サンカクシャカイ

「この作品は、自分がいじめられていた頃の経験を元に作りました。」作家が自作を語る言葉の中に“いじめ”を見つけると、必ずその作家の本名、年齢、顔、学生時代を過ごした地域などを調べる。同級生かも知れない、その不安がゼロになるまで、できたての餃子も放って。
学生時代に誰かをいじめた記憶はないが、いじめた側は覚えていないことが多いらしい。そんなことを聞いてしまっては!
もしかしたら記憶にないいじめをしていたのかも知れない、もしかしたら俺の何気ない一言で人生が悪い意味で決定づけられた人がいるかも知れない、もしかしたら誰かが今でも恨んでいるかも知れない。
限りなくゼロに近い可能性について考え込んでしまって、そうやって生きてきてしまって、もうそう生きるしかない。
自分の名前が出ないことを祈って読む文章が減りますように。そういう参加の仕方で。

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