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狂気の正気「豚ハラミのスタミナ炒めとチキンソースカツ丼」を喰え!

 かつやといえば正気を疑われる限定メニューで有名な店である。かつて「カレーうどんかつ丼」で世間を賑わせていたのを覚えている方もいるだろう。

 つい最近でも「大人様ランチ」と大人とは一体何なのか?哲学的な問いを投げかけるメニューを繰り出した。

  そして大人とは?という問いに答えが出る前に、新たな挑戦者が現れた。その名は「豚ハラミのスタミナ炒めとチキンソースカツ丼」である。

 内容はいたってシンプル、次郎系ラーメンにのかってるような野菜と肉の山、そしてソースのかかったチキンカツがコメの上にあるというしろもの。スタミナ丼でもソースチキンかつ丼でも成立するのに二つを組み合わせることを誰が思い至れるだろうか?
 そんな爆発的な発想に私は惹かれて、年に数度しかいかないかつやへと足を延ばした。

 写真を撮ってなくても申し訳ないが、上記のリンクにあるものとそっくりなものが出てきた。ただ実物は上記より肉の量が少ない気がする。
 そんなこんなは置いておいて、早速丼いっぱいに広がる野菜をつまみ上げ、口に放り込んだ。その瞬間口いっぱいにニンニクの風味が広がった。ニンニクは腸内細菌を浄化するような強力な殺菌作用があるらしいが、朝飲んだヤクルト菌たちが死滅するのを確信するような濃さだった。
 正直これは完食する自信をなくすほどであったが、次に肉に手を付けた。こちらに野菜とは違う味わいがあった。ニンニクの風味が強くなく、うま味の利いた優しい塩味だった。そして口の中に残ったニンニクの風味と合わさり、見事調和した。そこに野菜たちに隠された白飯をかきこむことで真のうまさが現れたのだ。非常に濃い野菜と優しい味の肉、そしてうま味をブーストする白米、この3つが合わさり完成するとわかったとき私の箸の速度は上がった。野菜、肉、米、野菜、肉、米、まさに理想の三角食いであり、栄養士が許すならば給食に取り入れられるべきメニューである。
 だがここで問題が発生した。野菜と米の量に対して肉が少ないこと、野菜の味がたっぷりしみ込んだ米が所々にあり、口の中が次第にくどくなり食べるのが辛くなってくるのだ。
 肉がなくなり、野菜と米になったとき、果て困ったぞお茶を挟みつつ食べるべきかと悩んだとき救世主が現れた。ソースチキンカツである。
 まだ手を付けてなかったソースチキンカツをかじると驚くべきことが起こった。口の中に広がっていたニンニクの風味が消えたのである。おそらくだが油とソースの濃さがニンニクの風味に勝り、口の中をリセットしたのだ。つまりこれはアイスに添えてあるウエハースと同じものであった。
 流れがわかれば後は下るだけだった。野菜、米、野菜、米、カツ、そのループを繰り返し、バランスをカツで調整しながら喰らう。そして私は丼の中身をすべてたいらげたのであった。 

 丼いっぱいに広がる野菜と肉に埋もれる米とソースチキンかつ。これを最初見た時、完全悪ふざけ狂気の産物だと私は考えていた。だが実際に食べてみて驚いた。狂気としか思えない組み合わせを成り立たせた計算高い正気、食の奥の深さを思い知ったのであった。
 「豚ハラミのスタミナ炒めとチキンソースカツ丼」は期間の定めなし、なくなったら終了という限定メニューである。私はかつやの限定メニューがどのくらいの期間で消えるのかは知らない。だからこそまだ食べてない人には、早めに食べてほしいと今回の話を書いた。
 私の生活圏から少々離れた所にかつやがあるため次にいけるのがいつになるかわからないが、次は「増し増しダブル」を頼む!そう思うほど今回のメニューを気に入ったのだった。


さぽーとすると映画館にいくかいすうが増えます