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山口周さんの講演会に参加した話。

大分県北部振興局が主催する「地域づくり人材育成セミナー」に参加するために宇佐市まで行ってきました。

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平日でしたが有休をとって。いやマジメかよっ!w

そこまでして参加した理由は、こちらで開催された講演会が今僕が最も関心を寄せている方の一人、山口周さんによるものだったから。




特に昨年7月に出版された「NEW TYPE ニュータイプの時代」は本当に名著で、本屋さんでもよく平積みされているのを見かけますよね。

編集者の箕輪厚介さんやキングコングの西野亮廣さんなんかも絶賛していますね。僕はこれらを後で知って嬉しくなりました。

アイドル歌手や人気芸人さんじゃあるまいし、ご本人に会いたいとかお顔を見たいという気持ちはあまりなかったのですが(失礼w)、たとえ本に書いてあることをお話してたとしてもご本人からの言葉で受け取ることによってさらに自分にとって身になることがあるのかなと思い参加してみました。


今回の講演のタイトルが、

「“役に立つ”から“意味がある”へ 〜“昭和的優秀さ”の終わりの始まり〜」

約80分間の講演でしたが本当に勉強になりました。参加して良かった。

ここに自分の琴線に触れた部分を抽出して今回の講演の素晴らしさをお伝えしたいと思います。

…ってこんなことをして山口さんの営業妨害にならないかしら?w

たまたま隣の席になった、先日の『MANABAナイト』でもご一緒した大分県庁の麻生さんも「noteの感想を楽しみにしていますよ♪」と言ってくれたしヨシとしよう(怒られたらやめよう笑)


“役に立つ”から“意味がある”製品やサービスが求められている

講演のタイトルにもあるように、「役に立つ」という“売り”だけでは製品やサービスを手に取ってはもらえない時代に入ったということ。

「マズローの欲求5段階説」でも表されている通り、生理的な欲求や自分の安心・安全を得るといった物質的欲求を満たすビジネスはもう出揃っているということですね。

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それよりも「意味がある」モノに人はお金を払うようになっていると。

ボタン一つで暖かくも涼しくもなる便利なエアコンが数万円で買えるのに、100万円単位のお金をかけて維持費も手間もかかる薪ストーブや暖炉が売れているというのもこの現象の一つですね。

もちろん“数”が売れているのは前者のエアコンかもしれませんが、こういう一度出た“正解”というのは誰でも簡単にコピーできるので、これから勝負するとしたら薪ストーブや暖炉を売るという観点が必要だということでしょう。


アップルが“一人勝ち”した理由

この観点で「携帯電話」にも同じことが言えます。かつてはいわゆる“ガラケー”のあの折り畳みのデザインだった携帯電話ですが、それらを無記名で並べてみるとどこのメーカーも似たり寄ったりで全く見分けがつきません。

その一方で、その当時から今のスマホの形を取り入れてさらなる躍進を遂げたメーカーがあります。アップル社ですね。

「アップルはプロダクトデザインが優れているから売れた」とよく言われるが、それは“ウソ”だと指摘する山口さん。

いわゆる“先行者利益”を勝ち取り今のポジションを不動のものにしたという見方もあるかと思いますが、それも結局は「私達はこれを作って世の中を良くしたいんだ!」という強い想いや物語(ストーリー性)を持って開発を進めたお陰で他がやっていなかったあのデザインが完成したと言えます。

うわべの機能やデザインは簡単にコピーできますが意味(ストーリー、価値)はコピーできないため、今もなお価格競争にも巻き込まれず独走状態にあると言えます。


「正解」と「問題」について

このように、「正解」というのは“一つ”でことビジネスの場合はみんながそれをやることになるので類似品ばかりになっていきます。今や日本のメーカーで携帯電話を作っているのはわずか2社のみになってしまったということで、ほぼアップルの一人勝ち状態です。

その一方で、こういった現状を分析して「これが“正解”です」という答えを出す能力というのは、これから先そんなに重宝されなくなるということです。

昔はより多くのインプットをし、いち早く“正解”を出す人というのが「優秀」とされ求められてきましたが、今や“正解”など検索すれば一発で出てきますし、過去の事例に基づいた結論ならA.I.の方が断然早く正確な答えを出せます。

私達は今、日本人として歴史上初めての局面に立っているそうです。今まではアメリカやヨーロッパなどの国を参考にそれをコピーして物質的欲求を満たしてきましたが、それももう一通り普及しきってしまいました。

企業でも個人でも、地域でも。
これからは自分達の“ありたい姿”=ビジョンを描くことが求められているそうです。

過去の事例やお客さんのニーズといった“外的”なものから、“内発的”な価値を作る企業や個人が求められる時代。

例えばグーグル社は、インターン生にもプログラミングなどの大事な情報をすべて公開しているそうです。

それは、グーグルが掲げているビジョンが「世界の情報格差をなくす」だからだそうで、こんな企業が正社員とインターンとの間に情報格差があってはならないということだそうです。

我々からするとなんだか子供の言い分のようにも聞こえますが、すごく筋が通っていますよね。日本みたいにお飾りのビジョンや理念で都合が悪くなったら「これはこれ」と言って済ませたりしないのです(笑)


IKEAの感動アイデア

それともう一社、北欧の人気家具店IKEA(イケア)のビジョンとその動き方もとても素敵だったので紹介したいと思います。

「快適で美しい生活をより多くの人々に」を企業のビジョンとして掲げるイケア。

ただ、そうは言うものの、もしも顧客に障害者の方がいた場合。IKEAのソファだと腰が沈みすぎて一度座ると立ち上がれない人がいるかもしれません。しかし、彼らの特性に合わせた家具を作ろうとするとオーダーメイドのようになりあの安価では売り出せない…。

それでもあのビジョンを掲げるIKEAがとった対応というのが、障害者の方でも使えるようになるそれぞれのパーツを無料で提供することにしたのです。

こうすれば既製の製品を買ってもらたことができ、あとは無料のパーツを組み合わせて使ってもらえばいい。

このアイデアでIKEAは前年売上(該当の商品単体で見たときにだったかも)を30%以上アップしたそうです。なんかカッコいいですよね。上のこの動画は講演中も流れたのですがなんだかジーンとしちゃいました。

結果だけ見てこのアイデアを「凄い!」と讃えることもできますが、IKEAの凄いところはこの結果を出すために“問題”としたところだと山口さん。

そもそもあの「快適で美しい生活をより多くの人々に」というビジョンを掲げていなければ、「障害者の方達が使えない」ということを“問題”としなかったワケで、そうするとこのアイデアは生まれてこなかったんですよね。

調べればいくらでも出てくる“正解”を見つけるよりも、どこにもない“問題”を見つけられる能力の方が大切だという山口さんの主張と一直線に結びついたお話でした。


長くなってしまいましたが以上でございます。

大変価値のあるお話が聞けました。大分県北部振興局の皆さん、貴重な機会をありがとうございました。

この記事を最後まで読んで下さった皆さんもどうもありがとうございます。もし良かったらぜひ冒頭にご紹介した2冊の本を読んでみて下さい。超オススメです(^-^)

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