第9回あんにょんパンド読書会 『大都会の愛し方』編vol.2
今回の読書会は東京エイズウィークス2022の企画の一つとして実施されました。そのためHIV/AIDSについて描かれている本作を再び取り上げました。
また作者であるパク・サンヨンさんが11/19に来日されてトークイベントも開催いたしました。その様子はまた報告します。
今回は14名の方にご参加いただき盛会となりました。今回も"ネタバレ"を含みつつ当日の様子を再現してみたいと思います。
まず最初に司会からあんにょんパンドと東京エイズウィークスについて説明をした後、皆さんに一言ずつこの読書会へ参加したいと思った理由を教えていただきました。そして話題提供者のわたくしからこの四つの短編のあらすじについておさらいをし、一番好きだった作品について語ってくださいというお題を参加者の皆さんに出しました。
結論からいうと約8割の方が最初の「ジェヒ」推しでした。そのためディスカッションのほとんどの時間をこの章について話し合いました。皆さんがジェヒを好きな理由として、ゲイと女性の友情をシニカルかつ、コミカルに描いている点を挙げる人が多かったです。家族とはなにか?友情とはなにか?を深く問いかける物語だったからこんなにも支持されているのかと思います。
他には、全編をとおして韓国のゲイシーンで流行ったKPOPについてや看護学校のCMの音楽描写など読むことで音楽の世界に引き込まれていくという意見がありました。また、HIVをカイリーと名付けたり、登場人物へのあだ名の付け方などが絶妙!という声がたくさん上がりました。
韓国のクィアと社会情勢、HIV/エイズをめぐるについてソウルからの参加者と2022年10月に渡韓したわたしとで話をしました。作品にも出てきますが、韓国は徴兵制のある国で軍隊での同性愛は禁止されていること、HIV感染がわかれば除隊させられることなどまだまだ解決すべき問題が沢山あることが共有されました。それと映画『ウィークエンズ』でも何度も取り上げられてますが、クィアとキリスト教の関係も深刻です。本作でもクリスチャンの母親と息子との激しい葛藤が描かれています。
最後になりましたが、翻訳の妙について今回も話題に上がりました。オ・ヨンアさん、いつも素敵な翻訳をありがとうございます。