ネット投資は「チャラい」のか?

ディープテックと言われる分野に投資をはじめて4年が経ちました。これまでに宇宙の船外活動の汎用ロボットGITAIやプログラミング可能なmRNA治療薬を開発するStrand Therapeutics 、糖尿病管理のためのバイオマーカーとアプリを開発しているProvigateなど、数十社に投資をしてきました。

ANRIはディープテックとインターネット分野のスタートアップを一つのファンドで同じ投資基準を見ることを大事にして投資をしてきました。そんなとき、ディープテック分野専業の投資家の方によくネット分野のことを「チャラい」「チャラテック」と呼ばれていることを聞いてきました。

また、先日ANRIの投資委員会でかなり新しい分野のインターネットスタートアップを検討した際に「この会社を通して世の中は良くなるのか?」というディスカッションがありました。

ディープテックの投資は今の流行の言葉でいうとESG、課題解決一直線のものが大半です。人の命を救ったり、人類の発展に直結することがすぐにわかるものがあり、投資家として心を強く揺さぶられます。僕らもプライドを持って投資を続けています。

それでは、いわゆるインターネット分野のスタートアップは社会的な意味がなく、極端に言えば「投資をしても社会的意味がない」のでしょうか?

もちろんそんなことはありません。最先端の熱狂的なニーズを満たすスタートアップは「新しい価値観を作って」います。ネットでものを買う、見ず知らずの人の家に泊まる、知らない人からものを買う、世界の裏側の人と親友になる、、、今は当たり前のことですが、10年、20年前にはおおよそ夢物語だった価値観です。

新しい価値観を作ることは本当に楽しく、長い道のりです。言語化されていない新しい現象をユーザー・ファンと一緒に作り上げていく。その様は外から見るとパーティーのように見えて、「チャラい」のかもしれません。ただ、本当に真摯に新しい価値観と向き合っていくその様は決してフザケているわけではありません。

私自身もパートナーや家族、チームメンバーと新しい価値観を生み出したネットサービスによって豊かな人生を送れるようになったと日々感謝しています。

ディープテックに日々向き合っている起業家、研究者、投資家の皆さまを心から尊敬しています。だからこそ、みなさんと同じように真摯に新しい価値観を作ることに向き合っている起業家、技術者、投資家を単純な言葉でくくってしまうのは相互理解にとって、もったいないなと感じました。

ANRIは顕在化した社会課題を解決する起業家・研究者も、まだ言語化されていない新しい価値観を作る起業家も、どちらにも敬意を持って、圧倒的な未来を作るというビジョンの実現に向かっています。

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