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初代蟲キング決定戦 決勝カバレージ

 2023年05月13日、大阪南部、和泉府中のアノアデザインに、13人の蟲主が集結した。
 なぜか?
 それは、初代蟲キングを決する、初の大型大会が開催されたからだ。

大会の様子
多くの蟲主がこの日のためにデッキを練り上げてきた

 予選ラウンドは、スイスドローのBO3(2本先取制)にて4回戦おこなわれた。
 その結果から上位8名を選出し、負ければ敗退となるBO3による決勝ラウンドがスタートする。
 決勝ラウンドでは、上位のプレイヤーが、先手か後手かを選ぶ権利が与えられる。また、決勝ラウンドのトーナメント表は、組み合わせが順位により決まっており、1位対8位ー4位対5位、2位対7位ー3位対6位となっている。
 1ラウンドで、半数のプレイヤーが敗退となる、この厳しい決勝ラウンドを2マッチ終え、決勝の舞台へ上り詰めたのは、この二人だった。

左ザニカ選手、右Oki選手

 スイスラウンド3-1(3勝1敗)で3位抜けのザニカ選手と、ここまで全勝で勝ち上がってきたスイスラウンド1位抜けのOki選手だ。
 彼らはスイスラウンドでも1度対戦しており、Okiがマッチを勝利している。しかしながら、ザニカもそのマッチにおいて、1ゲームをOkiから取っており、お互い手のうちを知ったもの同士の決勝戦となった。
 まずは、それぞれのデッキを見ていこう。

ザニカのデッキ。「リオック踏み倒し」

カブトムシを2枚採用した珍しいデッキ

 デッキを見て、皆はどう感じただろうか?たぶん、多くのプレイヤーはこう思っただろう。
 『弱そうじゃね?』
 LRのカードが1枚も無く、<テナガカミキリ>も無く、なんならスターターのカードが6枚もメインに採用されている。ルックス強そうには見えないデッキだが、そうではない。
 事実、ザニカは、ここまでの7戦を6勝1敗の好成績で勝ち上がっている。引きや運で勝ち上がってきたのではない。ザニカのプレイングと、このデッキの力で険しい茨の道を突き進んできたのだ。
 ザニカのデッキのもっとも強い点は、その速さだ。高コスト域のカードを極端に減らすことでスピードで勝負できるデッキとなっている。
 そういったデッキの天敵となる、飛び出すの王者<ゴライアスオオハナムグリ>には、<ナナフシモドキ>でピンポイントで処理できる構築になっている。
 さらには、<サバクトビバッタ>で相手の展開を遅らせ、処理のできない大型の虫は<カブトムシ>のすくい投げで、勝利の糸口をつかむ。
 見れば見るほど、考え抜かれた構築だ。
 それもそのはず、ザニカは以前、アノアデザインの平日大会に参加し、惨敗を喫している。全戦全敗だったのだ。その日は大会参加者とともに、デッキ構築を見直した。
 『勝ちたい』その日、彼はそう呟いていた。
 その想いが、ザニカをこの初代蟲キング決戦の場に押し上げたのだ。

Okiのデッキ。時雨王台

擬態王台が組み込まれたデッキ

 対する、Okiのデッキはかなりとトリッキーだ。特性:擬態の虫に<不滅の王台>をつけることで、相手が擬態持ちの虫を除去しなければ、そのターンに攻撃しても縄張りを破壊されないコンボを搭載している。

蟲神器発売当初に騒がれたコンボ
その後は、皆ファンデッキだと思っていた。

 さらに<蜜蝋の壁>が2枚採用され、相手がとどめを刺すタイミングを徹底的にずらす構築がなされている。
 また、多くのデッキで1枚採用に留まっている<瀬戸際の蟲時雨>が2枚採用されている点も注目したいポイントだ。Oki曰く「このカードは、絶対に引きたい1枚なので、1枚採用では足らず2枚の採用にしました。デッキの底にあったり、縄張りに入ることもあるので、2枚ですね」自らのデッキレンジが後ろにあり、<瀬戸際の蟲時雨>によって相手を倒すことを想定しこのデッキが作られている。
 それもそのはずだ、Okiは東京の大会に出るなど、積極的に蟲神器の大会に挑んでいる。その理由は、「闘いたいから」と彼は語り、この大会にも多くのマッチがあることを望み挑んでいる。そして、その想いはかなった。彼は決勝の舞台まで、全てのマッチに勝利し、もっとも多い対戦回数をこなしこの場に立った。
 さらに、デッキに搭載されたコンボ、擬態王台を組み込んだ理由をOkiはこう語っていた。
 「今のメタゲームだと、除去の採用枚数が少なくて、擬態王台することで、1ターンを稼げるって考えたんです。除去がとんできたら、その時はしょうがないなって思ってました」
 確かに、本大会は、ワンショットや、踏み倒し系デッキが多く、擬態王台の弱点である除去札を入れたデッキは非常に少なかったのだ。
 Okiのメタゲーム読みは見事に的中している。
 だが、決勝で立ちはだかったザニカのデッキには、2枚の除去札<ゴミムシの爆熱弾>がとられている。
 どちらが勝利してもおかしくないデッキ相性だ。

Okiの時雨、ザニカの爆熱弾

 全勝のOkiが時雨を降らすのか?リベンジャーのザニカが爆熱するのか?
 今、闘いの火蓋が切られた。

第1ゲーム、先手ザニカ

先手ザニカ

 予選ラウンド上位であるOkiが後手を選択し、ザニカは先手でゲームがスタートした。
 ザニカは、<リオック>をエサ場にチャージし、<モンシロチョウ>で1ターン目から相手の縄張りを取りに行く。
 続くターンで、<塵芥虫の爆熱弾>をセットし、さらに<モンシロチョウ>で相手の縄張りをとる。
 対するOkiは、<ゴライアスオオハナムグリ><ナナフシモドキ>をチャージするだけで、2ターンを終えている。
 3ターン目のドロー。ザニカはこうささやいた。
「ハンドが良くないなぁ」
 Okiのハンド枚数を確認し、少し考したのち、ザニカは、エサ場を置かないことを選択。3度目となる<モンシロチョウ>で相手の縄張りを取った。
 返すターン、ついに、Okiが動いた。
 <瀬戸際の蟲時雨>をエサ場にセットし、1枚刺しの<クロカタゾウムシ>がザニカの前に立ちはだかる。ザニカの<モンシロチョウ>は食い漁らされ、Okiはザニカにはじめてのダメージを与えた。
 さらにOkiは2枚の<蜜蝋の壁>を縄張りにセットする。これで、お互いの縄張りは5枚同士となり、ゲームはイーブンの状態に戻されてしまう。

立ちはだかる高い壁となったクロカタゾウムシ

 次のターン。ザニカは<カブトムシ>をエサ場にセットし、<ナナフシモドキ>を召喚、ターンを終える。Okiは返しのターンにエサ場はセットせず同じく<ナナフシモドキ>を召喚、1度だけザニカを攻撃してターンを終えた。
 大きくゲームが動いたのは5ターン目だった。
 ザニカは、何度も手札を確認し、裏向きで場においてみては、何枚相手の縄張りをとれるかの計算をする。
 「1枚、1枚足りない……」
 だが、ザニカは意を決して、猛攻に転ずる。
 <蜉蝣の閃き>でエサ場の<リオック>を場に出し、<クロカタゾウムシ>を無きものとする。Okiのがら空きになった盤面に<ナナフシモドキ>が攻撃。さらに、<モンキチョウ>を召喚し、攻撃。縄張りからとびださなかったことを確認し、残りの1コストで追加の<モンキチョウ>を召喚して攻撃を加える。
 <モンキチョウ>と<蜉蝣の閃き>で出した<リオック>をコストにして2枚目の<リオック>でさらにOkiを攻撃する。
 1ターンにして、5枚あったOkiの縄張りはすべて粉砕されてしまう。相手に多くの手札を与えてしまうこの戦略は、かなりをリスクを伴うが、それはザニカも知りえるところ。
 「これで、もう擬態王台は使えないんで」
 ザニカはリスクよりも、勝利という大きなリターンを得るためにこの選択をしたのだ。

 追い込まれたOki、2枚目の<瀬戸際の蟲時雨>をエサ場にセット。1コストで<蜉蝣の閃き>でエサ場の<ゴライアスオオハナムグリ>を場に出し、ザニカの<リオック>を取る。続いて、2枚目の<蜉蝣の閃き>でエサ場の<ナナフシモドキ>を戦場に送り込み、ザニカの<ナナフシモドキ>を撃破。これら2体をコストに<リオック>を召喚、ザニカの<モンキチョウ>を取る。
 丸裸になってしまった、ザニカの盤面。そこに駆け付けたのは1コストの<ハラヒシバッタ>だった。ついにザニカの縄張りは尽きてしまう。
 その<ハラヒシバッタ>と<リオック>をコストに2枚目の<リオック>がザニカに1ゲーム目の敗北を与えた。
 <瀬戸際の蟲時雨>を使わずして、1ターンにして、5度の攻撃を与えるOkiのデッキの爆発力がゲームを決する結果となった。

2ゲーム目、先手Oki

ザニカが後手を選択、先手となったOki

 1ゲーム目を負けたザニカが後手を選択。先手Okiは、エサ場に<ニセハナマオウカマキリ>2枚と、<ヘラクレスオオカブト>を3ターン目までにセットし、虫を召喚することはなかった。
 対するザニカは、1ターン目に<サバクトビバッタ>をセット、<モンシロチョウ>を召喚。初ターンから、Okiに攻撃を加える。続くターンも、<リオック>をセットし、<モンシロチョウ>で2度目の攻撃を加える。縄張りが4枚になった3ターン目、Okiが<蜜蝋の壁>をはり、縄張りを5枚まで戻しこれに対応した。
 返すザニカのターン、エサ場をセットせず、<モンシロチョウ>でOkiの縄張りを削りターンエンド。
 4ターン目、Okiは少し考えるも、エサ場にセットをせず、そのままターンをパスする。
 返すザニカのターン、こちらもセットを飛ばし、<モンシロチョウ>でOkiの縄張りを削る。さらに<モンキチョウ>を召喚、Okiの縄張りを残り2枚まで削った。
 5ターン目、ついにOkiが動いた。<クロカタゾウムシ>をエサ場にセット、4コストで<オオコノハムシ>を召喚、ザニカの<モンキチョウ>を粉砕する。さらに、<蜜蝋の壁>で縄張りを3枚まで回復させ、<不滅の王台>を<オオコノハムシ>に付け、『擬態王台』のコンボを完成させる。これには、何もできず、ザニカはターンをパスする。
 Okiの6ターン目。<ゴライアスオオハナムグリ>をエサ場にセット。絶対に引きたいと語った<瀬戸際の蟲時雨>を使い、2体の<ニセハナマオウカマキリ>をエサ場から戦場に送り込んだ。1体目で<モンシロチョウ>
を倒し、2体目でザニカを攻撃する。続いて、1コストで、<ハラヒシバッタ>を呼び出し、さらにザニカを攻撃。<ニセハナマオウカマキリ>と<ハラヒシバッタ>をコストに<リオック>を場に出し、ザニカにダメージを与える。そして、今出た<リオック>ともう1体の<ニセハナマオウカマキリ>で、新たな<リオック>を召喚、ザニカの最後の縄張りを破壊した。
 何もなくなった、ザニカの前には、<不滅の王台>が付けられた<オオコノハムシ>が立っていた。王の印をもつ、その虫が、ザニカに止めをさし、Okiを王座に座らせたのだった。

負けを悔しがるザニカ

初代、蟲キング就任はOki選手!

初代蟲キングOki選手

 こうして、初代蟲キングの座にOkiが鎮座した。
 攻防を見事に使いこなし、ゲームをコントロールし、いっきに攻め切る。まさに王に相応しいそのプレイングは随一のプレイヤーだった。
 誰もがファンデッキ止まりだと思い、調整もしなかった『不滅王台』コンボに目をつけそのデッキを持ち込んだ。
 何もこれは、運が良かったわけではない。彼は、この大会に向け誰よりもデッキを調整してきたのだ。

本会場での4大会を連覇した、筆者のデッキ

 本大会を4連覇した、私のデッキを作り、それを仮想敵として、何度も対戦を繰り返し、今の形にデッキを仕上げてきたのだ。
 丁寧なプレイングは、その陰での努力に裏打ちされる結果だ。
 努力と大胆さ、その2つを持ち合わせたOki、まさに初代王者にとって必要な器を持ち合わせた最強のプレイヤーだ。
 最後に、この言葉を贈って、この記事をしめたいと思う。
 おめでとう、Oki!君が初代蟲キングだ!!!

宣伝:次回の2代目、蟲キング決定戦

第2回は、第2弾体験会の後!
君も蟲キングになってみないか?

 さて、こんな超盛り上がった、蟲キング決定戦に君も参加してみたいと思ったら、今月は特別にもう一度、大阪南部の和泉府中アノアデザインにて、開催します。
 この日は、朝から蟲神器第2弾の体験会が開催されます。それから続けて参加も可能ですし、本大会のみの参加も可能です。
 ただし、定員が40名です。先着での参加となります。
 第2弾の体験会の参加者が30名ですので、はやめの予約をお勧めします。
 体験会参加者で、そのあと本大会に出る予定の方も必ずご予約ください。
 予約は、こちらから

 次の、蟲キングは、あなたかもしれない!!

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