった花に囲まれた祖母はさらに綺麗で。
自然と出てきた言葉は
「ありがとう」
だった。

誰もがおばあちゃんは梓が大好きだから、と言うくらいたくさん愛してくれた。可愛がってくれた。
記憶の中の祖母は、いつも笑顔だった。


ありがとう、って何回言っても足りない。


ばあちゃん、本当に本当にありがとう。
私が漬物が大好きなのは確実にばあちゃんの漬け物で育ったからです。
お花が好きなところも似たね。
化粧はそんなにうまくはないけど、ばあちゃんには上手にできたかなぁ。

習った料理も、漬物も、これからたくさん練習するね。
ばあちゃんの味は覚えてるから、近づけられるよう頑張るよ。


世界とつながるインターネット。天国にもきっとつながっていると夫が言ってたっけ。

そう信じて。

ありがとう。

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