黒田 美紀のアンティーク・ストーリー ー リング編 ー
皆様、こんばんは。
今日は、おそらく一番人気のアイテム
リングについて、お話ししてみようと思います。
百貨店内常設のアンティークジュエリー専門店に約２０年勤務しておりました。
アンティークゆえ、同じものが二つと無い
（仮に酷似したものがあっても、コンディションが異なる）ので、出会った品も多種多様。
更に百貨店という場所柄、アンティークが好きな方はもちろん、全く興味が無い方、通りがかりにふらりと立ち寄られて、本気でもそうで無くても、とにかくいろいろな質問をいただく機会がありました。
そのおかげで守備範囲と接客経験だけはある方だと思います(笑)
そこで、
今回もアンティークに限らず現代宝飾にも通じる『言われれば当たり前、でも意識されていない』内容を中心にお話したいと思います。
リングはジュエリーの中で最上格
①クオリティ
前回のイヤリング＆ピアス編で私の本音として「イヤリングとバングルは、コスチュームジュエリーでもなんとかなる」と炎上覚悟で書きました。
というのも、特に石付きの場合、もちろん良い石を使えばすばらしく映えるのですが、そうでないものでもそれなりに見えるからなのです。
対してリングでは、主役級の石が使われることが多いのはご存じの方も多いと思います。婚約指輪などに使われる良い石こそ、シンプルなフレームにより石の美しさを最大限生かしていますよね。
テレビショッピングや、新聞広告でよく見る○○百貨店の通信販売などで、大きめのダイヤモンドの一粒ペンダントを見ると、石は大きくても石のクオリティが残念な内容が大多数でした。指輪だと大きさの割に見劣りするけれど、ペンダントならそこまで目立たないということだと思います…
②リングは『その日の私を物語る』
と言っても過言ではないと思います。
それは昨今、耳にすることが減りましたがＴ.Ｐ.Ｏ、そして何よりも重要なその日の気分です。
まずは『T.P.O』から
BBQにはシンプルで気にせず洗えるもの。
プールに外さなくてよい丈夫なもの。
ですよね。
これらは言わずもがなですが、別にT.P.Oを意識しなくても、その品物と向き合っていればおのずと決まってくるものです。
ちょっとアンティーク・リングの話
19th Dec '14 の刻印から1814年のものと思われる。
名前がスカンジナビア又はオランダ風の名前。
日付表記、及び作りは英国。
モーニング（死を悼んでつくられた）ジュエリーの作りではないけれども、
英国貴族に嫁いだ上記国出身の妻を偲んで名を入れたのかもしれない。
憶測です。
表題の写真、そして上の写真のリングは同じものです。『クローズド・セッティング(塞がれている)』とか『フォイル・バッグ（ダイヤモンドの下には光を反射させる目的でsilverの箔を敷いてある）』など呼ばれる、セッティングです。
この時代は、光を当てるとダイヤモンドが輝くと明確に認識していなかったのでこの様なスタイルでした。
ダイヤモンドの裏(指側)は金属で塞がれているので、手を洗うときは外すなりして浸水を防がなくてはなりません。
２００年の時を超えて、状態もとても良く
大切に引き継がれてきた超幸運なリングです♡
話を戻して次はいよいよ
『気分』です。
意外と当たり前ですが盲点
リングとブレスレットは着用本人も楽しめるアイテムなのです。
ご自身で見れますものね（笑）
他のアイテムはお連れ様が楽しむのです。
着用者は常に鏡を見ているわけにはいきませんから。
そして特に指輪については、心理効果もあると信じています。
例えば、エレガントなリングを着けると、指先が揃ってきれいな所作になります。
対して、人差し指にガツンと、ごついシルバーのリングをつけた日は、歩幅も所作も大きかったりします。
出かける直前にバタバタして、指輪を着け忘れた日には、なんだかスッピンで銀座を歩いている感覚になるのは私だけでしょうか？
逆に気分にあったリングを着けるとテンションも上がります⤴⤴
やっぱりリングは特別です♪
店頭で試着する時
①できれば大きめの鏡で全身をご覧ください
「リングでも？」と驚かれますが、特に複数の中から選ぶときは、テキメンです。客観的に判断できます。
②手は動きます
試着のとき、皆様は着けたリングを真正面（真上）からご覧になるのではないでしょうか。特に小さい鏡の前では、婚約会見の様に鏡に手の甲を映される方が多いです。
リングは自分も楽しめるけれど、他の人から見えるのは実は側面、そして斜めの角度なのです。自撮り写真とスナップ写真の違いと似ていますね。
なので、是非
●手を動かしてみてください。
●意外に目につく『側面』をチェックしてみてください。
アンティークの美意識は細部に宿ります。(*´▽｀*)
お待ちかね、サイズ感のお話
①デザインによる特徴
箇条書きにて失礼します。
● 幅の太いリングは密着度が上がり、キツく感じる。
太さ約6mmで、サイズ棒でいう１号分位の幅があるリング
当店では通常0.5号刻みでサイズ直しを承っているので、１号の差は結構大きいです。試着してから、購入することをお勧めします。
1977年 英国 ロンドン
シダ？が全面に彫られている。
サイズ直しをすると、せっかくの彫りが途切れてしまう可能性があるから
サイズが合って気に入ってくださる方のところにオヨメに行ってくれたら嬉しい。
この様なリングを
私は愛情をこめて『シンデレラリング』と呼んでいます。
時折「このリングスタイルの名前がシンデレラですか？」と聞かれますが造語です♪
● 石付きの場合、台座の裏の窪みの分だけサイズが大きくなる
（指のお肉がその窪みに入れるから）
⇒ リングのサイズ棒で測った数字より、実際は大きい
20世紀中期 英国
指にあたる部分に丸い穴があります。
こんな小さな穴でも、着用感に違いがでます。
正面の写真も載せてあげたかった…ごめんなさい。
HPに載せます。
1978年 英国 ロンドン
こちらは、もっと大きなくぼみが。
でもご安心を。お世話になっている修理屋さんは、
それもひっくるめたサイズにきれいに直してくれます♡
こちらも、後日HPに正面の写真を載せますね。
● ベゼル部分（中央の飾り部分）が縦長のデザインは、
緩めだと動いて斜めになり落ち着かない。
２０世紀後期 英国
私の憧れ縦長リング。私の指は関節太なので、
関節にに合わせると、中で回るし、左右に顔を突っ込みます（汗）
憧れて仕入れた品なのです。
一般的には中指、デザインによってはカッコよく人差し指に着けても。
例外として、薬指が真っすぐきれい・第二関節が太くない人は、薬指でもキレイです。
● 緩いと横を向いてしまいます。
ジュエリー好きは、隔世遺伝かもしれない。
私の手に、似合うのです♡
しかもサイズもほぼピッタリ。大切な宝物。
● ピンキーリングはキツめに！
小指は第二関節が他の指に比べて小さく、加えて指先に向ってスーッと細くなっているので、抜けやすい。
そしてその後つっかかりが無いので、抜けても気づきにくい。
そんなわけで、私はピンキーをあまりお勧めしていません。
● キツくて抜けない時 (ﾟДﾟ;)
入ったリングは抜けます。
皆さん、一生懸命にリングを指の上から押しつけて引っ張るのですが、かえって指が腫れたり、汗ばんだりして、悪循環に陥るようです。
指をよ～く見ると
手の甲側には、ほとんど皮しかありません。硬いです。
ところが手の平側はどうでしょう？
触っていただくと、お肉がついていて柔らかいですよね。
キツいリングを外す時は、
指輪を下から上に持ち上げながら、外すのです。下のふわふわのお肉が臨機応変に動いてくれます。
②サイズ直し前に考慮すること
🙇おことわり🙇
当店でお買い上げのお品物以外の、サイズ直し、修理その他メンテナンスは申し訳ございませんが、承っておりません。
万が一お預かりしたお品に事故が起きた場合、保障ができないことが主な理由です。
ご理解賜りますようお願い申し上げます。
●刻印をできる限り残す。
●前述の様に、リングのスタイルによって似合う指が変わってきます。
どの指に着けるのが一番良いか、よく考えてから決めましょう。
●夏、更に夕方以降の指はむくんでいることが多いです。
逆に冬の方が指は細め。
よって、冬に大幅にサイズダウンするのは避けたほうが無難です。
●アンティーク・リングはサイズ直しをしないで、オリジナルのまま大切にするのが理想です。
しかし、既に過去に直された形跡があるものも多く、
お品物よりますが、個人的には指輪はサイズが合ってこそ、ご自身に馴染んで美しく、紛失のリスク（落とす）も減らせるようにも思います。
お直しには、リスクもコストもかかります。
お買い上げ時、状況により個別にご提案させていただいています。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。
皆様のジュエリー・ライフに少しでもお役に立てば嬉しいです。
Antiques MIKI
黒田 美紀
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