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時間は解決してくれない


2007年4月27日16時20分
私の命よりも大切な愛息がこの世を去った。

癌だった。
不治の病ではあったが、延命することは最大限できた。全身全霊をかけてとにかく一緒にいる時間を確保したかった。

余命幾許もない、1週間だ、と言われても涙は出なかった。泣いている暇がない。絶望しかないであろうあの時は一滴の涙も流さなかった。

毎日ほぼ寝ずに看病したが、ふと眠ってしまったその隙に、愛息は私の枕元で息絶えた。
温もり残る愛息は、穏やかとはかけ離れた苦しみの極みの顔をしていた。

声をあげて顔が腫れ上がる程泣いた。
やりたかったことは沢山あった。
こんなに若くなぜ死んだとやるせなかった。
多分この先これ以上の愛情は湧かないことも知ってしまった。

あれから14年たち、Lemonをちゃんと聴いた。
まるで私のことを知ったかのように書かれた詩に吸い込まれていった。
14年も経ったのだ。あの日の悲しみなんて忘れていたと思っていた。命日すら忘れて毎日を走り抜けていたのだから。

逝かないでと泣いた情景
まるで無機質になる硬直していく身体
何事も無かったかのように匂いすらも残らなかった淋しさ
全部全部覚えている。



残念だけれど
時間は何も解決してくれない。
いつか時間が経てば解決してくれると、他人任せにしていた。
何一つ解決しておらず思い出しては涙する。
会えるなら会いたい。

解決しなくても良いかと思えてくる。
大切な存在は亡くしても、そばに居る。

愛息を超えて愛せない。
だけど娘たちは愛息未満にもならない。
多分自分の持てる愛情全てを注げていると思う。
憎悪も愛おしさも全て含めて私の全てだ。

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