【上級者編】プロテインと乳化剤

こんにちは、ANOMAです・:*+.\(( °ω° ))/.:+

いつもは、一般の方々向けにプロテインや健康食品のnoteを書いているのですが、今回は少し上級者の方向けに乳化剤について書いていきます。

一般の方は、こちらから!


乳化剤の種類

基本的にこのnoteを読まれる方は食品業界に従事している方や、専門的に勉強している方かと思いますので、説明は省きます。以下のような種類の乳化剤があります。

・グリセリン脂肪酸エステル系
(酢酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド)

・ソルビタン脂肪酸エステル

・プロビレングリコール脂肪酸エステル

・ショ糖脂肪酸エステル

・レシチン(大豆由来など)

乳化剤がないとどうなるの?

これも食品業界ではよく知られていることですが、乳化剤がないと、風味が落ちたり、品質が保たれなかったり、プロテインがよく混ざらずに泡になったりします。ご存知の通り、乳化タイプや乳化力、分散力にそれぞれ違いがあるので、認可されている乳化剤の中から用途に応じて選びます。

それでは、プロテインによく使われる乳化剤についてより詳しくみていきましょう。

グリセリン脂肪酸エステル

グリセリン脂肪酸エステルは、安全性の高い乳化剤として有名です。グリセリンの持つ3つのヒドロキシ基のうち1つ、あるいは2つに脂肪酸がエステル結合したものです。WHOによってADI(1日の摂取許容量)が設定されていないのも特徴です。

ちなみに、厚生労働省によれば、プロテイン以外の食品グリセリンにはこれくらいの量のグリセリン脂肪酸エステルが使われています。

食品中のグリセリン酢酸脂肪酸エステル含有量(g/100 g)
チューインガム 2~7.5
ケーキミックス 10~15
バターミックス 3~5
パン 0.3~0.5

ソルビタン脂肪酸エステル

ソルビタン脂肪酸エステルは、グリセリン脂肪酸エステル同様に安全性が高いといわれている乳化剤です。ソルビトールの分子内縮合度と脂肪酸の種類、エステル化率を変更することで、利用用途が広がったりします。プロテイン以外では、チョコレートやドレッシングに使われることが多いです。

それぞれの機関の安全性への見解はこんな感じです。

厚生労働省の見解...
安全である。
EU(欧州連合)の見解...
安全である。念の為、食品添加物指令(1995 年)で、ポリソルベート 20、同 40、同 60、同 65 及び同 80 について使用基準が設定されている。
FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議(JECFA)...
安全である。ADI 25 mg/kg 体重/日が設定されている。

ADIというのは、一日にここまでは摂取して大丈夫ですよ、という量なのですが、実際にプロテインに表記されている乳化剤(ソルビタン脂肪酸エステル)が0.5%程度だとすると
体重40kg...1,000mg/日 プロテイン200g(6.6回分)
体重50kg...1,250mg/日  プロテイン250g(8.4回分)
体重60kg...1,500mg/日 プロテイン300g(10回分)
体重70kg...1,750mg/日 プロテイン350g(11.6回分)
*プロテインの0.5%がソルビタン脂肪酸エステルだとしたときの計算

こんな感じになります。したがって、プロテインの他にお菓子を極端に食べるような人でない限りは、まず気にする量ではなさそうです。

大豆レシチン

ノンフレーバーのソイプロテインなどによく添加されているのが、大豆レシチンです。大豆の種子の他にも、アブラナ、卵黄の油脂から抽出したレシチンもあるのですが、プロテインでは大豆レシチンが使われることが多い気がします。表記では「乳化剤(大豆レシチン)」と表記されているやつですね。

FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議(JECFA)(1973)の報告によれば、
レシチンは、ヒトの全ての細胞に必要な成分であるとされています。
欧州連合(EU)では、添加物「レシチン」が、「動植物を物理的加工により得られたリン脂質画分を含む混合物」と定義されていて、使用が認められています。

大豆レシチンでよく問題視されるのが、アレルギーと、遺伝子組み換えの大豆についてです。アレルギーは、確かに乳化剤が「乳」のイメージがあることから、間違いやすいとものの一つであると思います。

対して遺伝子組み換えについては、大豆レシチンとして使用される量があまりにも少ないため、きにするほどではないというのが一般的です。

パン業界の乳化剤

余談ですが、パン業界では、製造過程において原料の脂質に脂質分解酵素を混ぜて反応させ、グリセリン脂肪酸エステルを生成させることで、乳化剤の表記を避けるという方法もあったりします。どちらにせよ、パンに含まれる乳化剤の量もあまりにも少ないので(0.2-0.7%)、こちらもきにするほどではなさそうです。

まとめ

乳化剤について、メモがてらまとめてみました。何かの参考になれば幸いです・:*+.\(( °ω° ))/.:+


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?