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ムテの音楽鑑賞会in江岩寺

10月17日に行ったムテの音楽鑑賞会について、運営の立場から簡単に綴りたいと思います。
今までライブハウスやライブバーなど、環境の整った場所でしか企画したことがなかったけれども、いつもと違う素敵な場所で開催したら、随分楽しい会になりました。
あんまり詳しくは書き切れないけれど、備忘録も兼ねて残しておこう。
この記事が何かの答え合わせになったらいいなと思います。

今回の主催であるコーヒームテの店主、丹下雄二朗の記事も公開中です。合わせてご覧ください。
ムテの音楽鑑賞会について - 丹下雄二朗

概要

小牧市と犬山市の境目。入鹿池の裏側の山間に江岩寺というお寺がある。


とても静かな場所で、街からそう離れてる訳でもないけど車の音などは全く聞こえない。
生い茂る木々に、街の雑音は完全に遮られているようだった。
コーヒームテの主催する音楽イベントを画策していたぼくたちは、そこを開催地に決めた。

コーヒーの香りと優しいギターの音色が混ざり合った情景を思い浮かべて、ここなら間違いないと確信したのだった。

堀嵜菜那、小池喬というラインナップ。
新進気鋭の新書専門店、TOUTEN BOOKSTORE。
名古屋大須でレコードをディグるなら避けては通れないRecordShop ZOO。

そしてコーヒームテ。

本とコーヒーとレコード。本物の音楽。
これ以上ない極上の空間だった。

アクセスに少し難があって、寺に辿り着くためには車一台ギリギリ通れる狭い山道を往く必要がある。
生い茂った草木が視界を阻むヘアピンカーブ。
初見ではまさかこの先にお寺があるとは思わないだろう。
でもそんなスリルが、アトラクションとして機能する。
イベントの期待値を上げるスパイスになった。


SNS告知なしの完全招待制

ぼくらは実験的な試みとして2点、あまり見かけないやり方を試していた。
その一つがSNSでの告知を一切しない、完全招待制の導入だった。
ぼくら運営側が呼びたい人に招待状を渡して、そこに記されたQRコードから予約フォームを利用してもらうという、少々まどろっこしいやり方だ。

お寺というライブ慣れしていない場所に、ぼくらも認識していない不特定多数の人間を呼び込む事にリスクを感じた事がひとつ。

あとは単純な悪巧みというか、いたずらに遊び半分で導入したアイデアだった。
他にも運営の他のメンバーにそれぞれ思惑はあったと思うが、ここでは割愛させてもらう。


招待状を作る、という大きな手間は今回のイベント作りのハイライトのひとつになったと思う。
アナログな手法には工夫の余地が無限にあるからだ。

ぼくらはまず、封筒をコーヒー染するアイデアを採用した。

優しく素朴な風合いで染まった封筒からは、微かにコーヒーの甘い香りがした。
手触りも少し固く、古い部屋から出てきたようなエイジング加工が施されていた。
どれくらいの濃さがいいか、丹下が実際に染めて試し、試作品からみんなで決めていった。

丹下のうちに集まり、夜なべして封筒を染めた。
夜中にはみんなで色んな話もした。
こんな合宿みたいな雰囲気は久しぶりだった。

朝起きると、丹下がコーヒーを淹れてくれていた。
丹下の家は由緒ありげなお屋敷で、コーヒーが入るとそこはまるで古民家カフェだった。
ここで営業すればいいのに。
贅沢な時間だった。



封筒には、草木の合間から覗く江岩寺が描かれたフライヤーを包んだ。
作画は運営メンバーのひとり、林菜穂。
彼女はぼくが直接声をかけてこのイベントの運営に携わってもらっていた。
彼女の絵は、写実的でありながらもどこかデフォルメされていて、とても暖かい優しい画風が特徴だ。


彼女の絵に、丹下が情報を載せていった。
このフライヤーもすこぶる好評だった。

仕上げは、フライヤーを包んだ封筒に「ムテの音楽鑑賞会」と掘ったスタンプを押した。
このスタンプは丹下の知り合いに作っていただいたそうで、すごく可愛くできている。

https://www.instagram.com/cachetblanc/?igshid=167nvg78gxa4q

こうして完成した招待状はお客様の手元へ届けられた。

価格の自由設定


もうひとつの試みは、価格の自由設定だった。
チケット代を投げ銭制にしたのだ。

ただし、箱を置いてチャリンチャリンと入れてもらうようなものではなく、お客様からのお気持ちを贈り物として演出した。

例のコーヒー染して作った封筒にお金を包んでもらったのだ。

こうしてひと手間加える事で、「チケット代を払った」というよりも、ご祝儀的な心持ちで「お金を贈った」と解釈して支払ってくれるのではないか。
そう踏んだ。

結果として、イベントの経費にかなり近い額が集まり、この企画自体が大きな損失を出さない形で終えることができた。

しかしまだまだ仕組みとして改良の余地がある。
もしまた次回も同じような試みを実施するなら、もう少し精度を上げていきたい。

おっさまとの関係作り



ぼくたちは、江岩寺でイベントを開催するに当たって、まずは場所を貸してくれる和尚様(おっさまと呼んだ)と関係を深める必要があると考えた。

そこで、おっさまが日常的に行っているという江岩寺周辺の木々の剪定や崩れた石垣の修繕を出来る限り手伝う事にした。

真夏の空の下、山の中で石をどかしたり、竹を運んだり、草を刈ったり。
どれほど役に立てたのかは分からないけど、おっさまからご褒美のひやむぎやスイカを振る舞ってもらえるくらいにはいい関係が築けた。
江岩寺に住む柴犬(雑種?)のブチャとも仲良くなれて、数年ぶりに夏の思い出が増えた気がして嬉しかった。

イベント当日


丹下が大幅に遅れて到着した。
仕込みに時間が掛かったこと、天気が悪く道が混雑したことなどが重なった為だ。
朝っぱらから現場は混乱してしまった。
丹下に頼りきっていたぼくは、急遽指揮権を行使することになったのだ。
かなり焦ったが、そこでこのイベントのぼくの役割や立ち位置を認知した。次回はその辺りを踏まえてこなせそうな気がしている。

今後の展望

まだまだコロナの脅威が続いている。
終わりの見えない状況は、中々変わらない。

そんな中でも、ぼくたちは音楽を奏でたいし、楽しみたい。
また江岩寺でやるかもしれないし、違う場所を見つけてくるかもしれない。

確かな事は、間違いなくまた、会を開く。

やり残した事がたくさんあるのだ。
集合写真とか撮りたかった…。

今後時間を見つけながらその辺りのやり残した事について細かく記していければなーと思っております。

ひとまずはこの辺で。

ムテの音楽鑑賞会 メンバー

出演
小池喬
堀嵜菜那

主催
丹下雄二朗
江内谷晃平
林菜穂
奥平進介

音響
柴田幸一

受付
加藤妃南子

出店
コーヒームテ
TOUTEN BOOKSTORE
RECORDSHOP ZOO
nicolas(焼き菓子)
cafe ayim(お弁当)

江岩寺
おっさま
おくり

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