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記憶というもの

最近父親もだいぶボケた事を言うようになった。
酒を飲んだ時は、特に面倒だ。
突っ込もうものならば、
『うるせぇ!黙ってろ。』と
自分の話がいかにも重要な事だと言いたげに
怒鳴り始める。

孫はそんな昔の話を装ってでも聞くほど大人でない。
空気の読めない父親は、いい気分になっている。
クリスマスの日、俺の誕生日でもある。
そんな事は乾杯後、覚えてないだろう。

今日父親と買い物に行くとき、車のカギを息子に渡し、
運転を頼まれる。
車の中で、『あれ、車のカギが、、、』と父親は自分のポケットを
探し始める。

息子は、『さっき運転しろって、鍵渡したじゃん。』というと
『あれっ?そうだっけ。』と
普段のボケで忘れた感じとはちょっと考えさせられる出来事であった。

人は生まれて色々な事を吸収し、
知識を増やし、経験を繰り返し、体で覚え、
熟達したころに段々と頭が混乱してきて
記憶していたことが薄れていく、
新しいものがなかなか入らなくなって、
身近なこと以外、忘れて行ってしまう。

死にゆく命はそれほどの知識はいらないのかもしれない。

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