超解説! CoCネットでよく見かけるけどルールブックには書いていない非公式用語

 初めまして、アノマロです。TRPGの記事を書くにあたって新しいツールを探していたのですが、今回はノートを試してみようと思います。使いやすかったら続けてみようと思います。
 ツイッターで見かけたのですが、クトゥルフで現行、未通過×の意味が分からなかった話があって。他にもツイッター界隈ではルールブックに存在しない一部にしか伝わらない用語が溢れているな~と思ったので、まとめてみました。ツイッターでクトゥルフ神話TRPGを始める方参考にしてみてください。
 僕らキーパーをする側の人間は、なるべくルールブックに載っていない言葉を使うときはわかりやすく言うように心がけたいですね。

KP/PL
 KP:キーパー、PL:プレイヤーの略。キーパーはクトゥルフ神話TRPGにおいての進行役であり、他のTRPGではよくGM(ゲームマスター)という言葉で説明される。プレイヤーは神話的事件を調査する探索者の役割を演じる。
 ルールブックにはKP、PLといった略称は一切書かれていないので、クトゥルフ神話TRPGを始めたばかりの人には何のことだかわからないかもしれない。

ボイセ/テキセ
 ボイスセッション、テキストセッションのこと。ボイセではdiscordなどで音声を繋いで行なう。テキセでは主にTRPGツール(ココフォリアやTekeyなど)内のテキストチャット機能を用いて行なう。

推奨技能
 ルールブックには存在しない謎の概念。シナリオで役に立つ技能を事前にお薦めしてくれている。ただし、どの程度重要なのかは作者やキーパーしか知らない。ちょっと有利になる程度かもしれないし、持っていないとゲームが詰むほど重要なのかもしれない。

準推奨技能
 謎の概念の更に謎を深める言葉。推奨技能よりは推奨の優先度が下がる技能という意味で使われている。

三大探索技能(三大技能)
 いくらルールブックを調べても三大探索技能が何なのかは絶対に分からない。ツイッター界隈では慣例上〈目星〉〈聞き耳〉〈図書館〉を三大探索技能と呼ぶことが多い。縮めて三大技能と呼ぶ人もいる。なお、ルールブックやサプリに載っているサンプルシナリオでは〈聞き耳〉より〈心理学〉の方が圧倒的によく使われる。

クローズド/シティ
 ルールブックには存在しない言葉だが「クローズドサークル」は一般的なミステリー用語で「シティアドベンチャー」は一般的なTRPG用語なので憶えておいて損はない。
 要はクローズドは一定の閉鎖空間内でストーリーが進行するシナリオで、シティはある程度自由に街中を探索できるシナリオである。おおかたの人はクローズドの方が行ける場所が限定される分、プレイヤーにとってもキーパーにとっても初心者向きだと考えているが、もちろん人による。

リアルINT
 多分最初はどこかの誰かがジョークで言ったと思われる。探索者の技能ロールを行わず、自分の頭で謎解きを行なう行為、またはシナリオにおいてそれを行なわせる要素。クトゥルフ神話TRPGのルール上、〈アイデア〉に成功すれば数字のパズルや言葉遊びなどが解けてしまうため、ルール通りやろうとしてしまうと成立しない。なのでリアルINTを含むシナリオは募集の段階で警告されることが多い。「空気を読め」ということである。

ロスト
 探索者が死亡または永久的狂気に陥るなどして二度とゲームを続けられなくなった状態。

ロスト復活/救済シナリオ
 にもかかわらず死んだ探索者で参加できるシナリオ。シナリオ内の目的を達成すると生き返る。

永久ロスト
 ロスト復活シナリオを許さない者が作り出した概念。探索者が永久ロストすると復活シナリオでも生き返ることができない

永久ロスト復活シナリオ
 永久ロストを許さない者が(以下略

ロスト率
 そのシナリオを遊ぶとどのくらいの確率で探索者がロストするかを事前に教えてくれる。統計をとったわけではない。(稀にテストプレイで統計を取っている)

PC
 プレイヤーキャラクター。探索者のこと。初心者の80割がパソコンのことだと思うかもしれない(インセインやダブルクロスなどのTRPGをしていれば、PCがプレイヤーキャラクターのことだとわかるけど、多分クトゥルフより先にそれらをやる人はかなりレア)。

うちよそ
 主に創作好きのプレイヤーの中には、自分の探索者を「うちの子」と呼ぶものがいる。そのキャラクターが実際に生きていて、大切な存在であると仮想的に認識しているのだ。うちよそとはうちの子とよその子(他のプレイヤーのうちの子)との交流をプレイし、関係性を深めるという遊び方だ。うちよそをすれば、そこでの出来事は実際に探索者が経験したこととして設定に刻まれる。うちよそで互いの子の経験を共有すれば、世界が広がるのである。思えばラブクラフトも文通でシェアワールドを作り、ほかの作家とうちよそをしていたので、クトゥルフ神話らしい遊び方と言える?かもしれない。

KPC(追記)
 日本で独自に発展した概念。キーパーのPC、略してKPCである。
 キーパーによって通常の探索者と同様に作成されるキャラクターで、ゲームにNPCとして登場する。キーパーが別のシナリオをプレイヤーとして遊んだ時に作った思い入れのある探索者が使用される場合もある。
 通常のNPCと比べてかなり能動的にシナリオや探索者に関わってくる。

タイマンシナリオ
 探索者とKPCを1対1でプレイさせるシナリオ。キーパーとプレイヤーで完全に2人だけの世界になるため、うちよそをするのに最適である。

ハンドアウト
 もともとハンドアウトとは、シナリオ内で出てきた情報(日記の内容とか地図とか)を印刷してプレイヤーに渡すものであった。今ツイッターのクトゥルフ神話TRPGでハンドアウトと書かれていたら、それは十中八九プレイヤーに個別に渡す事前ハンドアウトのことである。これらには探索者の設定に加えてほしい内容が書かれている。例えば「あなたは刑事であり、10年前に○○という事件で大切な人を失った」などである。

HO、ほ
 ハンドアウトのこと。プレイヤーごとに別々のHOが渡されるのでHO1、HO2…というような番号での書き方がされる。だれがどのHOをもらえるかは希望制であることが多い。グループチャットでキーパーに「HO希望をお願いします」と言われたら「HO2>HO1>HO3の順で興味あります」などと伝えるのが一般的である。

秘匿HO
 それぞれのHO番号に対応した秘密の情報。そのHOを取得したプレイヤーのみに開示される。例えば「HO2秘匿:あなたはHO3が10年前の事件の犯人であると疑っており、密かに調査をしている」などといったことが書かれているかもしれない。秘匿情報はマナーとして、少なくともシナリオ中盤までは明かさないのが一般的である。インセインなどと違って秘匿HOをいつどのように公開できるかはルールにない(当たり前である)ため、空気を読むことが苦手なら事前にキーパーに「秘匿を開示するタイミングについて、なにかアドバイス頂けませんか」と言っておいた方がいい。

RP
 ロールプレイのこと。ロールプレイとは何か、それは永遠の課題である。

通過
 シナリオをプレイ済みであること。探索者の目線で言っているので「通過」という言葉になっている。

現行、未通過
 現行はシナリオをプレイし始めたけれどまだ終了していない状態のこと。セッションが2回以上にわたって行われる場合があるのでこのような言葉が使われる。未通過はそもそもプレイしていないこと。「現行、未通過×」などと書かれたふせったーは、該当するものが見てはいけない。知らない人には謎の呪文である。

げんみ×
 現行、未通過×のこと。もはや字面から連想することもできないので、事故が起きそう。


―――最新の追記———


自衛程度の戦闘技能
 過剰ではない戦闘技能の意味。「推奨:自衛程度の戦闘技能」などと、提出する探索者シートの条件を示すために書かれる。もちろんルールブックを読んでも自衛程度とは何なのかはわからない。
 おそらく〈拳銃〉や〈日本刀〉などはダメで、〈キック〉や〈小さな棍棒〉あたりはオーケー。技能の成功率は70%くらいまで許されて、80%だとギリギリ、90%だと過剰、99%は迷惑プレイヤー扱いを受けるかもしれない。
 キーパーと自分の意見が食い違うかもしれないので、事故を避けるためにはあらかじめ聞いておいた方がいい。
 「〈キック〉80% は自衛の範囲ですか?」と。
(そもそもキーパーがもっと具体的に書けば済む話では……?)

RPを楽しむ心、RP推奨、RP重視
 「ウチのセッションではロールプレイをしろ」という意味のキーパーの注意書き。
 ロールプレイとは何か、それは永遠の課題である。

AF
 アーティファクトの略。セッションの注意書きに「AFの持ち込み禁止」などと書かれることがある。
 アーティファクトは基本的に「古代の超常的な力を持つアイテム」くらいの意味で使われている。シナリオによっては探索者がそういったアーティファクトを手に入れることが出来るが、そのアーティファクトを別のシナリオで使用するとキーパーの望まない展開になる可能性がある。そのため、キーパーはそれらの持ち込みを制限することがある。

クリティカルチケット、クリチケ
 ゲーム中に発行される謎のチケット。ルールブックには存在しない。
 判定でクリティカル(決定的成功)を出した時にもらえることがある。
 このチケットを消費すると別の判定で失敗したときに振りなおしたりすることが出来るかもしれない。ファンブル(致命的失敗)を打ち消すことにも使えるかもしれない。さらにはクリティカルチケットがゲーム終了後に余った場合、それを消費して好きな技能を成功させることができることもある。全てはキーパー次第である。
 なお、採用していないキーパーもいる(というかそれが普通のルール)ため、そこで自分がプレイヤーのときに「クリチケゲットォ♪」みたいに叫ぶと変な顔をされるので要注意である。

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