新型コロナウイルス考

連日、新型コロナウイルスについて様々なニュースが流れています。医療過疎地の外来診察室も例外ではなく、発熱や風邪の症状で来院された方と会話していると、インフルエンザへの対応に忙しくしていた日々が遠いものにすら感じます。
世界地図で見れば、アメリカではインフルエンザが深刻ですし、「そもそもその中にコロナが混在しているのではないか」との意見も聞かれます。
いつ終息するのか、それまでにどれだけの被害がでるのか。
まだ先は見えない今、市中にいて自分や大切な人達を守り、被害を最小限にするためにできることを考えたいと思います。
(政府対応の拙さなど、言いたいことも様々ありますが、、すでに各位が取り上げられていますので割愛します。)

まずは「敵を知り己を知れば百戦危うからず」。
そもそもウイルスとは何か?
具体的な定義は諸出典にお譲りしますが、

「それ単体でいても増えたり悪さはしないが、他の生物(の細胞)に寄生して乗っ取ることで自分らを爆発的に増やし、その生物に害を及ぼす」エイリアンのような存在。
(ちなみに「細胞」という自律した身体を持たないので、細胞を想定した治療薬である抗生物質は効きません。
消毒はウイルスの種類により効く効かないがありますが、コロナの場合はインフルエンザと同様にアルコール消毒が有効とのことです。アルコールが無効の敵もいます。)

ウイルスは、自らが進んで宿主を見つけることはできず、宿主の細胞にくっつくまではされるがまま、です。
宿主の身体について運んでもらったり、咳やくしゃみで液体と一緒に遠くに飛ばしてもらったり、種類によっては風に乗って広い世界に流されたり。
一瞬だけのどかな雰囲気ですが。
くっついて、その細胞に潜りこみ、自分を複製する働きを乗っ取ることで初めて仲間を増やします。

要するに、乗っ取られる生物を私達人間と考えた場合、
自分の細胞にくっつく前にブロックすればよいわけです。
どんな形であれ。
ちなみにくっついても大丈夫な場所もあります。
新型コロナウイルスやインフルエンザ、風邪ウイルスは、鼻や口などの「粘膜」の細胞についた時がアウトです。
例えば、指先についただけでは体内には入りませんが、その指で口元や鼻を触るなどすれば危険です。ウイルスの種類によっては、その指が触れた食品を食べたり食器を使用して口や胃腸から入り込む可能性もあります。
トイレで出たものが極少量指についたり、何気なく咳やくしゃみの際に口を手で覆う→ドアノブ触る、どこか触る→後から来たひとが偶然触る→口元や鼻を無意識に触る→ウイルスチャンス、、と、見えないがゆえに伝達するかもしれません。
敵は目に見えないので、簡単ではないでしょう。
でも、それができれば感染せずにすみます。

「新型コロナやインフルエンザ」だけでなく、風邪症状や下痢など症状を引き起こすウイルスは、基本、感染します。
ですので、罹った側の方は「普通の風邪だから大丈夫、熱がないからきっとインフルでも新型コロナでもないし、周りでも流行っていないし、渡航もしてないし」と、ウイルスによって態度をかえるのでなく、他人に移さないことに注力していただきたいと思います。
具体的には、咳やくしゃみの垂れ流しはしない。手で受けるのもその直後に手洗いや拭き取りをしない限りNGです。
症状ある方こそあればマスク。なければ「咳エチケット」。これは、自分の二の腕の衣類で口元を受けることで拡散を防ぐ方法です。(受けた部分は乾く前に他の場所に触れないように)
状況が許せば、症状のあるうちは出来るだけ人の集まるところに行かない。「インフルエンザが院内で全く発症していない」という素晴らしい病院に秘訣を聞くと、「面会一切禁止。院内発症はまず外部からの持ち込みだから」とのこと。
異論もあるでしょうが、励ますために訪問した患者さんが後で感染に苦しむのは、面会者も本意ではないでしょう。
そしてこまめな手洗い。
(私がお世話になっているクリニックには「手を洗わない人は医療から足を洗ってください」という名言があります)
呼吸への影響だけでなく、下痢などお腹の症状をだすことも多々あります。トイレのあともきちんと手洗い。昔からの世界共通の知恵でありマナーですね。

一方、感染した側は、病状や年齢、背景等で、心ならずも周囲への配慮が困難な場合も多いです。必定、周囲は「害を及ぼすウイルス全般を受け取らないよう日頃から防御につとめる」ことをお勧めします。
具体的には手洗い、手をきれいにする前に口や目鼻を触らないなど。マスクは、コロナウイルスへの防御としては否定的意見もありますが、粘膜の湿度を保ったり他から飛んでくる「ウイルス粒子を含んだ液体をブロックする」ことでは多少でも有効と考えます。
(ウイルスの語源は『感染力のある液体』とのこと)
またすでに当然の感もありますが、バランスよい食事と良眠で免疫と体力を保ち、迎え撃つ体制を整えておくことが大事です。各種ビタミンやサプリなどの摂取ももちろんよいでしょうが、自分を生かしてくれている目の前の恵みに感謝しながらいただく食事は、きっと力を与えてくれると思います。

長文になりましたがお読みいただきありがとうございました。
一日も早い終息を願います。

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